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暗雲

「ダンスコンテストって言っても結局は見た目重視の出来レースでしたね」

ダンスコンテストは結局サヴィーヌの優勝で幕を閉じた。飲食代の請求額を見て顔を引きつらせたグレイや満足気な顔をしたドロシー達と別れた後、裏通りの屋台型店舗に戻りながらセリカが心から残念そうにつぶやいた。

「色々と勉強になったからいいのよ。私もまだまだ修行不足ね…でも次は負けないわ!」

「…大人の姿で踊っていればアーニャの優勝だったんじゃないですか?あの薬作るの結構大変なんですよ?費用も掛かりますし…」

リベンジに燃えるアンナをため息を吐きながらジト目で見つめるセリカ。

「わ、悪かったわよ…折角の薬を無駄にした事は謝るわ」

「それでは、その分明日からは客寄せとして働いてもらいますね♪」

ころっと表情を変えにっこりと笑うセリカにアンナも負けじと反撃をする。

「ところでセリカ……あんたBランクらしいわね?私より実力あるくせに戦えないとか言ってたわけ?」

「ははは!さ、明日も早いですからさっさと帰りましょう!!」

「あ、こら!待ちなさいよ!!」

逃げるように走り出したセリカを追いかけるアンナの声が夜の街に木霊した。





多数の蝋燭が立ち並ぶ薄暗い地下室には仰々しい特殊な魔法陣が描かれている。その魔法陣の前では1人の小太りした司教の姿をした男が立って誰かを待っていた。窓の無い部屋に風が吹き蝋燭の炎が揺らめく。

「…遅かったな」

「ごめんなさいねん、ファンの方に囲まれてしまってねぇん…はい、これが優勝賞金よん」

何処からともなく現れたローブで身体を覆った女がズシリと重みのある袋を渡す。

「ふふふ…これで勇者召喚の儀が行なえる…計画もいよいよ大詰めだ」

「術の発動に大量のお金が必要なんて変わった術ねぇ…ところでルイ様。勝手に勇者召喚なんてやったら各国から何か言われるんじゃ?」

「勇者召喚自体は問題ない。元々門外不出の術、私達しか知る事をすら許されていないからな。明日に行なわれる勇者お披露目会とかいう催しに勇者を見せさせすればいいのだ。各国はこぞって勇者を懐柔しようとするだろう……その頃には既に勇者は我らの忠実な駒だとも知らずにな!」

隠し切れない笑いが部屋に反響する。


「さぁ…勇者召喚を始めようじゃないか!!」

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