花より団子
闘技場より1周り2周り小さいダンスコンテスト会場は中央にステージがあり、それを囲むようにテーブル付きの客席が設けられている。ステージ上で煌びやかな衣装を身に纏って踊るダンサー。客席で飲み食いしながら歓声を上げる観客達。ダンスコンテストは大いに盛り上がっていた。
「ウェイターさん、マルガリータとグレコワイン追加ね」
「あ、それからブルスケッタとフリッティもお願いします。トウマ君も何か頼みますか?」
「それじゃあ…リゾット追加で!」
食い意地の張ったドロシー、セリカ、トウマの三人はダンサーには目もくれずにウェイターに追加注文を頼む。
「お前ら少しはダンスを見たらどうなんだ?」
ワインを口に運びながら呆れ顔を浮かべるグレイ。その横ではイサクが早々に酔いつぶれて机に突っ伏している。
「ダンスで腹は膨れないっしょ。決勝まで連戦だった私達はエネルギーが必要なの」
「そうですそうです。それにアーニャの番はまだのようですし…折角のグレイさん達の奢りですからね。お礼といっちゃなんですが私の店の商品を購入の際にはサービスしますよ♪」
「むごご。もごもご」
「トウマ君、口に物を入れながら喋っちゃダメですよ」
「んまぁ…お前らが良いならいいんだが……ぶふぉっ!!」
ワインを口にしながらダンスを見ていたグレイが新たに登場した身体のほとんどが肌色のダンサーを見て突如噴き出す。
「おっさん何してんの。きったないな」
「鼻の下伸びきってますよ~」
テーブルに飛んだワインを拭きながら心底嫌そうな顔をするドロシーとケラケラ笑うセリカ。
「あ、悪い悪い……しかし、すげぇな!見ろよ坊主!あのダンサーほとんどすっぽんぽんだぞ!?」
「興味ねぇよ…」
「おお、おお!なんだ、なんだ!そんなこと言いながら顔は真っ赤じゃねぇか!!」
がははと笑いながら真っ赤な顔をして俯くトウマの肩をバシバシ叩くグレイ。
「あはは、本当に真っ赤じゃん!…あ、セリカ。ミネストローネ追加するけどあんたも飲む?」
「真っ赤なトウマ君だけにってことですね♪飲みます飲みます!」
ドロシーとセリカは相変わらず食べることに夢中であった。
今回のダンスコンテストは純粋な踊りで競う物であるために魔法が禁止されている。それにより魅了魔法はおろか、炎や水を出して演出することも禁止だ。それ故にダンサー達は少しでも美しく見せようと露出を多めにしてみたり衣装を煌びやかにしたりと工夫を凝らす。
そんな中アンナは年齢詐称の魔法を解呪して元の姿でいた。それは魔法禁止のルールに則ったこともあるが、なにより自分の信念によるものが大きかった。大人の姿用に仕立て直した衣装は使えなくなったため、フラワ国で買った物を急遽使用することにした。もちろん受付(予選)時との今の姿が違うため控え室で大人の姿で出るか散々悩んでいたが頭に浮かんだセリカが
『受付時には魔法禁止のルール無かったですよね?それにあくまで年齢を誤魔化した幻術ですから本人であることに変わりないですし、見抜けなかった受付の人が無能だったんですよ♪まぁ、劣化版とはいえフラワ国の神秘を流用した魔術。見抜ける人はそうそういませんがね♪あっはっはっは!』
と悪い顔で笑っていたのでそのまま勢いで解呪したのだ。
「セリカと旅して少ししか経ってないけど…悪い影響を受けている気がするわ…」
アンナはこめかみを押さえ大きなため息を吐いた。
「人のせいにするのはよくないですよ!」
「…え、なにどうしたの?」
突然訳の分からない事を言い出したセリカに怪訝な顔をするドロシー。
「あ、すいません。なんか誰かが私の悪口言ってた気がして…」
「ふ~ん………ところで、決勝終わってから仮面してないけどしなくていいの?」
「最期にトウマ君に場外に飛ばされた時に地面に落として壊れちゃったんですよね~…あ、デザートもあるらしいですよドロシーさん」
「マジ?頼も!頼も!」
ティラミスやセミフレッドがセリカ達の元へ運ばれる頃、いよいよアンナの出番となった。




