忘れてませんか?
次回の更新は恐らく少々間が空いてしまいます。ご了承ください。
「『電撃弾』は相手を気絶させる魔法…それの連撃である『電撃連弾』を浴びて立っていられるなんて正直驚きなんだけど」
雷光の目映い光が収まると刀を地面に刺したセリカが立っていた。
「私もダメかと思ったんですがね」
「その変わった刀を避雷針代わりにしたってわけ?」
「ええ、魔力を吸いやすいこの刀はある程度なら相手の魔法も吸収してくれますからね。そして蓄積させた電撃を地面に放電してって感じでどうにか耐え切りましたよ」
「まぁでも結果は同じ。全部防ぎきれるわけでもなし…今立ってるのがやっとなんじゃない?気絶とまではいかなかったみたいだけど…身体麻痺って動かないっしょ?」
セリカの髪は避けられずにその身に浴びた雷電で孔雀のように逆立っていた。
「確かに指動かすのがやっと…というか痙攣しちゃって上手く動かせませんけどドロシーさんこそ何か忘れてませんか?」
「何を?」
「この試合は3人対戦ですよ?私ばっか見てると後ろのトウマ君に…」
「!!しまっ…!?……あれ??」
ドロシーは慌てて後ろを振り返りトウマの姿を探すが、視界に入ったトウマは試合場で横になって寝息を立てていた。
「『術式開放 麻痺解呪』『雷の精よ! 雷刃 火花!!』」
ドロシーの隙を突き体内に埋め込んだ遅延呪文で身体の麻痺を取り除くと刀に雷撃を込めて振るうセリカ。バチバチと放電しながら振るわれた刀はドロシーを両断し、ゴトリと音を立て上半身を落とす。
「…やってくれるじゃない」
「泥人形ですか。よく出来てますねぇ…」
セリカが両断した上半身と下半身に分かれたドロシーは姿形を崩し泥に戻り、上空へ高く跳躍し回避していた本物のドロシーがセリカと距離を置き着地する。
「…最初の煙幕はこれが狙いだったってわけね」
遠くで相変わらず寝息を立てているトウマを指差すドロシー。
「ええ、煙が晴れたら立っていたのは私だけ…っていうのを狙ってみました♪」
セリカが煙球を投げると同時に詠唱していたのは吸い込んだ者を眠りへと誘う『眠り粉』。バレないようにただの煙幕に忍ばせていたのだ。
「結果的にトーマの石つぶてを防ぐために『風障壁』を張った私は『眠り粉』を吸わずに済んだってわけね…残念だったね、最初で決められなかったのは」
「だったら次の手を使うだけです。…時に、ドロシーさんは妖術を知っていますか?」
「妖術?…確か東洋の妖魔が使うとかいう魔法の呼び方っしょ?………まさかあんた自分がその妖魔だって言うんじゃないでしょうね?」
「私が妖魔?あはは!可笑しなことを言いますね。私はただの人間ですよ?」
「……」
何が言いたいんだといった風なジト目で見つめるドロシーの視線を咳払いで一掃し、刀を鞘に納め無手で構えるセリカ。
「実を言うと私も妖術が使えるんですよ。これを食らって立っていた者はいません!」
「なら食らう前に終わらせればいいじゃん?」
ドロシーの周りに曼荼羅を想起させる多数の魔法陣が現れる。
「あ、それはズルイ……」




