ハ・ジ・メ・テ♪の収入です
本日2話目の更新です。
あの後バルカスさんに説き伏せられて遅延魔法などの技術をお金で売ることはしぶしぶ諦めることにしました。コツを教えたところでその人がきちんと使えるかどうか不明な上に最悪「お金を払ったのにインチキを教えられた」と言われてしまえば詐欺罪になってしまうとのこと。どうやらこの世界では目に見える物を売るしかないようです。けれど、
「うふふっ♪」
バルカスさんは私の持っていた荷物、というか商品をそこそこ買ってくれました。ほとんどが『薬師』のお義父さんに教えてもらった方法で作成した自作の初級ポーションでしたがギルドマスターの目に留まるもののようだったみたいです。
通常、怪我と病気を治すことを目的としたポーションですが、私の物は怪我を治すことに特化したもの。怪我の絶えない冒険者稼業にもってこいっということで、在庫20本すべて買ってくれました、しかも中級ポーションとほぼ同じ価格の1本銀貨1枚、締めて銀貨20枚(金貨2枚)。半分の値段である1本銅貨5枚で売ろうとしていたので嬉しい誤算です。
他にも雑貨、魔術書なども買っていただいたので、今私の手元にはいくつかの商品が入った軽くなったリュックと冒険者ギルドカード(Bランク)、お金は初めから持っていた所持金と合わせて金貨7枚と銀貨8枚のお金が残っています。これだけあれば4ヶ月は余裕で暮らせます。
「うふふっ…うふふふふっ♪」
幸先のいいスタートに自然と笑みがこぼれてしまいます。まだ本当のスタートである商人ギルドに登録すらしていないのにっ!
バルカスさんに場所を教えてもらった商人ギルドに、笑みを浮かべながら向かう私を町の人々は怪訝そうに見つめてくるのに気づいてあわてて笑みを浮かべるのをやめます。
「……うふっ♪」
ダメです。腰につけたお金の入ったポーチの重みにやっぱりにやけてしまいます。この悪い癖は早いところ直さないといけませんね。