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顔バレは事務所的にNGなんですよ~

闘技大会はルーマンの中央部に位置する円形闘技場で行なわれる。周囲700m、高さ70mの巨大な建造物は目にしただけで圧倒される。中央に位置する100m四方の試合場に周りを囲うようにある7、8万人は収容できる観客席はさながら野球ドームのようだ。参加人数の多い無階級戦は連日行なわれるが、階級制戦は参加人数に応じては半日で終わる場合もある。セリカが出場するBランクマッチは参加人数が少なかったようで正午から早速試合が開始されようとしていた。



「何でもBランクの冒険者達のほとんどが無階級戦に参加の意思を表したらしいぜ。小耳に挟んだ情報によると無階級戦の賞金は階級戦の倍以上らしくてな…ま、俺はそれを読んで階級戦にしたんだがな」

「ははぁ…なるほどぉ」

セリカは闘技場の選手控え室で知り合ったスキンヘッドの強面お兄さんに話しを聞いていた。

「それでこの控え室にはたったの6人しかいないんだ。…流石に少なすぎる気もするが」

そう、Bランクマッチ参加者はセリカを含めて6人しかいなかったのだ。改めて回りを見渡すとセリカ、強面お兄さんの他に、座禅を組んでいる青年、三角帽子を被った見るからに魔法使いの女性、どこかの部族の子であろう少年、様々な武器を背負った大男と多種多様な人物が思い思いに時間を潰している。

「見事に色んな人が集まりましたね」

「お譲ちゃんが一番特徴的だと思うがな」

セリカの顔には相変わらず仮面が付けられていた。




『レディ~スアーンドジェントゥルメ~ン!待たせたな!只今より闘技大会を開始するぜ!!実況司会はご存知D.Jパンチがお送りするぜ!!』

マイクを片手にしたアフロヘアーにサングラスの濃い目の司会者が会場を盛り上げると、真昼間だと言うのにほとんど埋まった観客席から割れんばかりの歓声が溢れる。

『まぁ開始するって言っても比較的参加人数の少なかったランクマッチからやるから前座だけどな!』

小粋なギャグを挟んだつもりだろうが前座扱いされたランクマッチ参加者の冒険者達は全員ジト目だ。

『おっとぅ、参加者達の視線が痛いからさっさとルール説明に入ろうか!』

「譲ちゃん知ってるか?あの人な、ここのギルドマスターなんだぜ?」

「え、それ本当ですか?大丈夫なんですか冒険者ギルド」

「ははは、初めて見たらそう思うかもしれないがあの人は闘技大会の連続優勝記録保持者なんだ」

参加者には既に知らされているルールの説明を観客に向けてしている司会者を横目にたまたま隣にいた強面お兄さんが小声で教えてくれたが人は見かけによらないようだ。そんな事を思っているとルール説明がいつの間にか終わっていた。

『以上が今回のルールだ!俺もさっさと試合見たいから開会式はこの辺で終えて早速始めていくぜ!!』



トーナメント形式で行なわれる今回の試合は、武器魔法道具ありの一対一の戦いだ。勝敗は対戦相手のリングアウト、気絶、リタイアと審判によるジャッジ。もちろん相手を殺してしまった場合は失格となる。要はちょっとお祭り化した手合わせである。防御結界が張り巡らされているため観客席に飛び火する事もないから思う存分暴れていい。



ルールを改めて脳内で整理していると魔法で投影されたBランクマッチのトーナメント表が発表された。

『今回はBランクマッチから始まるようだぁ!実力者である彼らなら大いに盛り上げてくれるだろう!!そして記念すべき第一試合はぁ~~…』

ルーレットのように表に記された参加者の名前がランダムに振り分けられていく。

『剣豪イサク!対する相手は~~おっと、今回初出場の仮面のセリカだぁ!!それじゃあそれ以外の選手は控え室で待機していて貰おう!』

「頑張れよ譲ちゃん」

軽く背中を叩いて控え室に向かう強面お兄さん。対戦相手は誰だろうと辺りを見回すと控え室で座禅を組んでいた青年が残っていた。


『剣豪イサクは前回の大会で惜しくも優勝を逃してしまったがその実力はみんなも知っているだろう!鋭く光る剣影は――…』


わ~対戦相手は準優勝者ですか…どうしましょう…


『…――対する仮面のセリカは俺も知らない冒険者だ!全くの実力未知数の彼女はどんな戦いを魅せてくれるのか!?ところでなんで仮面をつけているんだい?』

対戦相手の対策を考えていたところ、急に白い歯を見せながらマイクを向けてきたアフロヘアーに少し動揺したセリカは、


「顔バレは事務所的にNGなんですよ~」


自分でもわけの分からない事を言ってみた。


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