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予選?

狭い屋台で一夜を明かしたセリカは体中からゴキゴキと関節音を鳴らしながらアンナに朝の挨拶を交わす。

「おはようございます」

「おはよう、最悪の寝心地だったわね」

何やらコンテストに使うのであろう衣装の準備をしているアンナにセリカは首を傾げる。

「それはステージ衣装ですか?」

「ええ、そうよ。今日のコンテストはこれで勝負するの」

「…年齢詐称薬使うんですよね?サイズとか平気ですか?」

「ふふん……抜かりはないわ!仕立て直したからね!!」

そう言って衣装を広げてみせるアンナ。確かに今のアンナが着るには少し大きいように思える。昔から衣装を自分で作ったりもしていたようで裁縫は得意との事。

「その技術を活かして商品を作りませんか?」

「セリカってぶれないわよね…」




「いらっしゃい、いらっしゃい!数量限定のミスリルソードがあるよ!」

「焼きたてのパンはいかがですか?」

目抜き通りにはたくさんの人通りがあった。商人達の声が重なり合って何を言っているのか分からないほどだ。

「私達の割り当てられた裏通りとは大違いですねぇ~…」

「あ、あのセリカさんは店番しなくていいんですか?」

ダンスコンテスト会場に向かって歩くセリカに、既に年齢詐称薬で大人の姿となったアンナが問いかける。

「あの立地じゃお客さんは来ないですよ。来てもロイスさんのお店のおこぼれって感じでしょうし…だったら私もロイスさんの言う闘技大会にでてみようかなと。アーニャの踊りも見たいですしね~」

「やっぱりセリカさん戦えるんじゃないですか…嘘つくなんてひどいです!ってどうして笑ってるんですか?」

「いえいえ、アーニャ可愛いなぁと思いましてね」

頬を膨らませてぷりぷり怒るアンナにニヤニヤを押さえきれないセリカは思ったことをそのまま言う。するとその言葉を聴いたアンナは顔を真っ赤にする。

「か、からかわないでください!!」

「これ、相手が男性ならイチコロですね~。ごちそうさまで~す♪」

「~~っっ//」

わざとらしく両手を合わせて御礼をするセリカを真っ赤な顔をしたままポカポカと叩くアンナ。そうこうしている内にダンスコンテストの受付場に到着した。



受付には行列が出来ていたがどんどんと人が流れていくためすぐにアンナの順番となった。

「あ、あのぅ……コンテストに参加したいんですけど…」

前に事前受付でアンナを無下に扱った中年男性がアンナを上から下まで凝視するとにんまりと笑う。

「合格。会場で本戦始まるまで待機していてね。はい、次の人~」

「え?…えっと、どういうことですか?」

「ん?ああ、この受付自体が予選なんだよね。参加人数を絞らないといけないから必然的にこういうことが起きるわけ。ほら、踊り子ってまずは見た目が大事じゃない?」

「…それっておかしいと思います。踊り子に必要なのは表現力と発想、何より見てくれた人達への感謝が大事だと思います。見た目も必要だと思いますがまずは…」

「ははっ面白い事いうね。会場はあっちだよ。次の人、お待たせしたね」

年齢詐称薬で性格が多少変わっても記憶は無くならないし、芯が変わる事もない。アンナが少しムッとした顔で言うが中年男性は相手にすることなく淡々と自分の仕事をこなす。

「次は私の番ですよ♪」

「不合格。次の人~」

「ちょっ!何でですか!?」

「普通だから。以上。仕事の邪魔だから早く行った行った!」

アンナの後ろにちゃっかり並んでいたセリカは見向きもされることなく一蹴された。


「くぅ…まぁいいです。闘技大会の方で稼ぎますよ~♪…どうしたんです?」

列を外れたセリカにアンナが神妙な面持ちをして近づいてきた。

「セリカさん…私は……」

そんなアンナにセリカはただ笑顔を向ける。

「……アーニャの思ったとおりにやればいいと思いますよ」

「ありがとうございます。セリカさん、応援していてくださいね!!」

大人の姿となっているアンナであったが瞳の色はいつものアンナであった。



「さっき私にぶれないって言ってましたけどアーニャもぶれないですよね。そういうところ、好きですよ♪」

「へ!そ、そそんな、も、もう…恥ずかしいこと言わないでくださいっっ//」

性格は変わったままであった。


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