聖アテナイ国首都ルーマン
聖アテナイ国首都ルーマン
そこは、女神オルジフを信仰対象とする世界宗教のオルジフ教教会本部があることで有名な都市である。その所為か聖アテナイ国では聖職者の地位が他国よりも高く政治に口出しをしているとかいないとか…そんな噂もあるが、各ギルドも所狭しと肩を並ばせており互いに睨みを利かせているそんな国である。
「--それでお互いの刺激もあって経済等が発展し、西大陸で1、2を争っているらしいですよ」
「そんなこと誰でも知ってるわよ。それより宿どうすんのよ…」
日が沈む頃、無事にルーマンに着いたセリカ達は御者の青年と別れ、今夜泊まる宿を捜し歩いていた。しかし、勇者召喚、フェスティバル開催と人が集まる要素は盛沢山なわけで……
「申し訳ございませんが満室です…」
「そうですか………これで断られたの5軒目ね」
何度もしたやり取りにため息を吐きながらを宿屋から出てぼやくアンナ。
「そりゃそうでしょう。明日には勇者召喚の儀が行われるんですから前日の夜に現地入りしたって宿なんて取れませんよ」
「分かっているわよ!セリカも何か今日泊まる方法を考えなさいよ!」
「そうですねー…あそこに酒場があるでしょう?まずはそこで手ごろな男性…というかお財布を見つけます。そして、街道を歩いていった先にある…」
「却下!!何考えてるのよ!!」
「あはは、冗談ですよ。冗談♪ただ踊り子であるアーニャなら簡単に出来ると思いますよ?ほら、これもありますし♪」
そういって瓶詰めされた年齢詐称薬を取り出す。
「私はダ・ン・サ・-!ティーズなんかと一緒にしないでよ!あんなの『踊り』じゃないわ!!」
「あれも立派な職業だと思いますがねぇ…需要がありますし」
「なら、セリカがやればいいじゃない」
ふんっと鼻を鳴らしながら言うアンナにあははと笑いながらセリカは答える。
「私は髪の毛一本たりとも自分を売る事はしないんです」
…と、そんな他愛もない話しをしながらも6軒目、7軒目と宿屋を当たってみたがどの宿屋も満室で、次第に2人の口数も減ってきていた。
「…あ、商人ギルド行ってもいいですか?」
「……なんで?」
「フェスティバルですから出店でもだそうかなと思いまして、その申請に。ついでに寝るところも確保しますよ」
「え!?寝るところって…」
「ちょっと思い当たる節がありまして…期待はしないでくださいね?」
そうして2人は商人ギルドに向かう事にした。
「夜分遅くまでお疲れ様です。何かご用命ですか?」
「フェスティバル用の出店申請をしたいのですけど…」
「それでしたらまずはギルド証の提示と…」
受付嬢から渡される書類に眼を通し必要事項を書いていくセリカ。一方、待合所のソファーで足をぷらぷらさせながら辺りを見渡していたアンナは商人ギルドの活気に圧倒されていた。職員の人が出入りを繰り返し、まるで酒場のように騒がしい。これもフェスティバル効果なんだろう。忙しそうに働く職員を観察していると申請を終えたセリカが隣に座る。
「何を見ているんです?」
「ん、大変そうだなぁって…申請は終わったの?」
「はい!許可証の発行待ちです。やっぱりどこもいっぱいで町外れの場所しか取れなかったですけどねぇ…何か宣伝しないと客足が…ところでアーニャはコンテストの方の出場申請はいいんですか?」
「事前受付はもう終わってるから当日に飛び入り参加枠でいくから平気よ。予選は厳しくなるけど負ける気はないわ!」
気合十分っといった感じにその眼に闘志を燃やすアンナ。そんなアンナにコンテストで結果を残せたらお店の宣伝をして貰おうと考えるセリカであった。




