私は『商人』ですよ♪
PCの調子が悪く更新遅れました。最低週1ペースは守っていくつもりなのでよろしくお願いいたします。
「君はいったい何者だ?」
魔法を載せた掌底を受け気絶したおっさんを病院に送り届けた後、セリカはバルカスさんに冒険者ギルドの一室…バルカスさんの執務室に連れられていた。
「本日より登録させていただきました『見習い冒険者』のセリカです♪」
「ははっ違いないな!」
営業スマイルで答えた私に可笑しそうに笑ったバルカスさんは5枚の銀貨とギルドカードを手渡してきた。
「賭けによる銀貨5枚とBランクのギルドカードだ。」
「毎度どうもです♪でもなんでBランクなんですか?DかCランクが妥当だと思うんですけど…」
「…ウェルターは普段の素行の所為でD止まりだったが、実力だけならCランクだ。それを軽々熨してしまう者に対しては妥当なランク付けだと私は思うよ」
「あのおっさ…ウェルターさん程度の実力でCランクだなんてちょろいですね」
「はははっ!無詠唱魔法の使い手の君はAランクになるのもすぐだと思うよ!」
「うふふっ私が使ったのは遅延魔法ですよ♪」
通常魔法を行使するには言霊による術式…すなわち呪文詠唱で精霊に働きかける必要があるが、無詠唱だと文字どおり詠唱無しで魔法を行使できる。が、きちんとした手順を踏んでいないために魔力は通常より多く削られ、威力も削られるという使えると言えば使えるのだが人並みの魔力しかない私には使い辛いものでしかない。
私の使った遅延魔法は詠唱した後、行使ではなく術式を封印をすることで魔法行使のタイミングを遅らせる事ができるというもの。必要な魔力は普通の詠唱魔法と大差ない上に、あらかじめ封印してある術式を使うだけなら魔力の消費はほぼない。魔法は、詠唱時:行使時の魔力消費が9:1という割合だ。つまり平時に詠唱しておけば戦闘時に魔力の節約が出来るのだ。
「遅延魔法か…だがあれは最長でも半日遅延させられるかどうかだろ?そんな使い辛いものを使うなんて…」
そう、遅延魔法の最大の欠点とも言えるのがこの遅延できる時間だ。だけど…
「コツがあるんですよ。先ほど使ったのは一週間くらい前に詠唱したやつですかね~」
「いっ……君は規格外だな…そのコツと言うのは…」
「金貨500枚でちょっとだけ教えてあげますよ♪」
「ふっ…いや、悪かった。こういった技術は教えられるわけがないな、忘れてくれ」
「いえ、ですから金貨500枚で…」
「冒険者にとってこういった技術は自分の武器だ。教えられるわけがない」
「金貨500…」
「武力が商売の冒険者が自分の武器を簡単に渡してはならん!いい加減気づけ!!」
机を叩いてまで怒ったバルカスさんはきっと私の事を案じて言ってくれているのだろう。だけど私は…
「私は『冒険者』ではなく『商人』ですよ?」
「」
「どうです?金貨500枚で遅延魔法のコツ…買いません?セットで魔術書お付けしますよ♪」
とびっきりの営業スマイルを向けた。