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残念ですがその病気を治す薬は作れません

夜更かしはお肌の大敵…エルザの夜は早い。魔法や生まれ持った美貌を当てにすることはなく毎日の洗顔、クレンジングをはじめとしたスキンケアや、適度な運動、適切な食事など努力を続けてエルザはその美しさを保っているのだ。そして、エルザの朝も早い。寝すぎはむくみの原因となる上に毎朝の日光浴も欠かさないためである。中庭で小鳥の唄を聞きながら日光浴をするエルザに一人の従者が歩み寄る。

「エルザ様。騎士ヨハネからの言伝です」

「…なんです?」

「例の商人、セリカ様が謁見を求めております」





「実はかくかくしかじかといった事情で…」

「別に構いませんよ?」

「へ??」

エルザにアンナに年齢詐称の薬の件がバレた事をおっかなびっくり説明したところエルザの反応は想像以上に淡白なものであった。

「い、いいんですか?」

事情の説明をするためにその場に居合わせたアンナもエルザの反応に戸惑いを隠せない。

「ええ。アンナさんにも我が国に将来的に帰属してもらいますがね」

「え?私も?」

「それとセリカさんとアンナさん2人には共に行動をしてもらいます。その方が都合いいですから。では、私は政務がありますので」

詳しい説明もないままセリカとアンナは城外に放り出される。


「な、なんか拍子抜けしたわね。ていうかどういうことなの…」

「それは国民数が増えるだけでも国益ですし…たぶんですけど、フラワ国に帰属予定の私とアンナさんが活躍すればする程…」

「…フラワ国の国益になるってことね」

国に帰属するという事は、個人にとっては一定の権利などをその国から保障されることだが、国にとってはその個人を所有物にするという意味合いがある。仮にセリカとアンナが名声を得ればそれはそのままフラワ国の名声ともなる。


「まるで『勇者』になった気分ね」

「『国の犬』と言った方が正しい表現ですよ…ところでアンナさんは良かったんですか?私と共に行動する事になってしまいましたけど」

セリカが申し訳なさそうに聞くがアンナはあっけらかんと答える。

「んーーまぁいいんじゃない?私は元々色んな国を旅する予定だったし、それはセリカも一緒でしょ?それにあなたの薬で一応コンテストに出れそうだしね」

「コンテスト…あ、そうですね。私達が個人で使う分には問題ないですもんね。でも意外です。アンナさん副作用を嫌がってたじゃないですか」

「なんか、あの事前受付の奴が鼻で笑ってたの思い出すたびにムカついてきてね……性格変わるだけで私であることに変わりないしどうせなら優勝してあの野郎を見返すことにしたの」

「……ちなみに優勝すると何かもらえるんですか?」

「確か、賞金と…」

目の色を変え鼻息を荒くしアンナの肩をガシッと掴むセリカ。

「ぜっっったいに優勝しましょうね!!!!私も全力でサポートさせていただきますっっ!!!!」

「え、ええ……」

この人と一緒で大丈夫かしら?そんな不安が今更出て来たアンナであった。





「当面の目標は、聖アテナイ国で開かれる『踊り子コンテスト』での優勝、それと『勇者』との接触ですね」

「『勇者』と接触する?なんで?」

「私の予想が正しければ『勇者』は私の金づる君になってくれるので」

「……犯罪はもうだめよ」

「はん…っ!犯罪じゃないですよ!むしろ向こうから私を探すようになるんですから!!」

「……」

アンナはセリカの頭から足先まで視線を2往復させる。

「そ、そういう意味じゃないです!!」

「まぁ、犯罪じゃないならどうでもいいわ」

「どうでも…」

「それよりこれから私達はパーティーとして活動する訳なんだからパーティー名を考えないと!」

しっかりしている印象を受けるアンナだったが、こういった事に目をらんらんとさせる辺りまだまだ子供なのだろう。そういった気持ちはとうの昔に消え、好きな物は何と聞かれたら即答で「お金です♪」と答えるセリカにはパーティー名など心底どうでもいい。


「……そちらの方がどうでもいいと思いますが」

「なら私が勝手に決めちゃうわね!そうね~…『真紅の乙女達(クリムゾン・メイデン)』なんてどうかしら?我ながらいい名前を思いついたわね」


納得顔で何度も頷いているアンナの横でこめかみを押さえるセリカ。

「いたたたたたたたたたたたたたた……」

「な、なによ」

「…アンナさんって何歳でしたっけ?」

「今年で15歳だけど」

「あらぁ~~……いたいのいたいの飛んでいけ~!……いたいの消えました?」

アンナの頭を撫でながらおまじないを唱えるセリカ。アンナはかわいそうな人を見る目でセリカを見つめる。





「今、アンナさんが私に向けている視線をそっくりそのまま返しますよ」


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