「いや!そっちかよ!!」
25話目となりました。1話1話も短く更新頻度もまちまちなのですがよろしくお願いします。
「恐ろしい国です…」
宿屋のベッドにダイブするセリカ。あの後どんどん人が増えて街中がミュージカル化したのだ。そんな中で歌い踊りながらもなんとか買い物を済ませると曲調が落ち着いたバラードに変わっていき、宿屋に着くと同時に解放された。ただ体中を巡る熱はまだまだ収まりそうにない。最初は戸惑ったものだが途中から楽しくなってきたのだ。舞台や映画の登場人物もこんな感じなんだろうか?そんな事を考えながらベッドで横になって心身の熱を冷ましているといると微かにコンコンと窓を叩く音がしている事に気づく。窓へ目を向けると1人の男性がこちらに笑顔を向けている。
「♫さあ外へ行こ…ちょっやめっ!」
「今クールダウンしているんですよ。あんまりしつこいと落としますよ?」
「いやもう落とそうとしてい…うわぁぁぁぁ!!」
セリカは窓を開け男性の使っていた梯子を外すと男性は弧を描きながら落下していった。
「あ、先ほど買った物を整理しませんとね」
窓に鍵をかけカーテンを閉めると荷物の整理を始めた。
先ほど買った物は、手持ちのお金、リュックの容量もあって多くは買えなかったがイヤリングにバングル、ストールやハットといった小物系にワイン2本だ。これだけでも金貨7枚も使ってしまった。今夜の宿代を含めて残金は金貨と銀貨それぞれ3枚ずつだ。エルザに無料提供した分の薬の事もあって大赤字である。
「これは非常に不味いですが…うふふ♪」
エルザが年齢詐称の魔法を行使した際にセリカもまた、身体に封印してある数ある遅延魔法の1つ、復号魔法を行使していた。これは魔術による封印や呪いなどの魔術式を紐解く術であり、今回は年齢詐称の魔法を術式を解読するために使用した。
「マジシャンの種明かしってところですね。では、早速…『血の契約により 我に従え 美の女神 アフローディテ!…」
復号魔法によって判明した年齢詐称の魔法の術式を構築し始めるとセリカを覆うように魔法陣が現れる。
「…失われし水と未だ見ぬ実りをこの身に映せ! 年齢詐称!!』」
魔法陣が発光し出すとその光がセリカを包みだす。
「あれ?」
しかし、すぐにその光は消えセリカの姿は変わらずにいた。
「ま、魔力が足りなかったのですね!ではもっと多めに練って…『血の契約により…」
魔力を多く練り込み詠唱すると先ほどよりも強い発光を見せるが何も起きない。
「『年齢詐称』『年齢詐称!』『年齢詐称!!』」
なんど試しても変化はなく、ただ魔力が枯渇し倦怠感と頭痛に襲われただけであった。
「くぅぅぅ…久しぶりの魔力枯渇……これが嫌で遅延魔法を死に物狂いでモノにしたと言うのに…」
ベッドに行く事も儘ならず、床に突っ伏してしまう。
「これ…やばいですね」
どんどんと頭痛が強くなり始める。手足も痺れ始め指一本動かすのがやっとである。こんな感覚はいつ以来だろうか?
「非常に不味い事になりましたよ…」
冷や汗が噴き出し、身体から熱がなくなっていく感覚が覆い始める。
「このままでは破産してしまいます…」




