トホホ…な昼食
銀貨の数のミスがございましたので、訂正致しました。(11/1)
「どうしたんです?その毒草の束…」
集合場所である森林の入り口でウルフの毛皮をなめしているとカイルとヨハネが戻ってきた。その手には渡した麻袋とは別に毒草を抱えている。
「偶々近くに見つけたから採ってきたんだ。商人かギルド辺りが買い取ってくれるんじゃないかと思ってな……あ、セリカは商人だったな。良かったら買い取ってもらえないか?」
ずいっと差し出された毒草を見てニコリと笑顔を向ける。
「もちろんいいですよ!なんでしたらいくつか調合して差し上げますよ?調合費用はタダです!」
「いいのか?」
「はい♪ヨハネさんにはこれからご贔屓にさせてもらいたいですしね~…そうですね~、ヨハネさんの必要な分だけ調合して残った毒草を買い取りという形でどうでしょう?」
「では、眠り薬と麻痺毒薬を…そうだな、3回分ずつ。あとは鎮痛剤も作れるならそれを4回分で残りの毒草は買取で頼む」
ヨハネの注文を聞きながら必要な毒草を仕分けていくと調合分と買い取り分が大体半々になった。
「かしこまりました!それではこちらが買い取り分になりますね。銅貨8枚でどうでしょう?」
「ん、頼む」
「ありがとうございます♪」
ポーチから銅貨を取り出しヨハネに払い、買い取り分の毒草を種類毎に仕分けしてリュックにしまう。
「さて、次はカイル君ですね。指定した薬草は採れましたか?」
「うん、バッチリだよ!」
3つの麻袋の中身を確認するとちゃんと指定した薬草がそれぞれ入っている。
「はい、確かに。では薬作りに取り掛かるので町に戻りましょうか」
荷物を纏めようとすると、
「…ところでセリカ。私達は薬草を採りに来たんだよな?」
ヨハネがなめされた毛皮や肉塊を見て尋ねてきた。
「……えへっ」
「あんまり高いものは頼まないでくださいよ~」
薬草を手分けして採る約束をすっぽかし、勝手に狩をしたセリカはヨハネに散々文句を言われた。結局、二人にお昼を奢るという形で落ち着き、町の定食屋へと赴いた。町で一番人気のこの定食屋はお昼時ということもあって騒がしい。
「カイル、好きなものを頼んでいいそうだ」
「ちょっとヨハネさん?聞いてます?」
「えっと、それじゃあランチセットを…」
「なんだカイル、もっと豪勢にいこうではないか。そうだな…ミートパイにグラタン、それから蒸し鶏の香草和えと…カイル、何か飲むか?」
「あの、ヨハネさん?」
「じゃあ、エールを…」
「では私はシードルをいただこう」
遠慮して一般的な料理を頼むカイルとは逆に、お構いなしにどんどんと注文するヨハネ。ヨハネの金銭感覚がおかしいのかそれとも奢りだからとここぞとばかりに頼んでいるのか…
「お客様はいかがなさいますか?」
ウェイトレスがこちらに笑顔を向ける。
「…黒パンと豆のスープのセットで」
格安の食事を私は頼んだ。
「なかなか美味かったな」
「僕あんなにたくさんの美味しいご飯食べたの初めてだよ!」
ヨハネはみんなに料理を取り分けてくれたので、一人だけ寂しい食事とはならなかった。運ばれた料理はどれも美味しくまた来ようという気にさせられる。問題はお会計だ。ウェイトレスに渡された伝票に目を丸くする。
「銀貨4枚になります」
「ぎ、銀貨4枚ですか?」
くうぅぅ……っと下唇を噛みながらポーチから銀貨を取り出そうとするとヨハネが銀貨を2枚渡してきた。
「半分は私も出そう。全額はキツイだろう?」
「ヨハネさん……」
全額奢らせると言っておきながら半分払ってくれた男前なその美女に一瞬ときめきそうに…
「…元々銀貨3枚分はヨハネさんが注文した分ですけどね」
…ならなかった。




