採って集めて
少し間が開いてしまいましたが11話目となります。よろしくお願いいたします。
翌日、朝食を済ましカイルと待ち合わせた広場に向かうと既にカイルはいた。
「セリカさん!」
こちらに気づいたカイルが走り寄ってくると隣にいるヨハネを見て首をかしげる。
「おはようございますカイル君。お早いですね~」
「早くお母さんを治してあげたいからね!その人は?」
「ヨハネだ。セリカとは知り合ったばかりだが話は聞いているぞカイル。私も薬草採りを手伝うぞ」
昨日、薬草採りをすることをヨハネに言ったところ自分にも薬を作って欲しいと言われたので、相部屋のお礼も兼ねてタダで作るけど薬草採りを手伝うように頼んだら了承してくれた。
「軽い自己紹介も済んだところで早速行きましょうか」
リュートの町を出て少し南に行くと森林がありそこは様々な動植物が自生している。今回はそこで薬草を採取するつもりだ。万が一魔物が出現した場合も考えてヨハネはカイルと行動を共にしてもらう。
「では、昨日も言ったように麻袋いっぱいに取ってきてくださいね。とりあえずお昼になったらここに集合しましょう!」
森林の入り口で二手に分かれると奥のほうに進む。しばらく進んでからカイルとヨハネが向かったほうへ振り返り二人の姿がないことを確認する。
「…二人ともいませんか~?いませんね~?…では」
短剣を取り出し森林の奥にあるという洞窟に向かって走り出す。目標は中にいるウルフの討伐。正確にはその毛皮と肉、牙なんかが目的だ。
「申し訳ないですけどお二人が薬草採取している間に、私も商品の補充をさせて貰いますよ~」
洞窟に近づくと中にウルフの群れがいるのが気配で分かる。ウルフもこちらの存在に気づいているのか洞窟の入り口にまで聞こえるくらい大きくて低い唸り声を上げている。
「夜行性だからお休みだと思ったんですが起きていらっしゃいましたか…では、眠ってもらいましょう!」
魔力を練り詠唱を始める。
「『来たれ風精、花の精、彼の者等を眠りへ誘なえ。眠り粉!』」
右手のひらにふぅっと息をかけると粉状の光が洞窟へと流れ込んでいく。しばらくすると唸り声は止み、静かな寝息だけが聞こえてきた。ゆっくりと中へ入ると5匹ほどのウルフが気持ちよさそうに寝ている。
「どうか安らかに…」
短剣を構え急所を一突きしていく。わざわざ眠らせたのは変に戦闘をして毛皮をダメにしないためである。その会あって5匹分の毛皮は大きな損傷なく回収できた。血抜きをして肉、牙、爪など回収できるものを回収し終わると、魔法で火をつけ死体の処理をする。
「さて、もうそろそろお昼ですね」
回収した素材をまとめると森林の入り口へと走り出した。
「ヨハネさんは冒険者なの?」
薬草を採取しながらカイルはヨハネに尋ねた。
「ん、旅費稼ぎ程度に稼がせてもらっている…お、こんな所に生えているなんて珍しいな」
「?」
ヨハネはつる状の植物を採取してカイルに見せる。
「シノメニウムだ」
「なにそれ?」
「毒草だな。矢尻に塗って毒矢にしたりする」
「ど、毒草って…僕らは薬草を探しに来たんじゃないか!」
「薬草としても使えるぞ。毒があるのは果実。根や茎は薬として使えるんだ」
「そ、そうなの?ヨハネさん詳しいんだね」
カイルが恐る恐る顔を近づけて観察する。大方、今後の参考にするのだろう。
「使い方を間違えれば中毒を起こして最悪死ぬがな」
カイルは、ひっ…と声を上げ慌てて後ずさるが勢いあまって転んでしまう。
「も、もう!真面目にやってよ!」
「ははは!すまんすまん!」
セリカに渡された3つの麻袋にそれぞれ指定された薬草がいっぱいになるとヨハネはカイルに声をかける。
「ふむ。こんなものでいいだろう。時間もいい頃合だし帰ろうか」
「……」
「群生地が見つかったのは良かったな。もっともこの場所を探すと良いと言ったセリカはこれを知っていたのだろうな」
「……」
「どうしたカイル?さっきから黙って」
「ヨハネさん、それは何?」
カイルは麻袋とは別に山積みにされている草花を指差して尋ねる。
「これか?これはだな…」
ひょいと草花を持ち上げて笑顔でヨハネは答える。
「毒草だ」
毒草を抱えて笑顔を浮かべる美女がカイルには悪い魔女に見えてしょうがなかった。




