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旅立ち

とある勉強のため書かせていただきます。更新頻度は遅めですが、暇つぶし程度にでも読んでいただけると光栄です。

海の見える丘にある小さな墓標に花を添え、手を合わせて私は小さく呟いた。


「めんどくさい人でしたがあなたには感謝してもしきれません。あなたは、こういうことを面と向かって言い合うのは嫌がりますけど、今は……面と向かっていない今は感謝の意を述べさせていただきますよ……お義父さん」




 ――十数年前、1つの村が突如として現れた魔物の群れに滅ぼされた。幼い少女は両親に森へ逃げるように言われ必死に逃げた。少女は決して後ろを振り返りはしなかった。でないと両親の行いが無駄になってしまう気がしたからだ。

それから何日経ったかは定かではないが、森で生き倒れていたところを隠遁者であった1人の老人に拾われた。

 ガイアと名乗ったその老人は変わり者であった。昔は薬師であったと言う時もあれば、商人、あるいは騎士であったと言う時もあった。使いっぱしりで町に買出しに行った時に町の人に聞くと皆「あいつは詐欺師だ」と口を揃えて言った。

 ガイアは少女に薬の作り方、魔法の使い方など技術的なことや世界情勢、需要と供給などといった知識、自分の持ちうるものを教えた。教えた事をあっという間に吸収していく少女をガイアは「おもしろい玩具を拾った」といつも言っていた。

 そんな生活を続けていたがガイアが逝く時はあっけないものだった。

老衰死であったが最後の最後まで少女に「余生の遊びとしては楽しめた玩具だった」とハキハキと言っていた。そんなガイアに少女は「玩具で遊ぶ時間は終わりです。子供はベットで寝て、玩具は玩具箱に帰るんですよ」と笑顔で答えた。どこか納得したようにニヤリと笑って男は息を引き取った。――




「さて、感傷に浸るのはこれくらいにしてそろそろ行きますか!」


とりあえずの進路はこの辺りで二番目に大きな町であるリュートだ。


「何をするにしてもまずはお金ですからね」


栗毛色のロングの髪に茶色がかった瞳をした少女…もとい女性は大きな荷物を背負うと丘を後にした。



 数刻ほど歩いて無事にリュートに着いた女性は町に入るために門番のいる関所に並んだ。

「身分を証明するものは?」

武装した兵士に無愛想に問われた女性は荷物を降ろして笑顔で答えた。

「はい、私はセリカと申します。職業は…そうですね、商人ですかね?」

「…なんで疑問系なんだ?」

「ちゃんとした商人を名乗るには商業ギルドに属していないとダメでしょ?私はまだどのギルドにも属していませんから。これから商業ギルドに登録するためにここに来たんです♪」

「…身分を証明するものがないなら銀貨1枚を支払ってもらうぞ」

「前来た時より高くなってません?」

「…何年前に来たかは知らんが子供なら銅貨5枚だな」

少しイライラし始めた兵士とこれ以上問答をするのもあまりよろしくないので素直に銀貨1枚を払うと町に入り、その辺にいた町民に道を聞いてギルドへと向かった。




「ようこそ冒険者ギルドへ。冒険者のご登録ですか?」

「へ?」


受付にいた女性から出た言葉にセリカは素っ頓狂な声をあげた。

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