爺さんは可愛い
現状が分からないまま、魔王が飛んで行ってしまったので、僕はとりあえず、魔王に言われたとおり、老人を探すことにし…と思って扉を開けると目の前に…正確に言うならば、足元にいた。
どうやらドアノブに手が届かなかったらしい。
ヒゲを生やしていて、白い髪がちらりと見える青色のフードを被っている。
なんというか、その…かわいい。
とにかく僕は話しかけた。
僕「お爺さん、ここはどういう世界で、ここはどこですか?」
そこで僕は違和感を感じた。声が太くなってるぅぅぅ…君の〇は。のCMみたいな感じだな……いや、そうじゃなくって、…僕は魔王の声のようにずっしりとした声になっていた。
実はコンプレックスだったんだよね声が!と言うぐらい僕の声は人より少し高めだった。
それで、中学生の時にはよくからかわれた。
僕の口数が減ったのもそれが原因な部分もある。
だから、声が低くなったのは嬉しかった。
それだけだ。
話を戻そう。
爺さんはゆっくりと喋った。
爺「魔王様から聞いておる。お前にこの世界の事を教えてやれと。受け入れることに時間はかかるかもしれんがな。魔王様は、説明が雑だし、よくお前も分からなかっただろう?」
そう言われるとうなづくしかない。
確かにそうなのだ。雑だった。
とにかく早く遊びに行きたい欲という心の叫びが魔王からは漏れていたな…。
爺さんは話を続けた。
爺「ここは、ゲームの中という世界らしい。わしも正直そのへんの世界も分からない。ただ、昔は、よく勇者がたくさんいて、そいつらが話しているのを聞いた。」
ーーーゲームの中…。
そうか、僕は、ゲームの中に。
夢のような気持ち半分、僕はなんのゲームの中にいるのか…。
この爺さんは見たことのないキャラということになる。
しかも昔と言っていた。つまり、結構前のゲームなのだろうか。
ん…なにかが引っかかる気もするんだけど…思い出せない。
爺「そして、ここはどこかと言ったな。ここはサターン・ジョイスという街だ。そして、ここは魔王様の城。」
「昔からよく壊されたんだけどな。今じゃ半日で城を治せるようになったわい。カカッ。」
そう笑うと爺さんは、杖をくれた。
いや、急すぎるとも思ったし、爺さんの城が半日とかいう、大工さんもビックリの情報に驚きを隠せなかったが、受け取った。
とりあえず、ピンチになったら何かそれっぽいものを言えば、なんとかなるらしい。
街を歩け。そうも言われた。
街を歩いて、何か気づいたことや、気になることがあれば言えと。わしも一緒に行くと。
確かに百聞は一見に如かずとも言うし…歩いた方が、街の景色も分かる。いい案だと思った。だからノッた。
そして街を歩くために目立つからと爺さんとお揃いのフードも貰った。
何故か爺さんは嬉しそうな表情をしていたが気にしないでおこう。
そして僕らは街へ出た。