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偽りの影

作者: リケルメ

恵は走っていた。計り知れない恐怖から逃れるために。

ーまた付けられてる。

後方に人の気配がする。今日で2日目だ。昨日は家まで付いてこられたが中に入ってしまえばこっちのものだ。恵は自分が可能な限り早く走った。T字路の200メートルのほど先に恵の家はある。T字路を曲がって後ろを確認すると、ストーカーの姿は見当たらなかった。少し安心したが、まだどこかに潜んでいるかもしれない。家に入る前にもう一度辺りを見渡したがどうやら本当に引き返したらしい。恵は家に入ると力が抜け尻餅をついた。


桜子は重い足取りでとある教室に向かっていた。もう9月だというのにまだまだ暑く、木々も青々とした葉っぱを身に纏っている。桜子の教室から出て、となりのプレハブ校舎の2階に目的の教室がある。法学部と書かれたプレートが見えてきた。教室の扉から覗いてみると、祐一郎が真剣な眼差しで何かの雑誌を読んでいた。

「久しぶり小鳥遊君。今日は誰とも言い争ってないんだね」

「悪いが今君と雑談しているほど暇じゃない」雑誌から一切目を離さず祐一郎が言った。

「何読んでるのそれ」どこかの海外の雑誌のようだ。表紙には何かの建造物がそびえ立っていて、アルファベットが書いてあるが英語ではないようだ。なんて書いてあるのかはわからない。

「、、みあるのか?」アルファベットの解読に集中し過ぎて最初の方が聞き取れなかった。

「今何て言ったの」

「だからイタリアに興味があるのかって聞いたんだ」ようやく雑誌から目を離した祐一郎はボサボサの髪の毛をクルクルとしている。

「興味はなくはないかな。海外旅行好きだし」桜子は中学生の時両親とイギリスに行ったことを思い出した。日本とは違う文化に触れ合うのもそうだが、そもそも建物から違う。ヨーロッパの建築物を見ているだけでも心が躍る。

「その程度か。これだから世界に目を向けられない人間は、、、」あからさまに嘘っぽいため息をつきながら祐一郎は続けた。

「これを見ろ。」先ほどの雑誌を桜子に見せてきた。

「イスラム文化センターだ。建築ディレクターのパオロ・ポルトゲージら20名ほどで設計したものだ。この幻想的な天井を見ろ。ダイヤゴナルに交錯したものは万華鏡をイメージしたらしい。さらに宇宙をイメージしたドームと壁からの光は神に例えられるほどのものなんだぞ」珍しく祐一郎が目をキラキラさせながら説明してきた。おそらくよっぽど好きなものなのだろう。

ーよく見ると本当に幻想的だな。桜子は素直に感動した。それを見てふっと祐一郎が鼻で笑った。

「少しは良さがわかるみたいだな。感心するところも少しはあるみたいだ」

「少しって何よ!せっかく共感してあげたのに」

「ところで、何の用で来たんだ?僕は君の相手をしてるほど暇じゃない」桜子は少しむっとしたが堪えた。そして友人の恵から受けた相談を祐一郎に話してみた。

「そんなこと警察に言えばいいだろ。まぁ事が起きない限り警察は積極的に動かないと思うがね」祐一郎の言う通りだった。恵は警察に相談はしたものの、軽く話を聞かれ、少し現場の確認をして、何かわかったら連絡するとだけ言ってあとは何もしてくれなかったらしい。もちろんそのあとの進展も、連絡もないらしい。

「小鳥遊君なら何かわかるかなって、迷惑だよね。ごめん」桜子も恵から相談されたものの、打つ手がなく困っていた。

ーやっぱり何もしてあげられないか。ごめん恵。桜子は俯きながらそう思っていると祐一郎がはぁとため息をつきながら席を立った。

「僕に出来ることなんて少ないかもしれない。その結果何もしてあげられなくてもいいのなら少しだけ手伝ってやろう」

「本当?ありがとう小鳥遊君!」桜子は手を叩いて喜んだ。この前の事件を解決した祐一郎なら何かを掴んでくれるかもしれない。しかし先ほどあまり期待はするなと言われたので少しだけ期待することにした。すると祐一郎は髪の毛をクルクルしながら桜子に背を向けてしまった。一瞬だが顔が赤くなっていたような気がした。

ーまさか気のせいか。

あの性格の祐一郎が照れるとは思えなかった。不意に祐一郎がくるっとこちらを向いてきた。

「あと僕の事は小鳥遊君じゃなくて下の名前で呼んでくれ」

「え?下の名前って祐一郎君ってこと?」

「他になにがある。脳みそ入っているのか?」やはり先ほどの照れた顔は見間違いだろう。そう思った私が馬鹿だった。

ーでも下の名前か、、、なんだか距離が近くなった気がするな。桜子は不覚にもそんな事を思っていた。


改めて放課後に祐一郎の元へ行ってみると、

「恵さんの話が聞きたい」と開口一番に言うので恵の所属するテニスサークルが練習しているグラウンドにて話を聞くことにした。ちょうど練習が始まるところだったらしく、恵は準備運動をしていた。

「あ、桜子!小鳥遊君も一緒なんだ」恵が祐一郎に視線を合わせると祐一郎は軽く頭を下げた。

「祐一郎君が恵の話を聞きたいって言うからね。今時間大丈夫かな」

「大丈夫だよ。今日は先生来ないから自主練だし」そういうと恵はベンチに腰を掛けた。桜子も釣られて恵の隣に座ったが、祐一郎は立ったまま髪の毛をクルクルしながら空を見上げている。本当に恵の話を聞きに来たのか疑いたくなる。

「ところで小鳥遊君、何を話せばいいのかな」

「何か体に直接危害を加えられましたか?殴られたとかだけでなく、腕を掴まれたとか」

「ううん。直接何かされたとかはないの。ただ付きまとわれてるだけ。だから警察もなかなか動いてくれなくて」

「まぁそうでしょうね。それじゃ警察は動かない」祐一郎はそう言いながらタブレットを取り出した。

「へぇ。意外。祐一郎君そんなの使えるんだ」桜子は少し驚いた様子で祐一郎の手元のタブレットを見つめた。祐一郎は機械音痴なイメージがあったのだがどうやらそうではないようだ。

「今の世の中このくらいのものが扱えない人間なんかいない。第一、君に下に見られるのが非常に不愉快だ」祐一郎がそう言いながらタブレットを操作し、地図アプリを開いた。

「確か恵さんの家はこの辺でしたね」

「そうだよ。毎日駅から歩いて家に帰ってるの」

「毎日だいたい決まった時間に駅に着いてるのですか」

「毎日ってわけじゃないけど、だいたい決まってるかな」恵が言うと祐一郎は小声でブツブツ言いながら考え込んでしまった。

「何か気になることはないの?例えば知ってる顔の人だったとか」桜子が気になったことを聞いてみたが恵は首を振った。

「だいたい知ってたらもう事は済んでるでしょ」恵に言われてそれはそうだよねと桜子はため息を吐いた。

「とりあえず現場に向かいましょう」さっきまで考え込んでいた祐一郎が顔を上げながら言った。どうやら何か思う事があるらしい。

「そうだね。恵!案内よろしくね」考えてても仕方ない。とりあえず現場を見て怪しい人がいないか確認するのが一番だ。桜子はそう思いながら腰を上げた。

「君は別に来なくていい。居ても何も役に立たないだろ」立ち上がった瞬間にそう言われたものだから腰から砕け落ちそうになった。

「そんなこと言われても行きますからね!祐一郎君のバカ!」桜子は祐一郎の頭を叩こうとしたが、華麗によけられた。それを見た恵は仲がいいのねと言いながら笑っていた。


森本は先日の事件の始末書を書かされていた。先日の事件とは八巻商事勤める吉田寛太が元同僚の笠岡修二を殺害した事件だ。

「民間人を巻き込んだ挙句、その民間人を危うく怪我させられそうになるとは何事だ!馬鹿もの!!お前はしばらく捜査から外す。いいな」署長の下地からそうこっ酷く叱られ、始末書まで書かされる事になってしまった。祐一郎を巻き込んだのは確かに森本だが吉田寛太に勝手に話をつけに行ったのはあいつだ。そんな事するから危ない目に合うんだ。思い返すとイライラしてきて机を蹴っ飛ばした。

「くだらん。なんで俺がこんな事書かされる挙句に捜査から外されなきゃならねぇんだ!ふざけんな」もう一発机を蹴り上げようとしたところで背後の扉が開いた。

「おう。元気そうじゃねぇか。元気すぎて暴れ回ってるみたいだが」ニヤニヤと笑いながら姿を現したのは課長の宗本だ。宗本とはまだ森本が警部補だったころに共に捜査していた上司だ。実は下地が署長になる前に宗本が署長になる話が出ていたのだが宗本がこれを断ったらしい。キャリアアップなど興味ないー。宗本はかつてそんなことを言っていた。そういう所が森本の憧れではあるのだが、この一件で宗本の署内での印象は正直良いものとは言えなくなってしまった。

「なんだ。あんたか。俺は今あんたらの上司からお願いされた作文を書かなきゃいけないんだ。」皮肉交じりにそう言うと宗本は豪快に笑いながら始末書を手に取った。

「まだ何も記入してないようだが?やはり文章すら書けないのか。最早動物だな」

「お前が来たから書けてねぇんだよ!そもそも俺を馬鹿にするために来たのか」森本はまくし立てたが宗本はどこ吹く風という感じで窓の外を見つめていた。

「警察はお前の様なやつがいなきゃならん」宗本がボソッと呟いた。予想外の言葉に森本は一瞬固まった。

「突然何を言いやがる。ぼけたのか」

「何でもない。お前捜査に戻りたいか」

「それはそうだ。俺の仕事は外で汗水垂らして捜査することだ。こんな所で作文なんか書くのが仕事じゃない」

「だったら準備しろ。俺の下に付け。今から聞き込みだ」宗本はそういうと部屋から出て行こうとした。森本はあまりの展開に呆気を取られていたが我に返り宗本を呼び止めた。

「俺は今捜査から外されているのはわかっているよな?勝手に俺を捜査に戻したらあんたがどうなるかわかってるのか」

「そんな事はお前は心配しなくていい。警察は人手が足りないんだ。部屋で閉じこもってる暇があるなら働け馬鹿もの」森本の背中を軽く叩くと宗本は部屋を出て行った。

ー馬鹿だな。あんたはちっとも変わってない。大馬鹿だよ。森本はジャケットを羽織りながら部屋を飛び出した。


恵が登下校に利用している駅に着いた祐一郎たちは案内されながら現場検証していた。現在は午後7時で働いてる人々が帰宅するような時間なのだが、人通りは多くない。これなら怪しい人物がいたとしても目撃されないのはさほど不思議ではない。

「一応家がここなんだけど」恵が立ち止まり、木造3階建てのアパートを指差した。築15年以上と聞いていたが意外と外観は綺麗に保たれている。

「家まで付いてこられたことはありますか」祐一郎がそう切り出すと恵は首を振った。

「初めて付けられた時は家まで来られたの。なんとか玄関を閉めたからその後は平気だったけど、、、2日目は家までは来なかった」

「2日目は家まで来なかったんだ。良かったけどなんでなんだろうね」

「さぁ。T字路を曲がった後に後ろを確認したときにはもう居なかった」駅から恵の家に向かうまでの道にT字路がある。おそらくそこのことだろう。

「2日目は来なかった?」祐一郎は空をぼんやり見上げながら呟いた。

「恵のこと見失ったとかかな?」誰かを付けてて見失う。ドラマとかではよく見るシーンだ。恵はテニスもやっているため足もそこそこ早い。走って撒こうと思えば出来るかもしれない。

「どうだろう。確かに走ってたけどストーカーの人も途中までは付いてきてたし。あと1日目も走ったけど撒けずに家まで来られたんだよ」恵がそう言うと祐一郎は髪の毛をクルクルして黙り込んでしまった。

「秋の大会があるから早く解決してほしいんだけどね」

「恵はうちの学校のエースだからね。こんなことさっさと忘れて練習に打ち込みたいもんね」恵は1つ上の代の試合にも出場している。それだけ期待されているし、桜子自身も試合を見に行ったことがあるのだが年上相手に引けを取らないプレーをしていた。今年は恵自身の代だ。練習に打ち込みたいのだろう。

「今得られる情報はこれくらいでしょう。恵さん。もしまた何かあったら連絡してください。これが僕の携帯番号です」祐一郎は走り書きのメモを恵に渡すの髪の毛をクルクルしながら一人でに歩いて行ってしまった。

「桜子もありがとうね。とりあえずまた何かあったら報告するから」

「大丈夫。私と祐一郎君が解決してあげるから」胸をくるとポンと叩くと恵が笑い出した。

「本当に仲良いんだね。小鳥遊君追いかけなくていいの?置いていかれちゃうよ」後ろを振り返ると祐一郎がもう結構な距離を歩いていた。その後ろ姿が小さく見える。

「もう。本当に自分勝手なんだから」桜子は恵に別れを告げると駆け足で祐一郎の姿を追った。


森本は宗本と共にある川に向かっていた。どうやら水死体が発見されたため、今宗本の運転で現場に向かっているところだ。

「で、死因は溺死なのか」森本はぶっきらぼうに聞いた。宗本はふんと鼻で笑うとタバコを取り出した。

「川で発見された遺体が全て溺死だと思ってるのかお前は」

「そんな訳ないだろ。じゃあ死因はなんなんだ」宗本と今口喧嘩してても仕方がない。森本は怒りを堪えた。

「お前のその足りない脳みそで考えてみろ」

ーもう我慢ならん。上司だろうが一発ぶん殴る。手を上げた瞬間車が急旋回して、森本は頭をドアにぶつけた。それを見た宗本は大笑いした。

そうこうしているうちに現場に到着した。すでに規制が敷いてあり、多数の捜査官が現場検証をしていた。

「おい、やっぱり謹慎中の俺がいるとまずいんじゃないか」森本は耳打ちをした。

「お前さんは柄に似合わず心配性だな。そんなに嫌なら歩いて帰れ」そう言うと宗本は規制のテープをくぐって行ってしまった。

ーもう知るか。俺は責任取らねぇからな。

森本も後に続いた。

他の捜査官が森本の顔を見て驚いたような顔をしたがそんな事は気にせずに宗本の後に付いて行くと、ブルーシートが目に入った。どうやらこの下に水死体があるらしい。森本は宗本と共に合掌した後ブルーシートをめくった。

「刺殺か、、、」森本は呟いた。服の上から心臓を刺されたのだろう。胸の辺りに血がこびりついている。他に目立った外傷はないようで、恐らくいきなり刺されたのだろう。

ー通り魔か?それとも知り合いの犯行か?

考えていても仕方がない。とりあえず聞き込みだ。

「なぁ、これからどうする」

「考えるより動け。とりあえず関係者を洗うぞ」宗本は歩き去っていった。

ーなんだかんだやっぱりあんたは憧れだ。

森本は自然と笑みがこぼれた。


「歩くのが早いよ祐一郎君」

ようやく祐一郎に追いついた桜子が息を切らしながら言った。まさか本当に置いていかれるとは、、、祐一郎の身勝手さには本当に驚かされる。

「ついてこいなんて言った覚えはないのだがな。君は本当に身勝手だな」

まさか祐一郎に身勝手と言われるとは、、、開いた口が塞がらない。

「ところで今日は待ち伏せするの?」

桜子が言うと祐一郎が明らかに小馬鹿にしたようなため息を吐いた。そんなに変な事を言っただろうか。

「そんな事をする訳がないだろ。なんかあった時の為に電話番号を渡したし、もしものときは警察がいる。僕がやるべきことじゃない」

「じゃあ祐一郎君がやるべきことってなんなの?」そう言うと祐一郎が不敵に笑った。

「もちろんストーカーを捕まえるために情報を集めるのさ」どうやら話を聞くと森本さんを使い、調べ物をさせるらしい。最早森本さんが手下なのかと疑ってしまう。

「僕は僕で動く。いくら僕にもキャパシティーというものがあるから、手分けして調べたほうが早い」

「それはそうだけど、、、じゃあ祐一郎君は何から調べるの?」すると祐一郎はいきなり桜子の目の前に指を突きつけてきた。

「君にもやってほしいことがある」その瞬間なんだか嫌な予感がした。


桜子は祐一郎に言われるがまま、一旦学校に戻ってきた。

ーテニスサークルで何か情報を掴んでこい。

そう言われたのだが、何かというのは漠然とし過ぎていて何を聞き出せばいいのかまったくわからなかった。

ーとりあえず顧問の先生にでもサークルでの様子でも聞いてみるか。

裏庭から外に出て、銀杏並木を抜けるとテニスのコートが見えた。もうサークルが終わっていたが、部室の点検だろうか。顧問の先生の姿が見えた。

「あのー。すいません、ちょっとお話お伺いしたいんですけど」恐る恐る話しかけてみると、先生は作業を止めこちらを振り返った。

「本田さん、こんばんは。どうしたの?」話しかけては見たものの、何と質問すればいいのかわからず、とりあえずサークルでの様子を聞いてみた。

「様子かー。別に変わったこともないけどな。去年の大会でいい成績を残したから今年はそれ以上の成績をって意気込んでるよ」

「確か1つ上の先輩に勝ったんでしたっけ」

「そうそう。途中までいい試合をしてたんだけど相手の子が太もも怪我したみたいでね。無理をして試合に出たけど、結局恵さんが勝ったんだよ。相当相手の子は悔しそうにしてたな。そういえば」そりゃそうだろう。恵の1つ上ということはその人は最後の大会だったのだろう。怪我でベストコンディションで挑めなかったのは勝敗云々ではなく悔しいのだろう。

「そんな感じなんだけど参考になったかな」

「はい。大丈夫です。ありがとうございました」お辞儀をしてテニスコートを後にした。歩きながら今の話で何か祐一郎の役に立つのだろうか。何も得られてない気がするが、他に質問が浮かばない。とりあえず祐一郎にこのことを報告することにした。電話のコール音が鳴ったあと「誰」とぶっきらぼうの声が聞こえてきた。

「誰って。ちゃんと私の番号登録しておいてよ」

「無駄な事に時間を割きたくないからな。ところでなんだ」よくもここまで人を不機嫌にさせてくれるな。しかも頼み事を依頼した相手に対して。イライラした気持ちを深呼吸で落ち着かせて、先ほど先生と話した内容を軽く説明した。すると祐一郎が電話越しでふっと笑い、やはりそうか。と呟いた。

「何?私があげた情報役に立ったの?」

「勝ち誇ったような口をたたくな。誰にでも出来ることだ。まぁとりあえずご苦労だな」

「ところで祐一郎君は何かわかったの?」

桜子が聞くと意外すぎる答えが返ってきた。

「あぁ。わかったというより進展があった。またストーキング行為に遭ったみたいだ。僕は今恵さんの家の外にいる。今から来てくれ」そう言うと祐一郎は一方的に電話を切ってしまった。なんということだー。さっきまで一緒にいたのに。まさかの展開にしばらくスマホの画面をぼーっと見ていたが、我に返り駅に向かって歩き出した。


森本と宗本は署に戻っていた。と、いうのは被害者の身元がわかったためだ。森本は謹慎中のため話は聞けなかったが、宗本によると被害者は田村守。都内に通う大学生で、昨日家に帰らなかった事を心配した母親に確認してもらったところ間違いないとのことだ。田村の母親によると、最近特におかしな様子や、トラブルは思い当たらないと言っていた。最近の高校生や大学生はインターネットの急速な普及により、インターネット上のトラブルというものが多く、そういったものは身内にも気がつかない場合が多い。

ー今回もそんなところか。

とにかく森本と宗本は親しい関係者を洗うことになったが、田村守という人は内気な性格だったらしく、あまり友人がいないようだった。とりあえず友人に話を聞いて、念のためアリバイを聞いたが裏が取れ、早くも捜査が行き詰まってしまった。と思われたが、とある友人から前に付き合っていた彼女がいたらしく、しかも別れたのがつい最近ということだ。その女性の名前を聞いて、呼んでもらおうとしたが、今取り込み中らしく話を聞くのが難しいとのことだった。なので森本らが直接家に向かうことになった。

「どう思う」大崎の家に向かう車の中で宗本が聞いてきた。

「大崎という女が何か握ってるといいけどな」座席にもたれ、あくびを噛み殺しながら森本は答えた。

ー大崎、、、そういえばなんか聞いたような、、、まぁ気のせいか。

タバコの煙を大きく吐き出し、大きくあくびをした。


祐一郎との連絡の40分後、桜子は恵の家に着いた。玄関の前で祐一郎が大きくあくびをしているのが見えた。桜子が声を掛けるとやっと来たかとボヤきながらインターホンを押した。

「部下が来ました。中に入れてくれますか」

誰が部下だと心の中で叫ぶとガチャという音と共に恵が現れた。一礼をして中に入るとまさにおしゃれな女の子の一人暮らしというべき部屋に案内された。桜子自身、恵の部屋に来るのは初めてだ。綺麗に整頓されており、カーテンの色、カーペットの柄共に派手過ぎずしかし存在感があるものだった。部屋に見入ってしまって、話を忘れそうになったところで祐一郎が切り出した。

「ストーカーに付けられたということですが今回は家まで来られたそうですね」

「そうなの。家の前まで来られたけど、急いで家の中に入って、小鳥遊君に連絡したの」恵の目に涙が浮かんでいる。よほど怖かったのだろう。

「あとストーカーの顔も少し見えたの」

「え?顔が?知ってる人だった?」桜子が聞くと恵は首を横に振った。

「さすがにそこまで見えなかったけど、女の人だったと思う」

「お、女の人?」驚いた。てっきりストーカーというからには男の人が恵に付きまとっていると思っていたが、それは違うらしい。

「恵さんに嫌がらせ、もしくは恐怖心を植え付けるためにしているのでしょう。ですがもうじき終わるかもしれません」祐一郎がそう告げると恵、桜子ともにえっと声を漏らした。

「終わるってどういうこと?犯人の目星ついてるの?」

「それはそうと君の報告を聞きたい。何か収穫はあったのか」

「収穫って呼べるかわからないけど、一応聞いてきたよ」桜子は顧問の先生から聞いた話を全て話すと祐一郎はやはりそうかと呟いた。

「なに?何かわかったの?」

「とりあえず今から犯人確保に向かう。恵さんは安全の為ここにいてください。もしまた何かあったら連絡してください。いいですね?」祐一郎が言うと恵はうなづいた。それを確認すると祐一郎は玄関に向かった。

「犯人確保って?犯人わかったの?」桜子が聞くと祐一郎が面倒くさそうにため息をついた。

「君は人をイラつかせる天才だな。今か犯人確保に向かうということは犯人がわかってるに決まってるだろう。脳みそあるのか?」最早祐一郎の代名詞となった毒舌を発動させると外に出て行ってしまった。慌てて桜子も外に出た。祐一郎の後に付いていくと駅前の大通りに出た。さらに30分ほど歩くとあるアパートの前に止まった。祐一郎が小さく息を吐くと階段を上がり、一番奥の部屋の前に立った。そしてインターホンを押すと少しして女の人の声が聞こえてきた。

「夜分にすいません。明日このアパートの水道工事に伴い、今10分ほどの検査をお願いしているのですが、ご協力お願いできますか」祐一郎の流暢な嘘を呆気にとられているとドアが開いて中から女の人が出てきた。お風呂上がりなのか少し赤みがかった茶色の髪の毛が少し湿っている。

「そんな話聞いてないけど、全員やってるの?」明らかに迷惑そうな表情を浮かべている。無理もないもう夜の9時を回っている。これが本当の事だとしても面倒な事だ。

「申し訳ありません大崎様。先ほど大家さんから連絡がありまして、、、住民の方にはご迷惑をおかけしていますが、検査をお願いしているのですよ」祐一郎はペコペコ頭を下げながら作り笑いをしている。最早俳優なのではないかと疑うほど嘘がうまい。

「それなら仕方ないけど、すぐ終わらせてよ。このあと人と会うんだから。そちらの女の方は?」

「こちらはうちの新人職員でございます。あとは女性職員もいた方が安心かなと思いまして、ご迷惑でしたか?」

「いや、女の人いてくれたほうがいいか。じゃあ入ってください」お邪魔しますと言いながら玄関を上がった。ワンルームの部屋は少し散らかっていた。日頃忙しい人なのだろう。それとも恵の部屋を見たあとだからか。桜子の部屋の方が散らかっている。

「ところで作業を始める前にお聞きしたいのですが」

「なんでしょう」すると祐一郎が髪の毛をクルクルし始めた。少しの間のあと祐一郎が少し笑みを見せた。

「お見通しですよ。もうやめましょう。あなたがストーカー行為をしているのはもうわかっています」そう言うと祐一郎の視線が鋭くなった。怖いほどの迫力で大崎といった女の人は竦んでいる。

「私がストーカー?誰を?」明らかに動揺していて、声が上ずっている。そんな様子を祐一郎はじっと見つめている。

「僕は山本恵さんという女性の方からストーカー捜査の依頼を受けました。知人の刑事に張り込みをさせ、証拠も握ってあります。これ以上言い逃れするなら、面倒なので警察にあとは引き継がせることも出来ますがどうしますか」そういうと大崎はがくっと項垂れた。それがストーカー行為を認めたというのは桜子にもわかった。これで一安心。恵にはいい報告が出来そうだ。するとインターホンが鳴った。何気なくドアから窓穴を覗くとそこには森本ともう一人の男の姿があった。


コンクリート建てのアパートを見つめながら大きくあくびをした。始末書の作成という面倒な事を押し付けられ、イライラして寝れなかった分の眠気がどうやら今来たようだ。森本は眠気覚ましに一服した。

「おい、さっさと聞き込み行くぞ」宗本がアパートの敷地内に入り、一番奥の部屋の前に立った。森本も慌てて火を消し、後を追った。インターホンを押して少し待つとドアが開いた。しかしそこには思いもよらない人物が立っていた。

「森本さん。何しに来たんですか?」その人物は相変わらず面倒くさそうに髪の毛をクルクルしている。

「こっちのセリフだ。なんでお前がここにいる」

「さっき、ストーカー行為を監視するようにお願いしたでしょ」祐一郎の言葉を聞いて思い出した。大崎ー。祐一郎の知人がストーカー被害にあっていたため事実確認を頼まれたんだった。そのストーカーが大崎。

ーどうりで大崎って名前聞いたことあるなって思ったらこれか。

「森本さんバカだから忘れてたでしょ。さすが」パチパチと明らかにバカにした拍手をしてくる祐一郎を殴り飛ばしてやろうと手を出そうとした瞬間に宗本に腕を掴まれた。

「おぉ!小鳥遊君!久々だな」

「ご無沙汰してます」態度を180度変えた祐一郎が頭を下げた。

「最後に会ったのは中学生の時だったな。随分髪の毛も伸ばして。相変わらず森本に使われてるようだな」

「宗本さんからもこのはぐれ刑事に一般人を巻き込むなって言ってあげてください」誰がはぐれ刑事だ。舌打ちしながら何気なく部屋の奥を見ると桜子の姿が見えた。桜子の横で俯いているのが大崎だろう。

「今はお前と世間話してるほど暇じゃねぇ。大崎の話が聞きたい」森本は大崎の方を見た。相変わらず俯いている。

「話とは?まさかストーカーの件で宗本さんが来るとは思わないので別件ですか?」相変わらず勘がいい。祐一郎の眼光が少し鋭くなった。

「ぁあ。さっき川から水死体が発見された。そのことで大崎から事情を聞きに来た」


奥の部屋で桜子は俯いたままの大崎を見つめていた。なぜこの女性が恵にストーカー行為を働いていたのか考えていたら森本がやって来た。祐一郎から部屋で待ってろと言われて待機していたが、水死体が発見された件で大崎から事情を聞くー。森本の言葉が聞こえてきた。

ーこの女の人、ストーカー以外にも何かしているの?考えていると森本ともう一人の刑事らしき人が部屋に入ってきた。

「あんたが大崎加奈だな」森本が低い声で聞いた。

「そうですが、あなたは?」未だ加奈は俯いたままだ。

「警察だ。田村守という男性を知っているな?」すると加奈が顔を上げた。その目はすこし潤んでいるように見える。

「知ってるも何も前に付き合ってましたが、、、」

「さっき水死体で発見された。そのことであんたから話を聞きたい」

「え、、、守君が、、、?なんで、、、?誰に?」加奈震えながら大粒の涙を流した。元彼とはいえ、知り合いが亡くなるのは想像を絶するものだろう。恵のストーカー行為は許せないが、少し可哀想に思えてくる。

「それを今調べている。だから署で詳しく話を聞きたい」森本がそう言うと加奈は大きく首を振った。

「話すことなんてないし、辛くて話たくない!誰とも話たくない!」相当取り乱している。少し落ち着かせるために加奈の肩に触れた。

「触らないで!」桜子の手を振り払うとベッドにうずくなってしまった。

「ちなみに水死体っていつ発見されましたか?」祐一郎も部屋に入ってきて森本に聞いた。

「今朝だ。死亡推定時刻は昨日の夜5時から6時の間だ」

「おいおいお前さんはそうやって祐一郎君に情報流すから始末書書く羽目になってるのがわからんか」森本と一緒にいた刑事はため息を吐いた。

「前にもそれで解決してもらったからいいだろ宗本さんよ。そんなこと気にしてるとハゲるぞ」どうやら祐一郎はこの前の事件より以前にこの宗本という刑事とも知り合っていたらしい。当の祐一郎は髪の毛をクルクルしながら考えてこんでいた。

「そういえば昨日の夜の5時から6時ってちょうどこの人が恵にストーカーしてた時間だ」

「は?なんて言った?」森本が拍子抜けな声を出した。

「ですから、昨日のその時間くらいにこの人私の友達にストーカー行為してたんですよ」

「なんだと、、、?そうしたら、、、」

「こいつのアリバイは成立してるという訳か」顎髭をさすりながら宗本が呟いた。どうやら先ほど言っていた殺人事件の容疑者にこの大崎加奈という女性が上がっていたらしい。だがその時間恵にストーカーをしていたので、犯行は出来ないということだ。恵は確かに昨日ストーカーされたと言っていた。それは先ほど祐一郎が暴いて加奈の反応を見る限り間違いない。

「何か決定的な証拠はあるんですか?例えば凶器にこの人の指紋が付いてたとか」

「そんなもんあったら任意同行じゃなくて、連行してる」それはそうだ。証拠がないから任意で話を聞きに来たのだ。すると祐一郎が加奈のベッドに近づいた。

「この3日間のストーカー行為を認めますか?」いきなり何を言い出すのだろう。不思議に思ったが口にはしなかった。

「警察の方に証拠も握られてるなら嘘ついても仕方ないし、認める」加奈が鼻をすすりながら答えた。

「理由はなんですか」祐一郎はさらに質問した。

「それはあなたに関係ない。もう帰って。今元彼が亡くなって、すごい、、、辛いから」そう言うと再びベッドにうずくまった。

「間違いないのか。こいつが犯行時刻もストーカーしてたのは」森本は祐一郎に聞いた。しかし祐一郎は髪の毛をクルクルしながら黙り込んだ。

「とりあえず一旦署に戻って裏を取ろう。お前さんも長い時間うろついてる訳にもいかんだろう」先ほど言っていた始末書のことだろう。宗本が森本と引き上げようとした。すると祐一郎が再びベッドに近いて加奈を見下ろした。

「昨日の夜に恵さんの家まで行かなかった理由はなんですか?」

「え?」加奈が思わず顔を上げた。

「1日目、3日目ともに恵さんの家まで行き、女性がストーカー行為に及んでいるということを見破られた。それはあなたの作戦ですか?」

「あなたは何を言ってるの?」恵は明らかに動揺しているように見えたが、何故動揺しているのかわからない。ストーカー行為は認めているのだから今更そのことで動揺する理由がわからない。

「では凡人にもわかりやすく言いましょう。1日目、3日目は恵さんの家まで行きストーカー行為に及んだ。しかし2日目、すなわち昨日だけ、何故かあなたは恵さんの家まで行かず途中で引き返している。それは何故ですか?」祐一郎の眼光が鋭くなった。昨日というのはすなわち殺人事件があった日だ。

「わかった。2日目は引き返して殺人事件を起こしたってこと?」桜子が言うと森本が首を振った。

「それはありえない。ここから現場まで1時間はかかる。ストーカーしてたなら殺人は出来ない。昨日、今日は川の流れも穏やかだったから死体が流されてきたということもない」確かにストーカー行為をした後に殺人事件を起こすというのは普通考えられない。そして現場まで距離があるというなら尚更可能性は低い。

「本当に君達はアホだな」祐一郎が髪の毛をクルクルしながら桜子と森本を交互に見つめた。

「2日目、あなたは恵さんの家まで行けなかった。もし、あれが別人だと判明してしまってはせっかくの計画が台無しだからな」

「計画ってなんだ」森本が祐一郎に凄みながら聞いた。それをどこ吹く風と言わんばかりに祐一郎が続けた。

「あなたは1日目は自分で恵さんにストーカー行為をした。もちろん嫌がらせのためです。そして2日目、あなたは殺人事件を起こした。その間恵さんのストーカー行為は別人に任せた。しかし、別人にストーカー行為をさせているため、家までは行けなかった。背格好が違うためだ。適度にストーカー行為をさせて後は引き返すように命じた。そして3日目再び自分でストーカー行為をした。もちろん一連のストーカー行為は全て自分の仕業だと思わせるために。恵さんには女性にストーカー行為をされたということをわざと気づかせた。そうすることで警察にこの殺人事件で容疑者にされてもストーカーをしていたというアリバイがある」

「証拠は?どこにあるの?そこまで言うなら証拠見せてよ」加奈がそう言うと祐一郎はふっと笑った。

「証拠なんてありません。ただ、警察は優秀です。素人が暴ける事件など、警察は時間があれば必ず解決出来ます。ですがあなたはミスを犯しました。1つ目は昨日のストーカーに家まで行かせなかったこと。多少背格好が違えど、恐怖にさらされている人間なら正常な判断が難しい。リスキーでも家まで行かせるべきだった。そうすれば多少誤魔化せたかもしれない」祐一郎の言葉を加奈は呆然と聞いている。

「そして致命的なミス。森本さんが水死体が発見されたと言ったときあなたは誰に殺されたんだというような表現をした。水死体で発見された場合、殺人か自殺か、どちらかなんて言われなければわからないはずだ。なのにあなたはあたかも殺人事件が起きたという表現をした。最早そこで犯行を認めたようなものなんですよ」それを聞くと加奈は大粒の涙を流した。それが犯行を認めたということは桜子にもわかった。


街はすっかり秋色になり、木々も緑色から少し茶色がかった色に変化している。

ー時間が経つのは早いな。結局始末書書かなかったな、、、

少し笑みをこぼしながら森本はタバコに火を着けた。

先日の事件がようやく片付いた。大崎加奈は取り調べにきちんと応じており、犯行も認めているらしい。ストーカー行為は山本恵とのテニスの試合中に怪我をしたが無理やり試合続行したがその怪我がたたり、惨敗したのを逆恨みして犯行に及んだらしい。そしてその件で態度が急変したらしい。当時付き合っていた田村守が別れを切り出すと激昂、所持していたカッターナイフで刺し、殺害に及んだということらしい。あとは祐一郎が暴いたような工作をして逃れようと企んだ。

ーまたあいつに助けられたな。

森本はそんなことを思っていた。その事件のあと署長の下地から呼び出された。

「謹慎中なのにまた捜査に加わったようだな。まぁ今回は宗本が無理やり引っ張り出したみたいだから大目に見てやる。始末書はどうした」森本は素直に書いてない旨を伝えると耳まで真っ赤にした下地にこっ酷く怒られた。もうお前なんか知るか。そう言われて部屋から追い出された。今そのいざこざがそうやく終わったところだった。すると胸のポケットに入れてあった携帯が鳴った。名前の表示を見ると意外な人物からだった。

「おう、なんだ」森本は電話の主にぶっきらぼうに答えた。

「森本さん、何を迷っているんですか?あなたはバカなんだから真っ直ぐ進むことしか出来ないんですよ。バカは考えずに今ある道を進む。それしかないんです」開口一番に相変わらず憎まれ口を叩く。そして相変わらず人の考えを見透かしてくる。

「何も迷っちゃいねぇよ。ただ魔が差しただけだ」

「余計な心配かけないでください。僕は森本さんのことに時間を割いてる暇なんてないですから」そういうと電話が切れた。さすがあいつだな。どうせ今頃髪の毛をクルクルしながらぼんやりなんか考えてるに違いない。そんなことを思いながら森本はポケットの中に入れてあった退職届をくしゃくしゃに丸めると近くのゴミ箱に放った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 名探偵コナン風味ですね! [気になる点] ないです。 [一言] わたしは、ミステリアスなものが好きなので たのしく読まさせていただきました。 しかし、恵さんがご無事でよかった! のりがよ…
2015/09/30 21:10 退会済み
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