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君の、隣で。  作者: 彩世 幻夜
第2章 協力者のお仕事
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捜査開始

 「……ううむ、地元でも結構噂になってもうてるみたいやなぁ」

 悩ましげに、棗が呟く。

 「こら、早う捕まえんと。目立ちたがりの愉快犯系の輩やったら、どんどん調子に乗ってやらかす事がエスカレートするやもしれん」

 「……それは、困る」

 真弓はちらちらと周囲を気にしながら、小声で呟き返した。


 「……で、どうなの? ここが、ある意味第一の――公には事故って事になってる事件の現場なんだけど。今月の1日、始業式の日に三年生の男子が一人ここから落ちて、足の骨を折ったって聞いてる」

 朝の早い後者には、まだ人の気配は殆ど無い。

 ただ、校庭や体育館からは運動部の朝練に出ている生徒たちの声がここまで響いてくる。

 「学校の怪談にはよくある話だけど、ここの階段、数えるたびに段数が変わる、っていう噂のある階段なんだよね」

 「学校の階段の怪談、か。上手い事言うよなぁ」


 ここは、勿論男子棟。うっかり誰かに見つかれば、そのまま生徒指導室に連行されてしまう。

 だからこそ、人気の少ないこの時間を狙って早出をして来たのだ。

 「……どう、何か分かる事はある?」

 「――間違いないな、力の気配が残っとる。そいつが落ちたんは事故なんかやない」


 ポケットから出て、あちこちふんふんと文字通り嗅ぎ回っていた棗が断じた。

 「けど、時間が経ってしもうとる分、匂いが薄まって……そいつが何者かまでは判別がつかんのや」

 悔しそうに口をへの字にする棗を拾い、真弓は次の現場へ足を向ける。

 幸い、と言うべきか、水泳部はあの“事故”以来二週間の活動自粛を言い渡され、今ならプールに人は居ないはずだった。


 共同棟を渡って女子棟に戻り、1階へ降りて一度教室に鞄を置いてから、体育館へと続く渡り廊下へ出る。

 体育館、と言っても公立の小中学校でよく見かけるかまぼこ型の建物ではない。他の棟と大差のない、味気も素っ気もない四角い建物がどん、と鎮座している。

 1階に第一体育館、2階には講堂と図書館、視聴覚室が、3階に屋内プールがある。

 「……ここが、第2の事件現場。噂では、このプールの第4コースを泳いでいると、突然足を掴まれて水の中に引き込まれそうになる事があるんだって。……被害にあった先輩も、そういう証言をしてたらしいけど……」

 しかし、そんな怪談話を真に受ける大人は居らず、“仲間同士でふざけ合った末に足を踏み外した結果の事故”と片付けた第一の事件同様、“準備運動不足が原因で足をつった事故”と片付けられた。


 「うん、さっきんトコと同じ匂いが残っとるで。こら、間違いなく同一犯やな。けど……スマン、水場はあかん。水で匂いが洗われてしもうて……」

 ぱしゃりと小さな前足で水面を叩き、またも悔しげな顔を浮かべた棗は、しゅんと項垂れてしまった。

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