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フィーカスのショートショートストーリー

そらのコックさん

作者: フィーカス

 こうえんのブランコにゆられながら、マユちゃんはそらをながめていました。


 ふわふわ、ふわふわ。あおいそらにうかぶ、しろいくも。


「おかあさん、あのふわふわは、だれがつくっているの?」


 マユちゃんはとなりのブランコにすわっているおかあさんにききました。


「そうね、きっとそらのコックさんがつくっているのよ」


「こっくさん?」


「おりょうりをつくるひとのことよ。マユちゃん、いっしょにレストランいったことあるでしょ? あのおりょうりをつくってくれるひとよ」


「へぇ、そうなのかぁ」


 ふわふわ、ふわふわ。あおいそらにながれる、しろいふわふわ。


「あ、あれ、おさかな!」


 ふと、マユちゃんはたちあがって、ひとつのくもをゆびさしました。


「あと、あれはバナナ! あれはリンゴ!」


 ふわふわとうかぶくもを、マユちゃんはつぎつぎとゆびさします。


「おかあさん、そらのコックさんってすごいね! あのふわふわから、いろんなものをつくるんだね!」


「ええ、そうね」


 ふわふわ、ふわふわ。どんどんながれる、しろいくだものたち。




 だいどころのまどから、マユちゃんはそらをながめていました。


 ほかほか、ほかほか、まっかなそらに、あかいたいよう。


「おかあさん、ほら、ホットケーキ!」


 マユちゃんはとなりでおりょうりをしているおかあさんにいいました。


「あらほんと。でも、マユちゃんはさっきホットケーキたべたばかりでしょ?」


「でも、あんなにおっきいホットケーキみたの、はじめて!」


「そうね、そらのコックさんも、きっとがんばってつくったのよ」


「そらのこっくさん、すごいね! だからあんなにまっかっかなんだね!」


 ほかほか、ほかほか、あかいそらから、きえるたいよう。


「あ、ホットケーキ、なくなっちゃう。だれかたべてるの?」


 マユちゃんはあしをパタパタさせて、おかあさんにききました。


「そうね、せっかくつくったんだから、だれかにたべてもらわないとね」


 ほかほかのそらから、あかいたいようがきえて、まっくらなそらが、ごちそうさま。


「あーあ、もうたべられちゃった」


「ほらほら、マユちゃんももうすぐごはんだから、おてつだいしてね」


 ほかほか、ほかほか。テーブルにならぶ、おりょうりたち。



 おかいもののあと、マユちゃんはかえりのみちでよぞらをながめていました。


 きらきら、きらきら。まっくらなそらに、ひかるほし。


「おかあさん、こんぺいとうがいっぱい!」


 マユちゃんはてをつないであるいているおかあさんにいいました。


「あらあら、きれいなおほしさまね」


「おほしさまも、こっくさんがつくったの?」


「そうね、まっくらなそらだったから、すこしでもきれいにみせようってね」


「こっくさんは、えをかくのもじょうずなんだね」


 きらきらのそらから、ぴかっとながれる、ながれぼし。


「あ、こんぺいとうがふってきた!」


 マユちゃんはきらきらのしっぽをゆびさします。


「あら、はやくおねがいごとをしないと」


 きらきらのそらに、おかあさんはてをあわせます。


「はやくおおきくなりますように」


「みんながしあわせでありますように」


 きらきら、きらきら。まっくらなそらに、ねがいぼしふたつ。



 がっこうのおやすみに、マユちゃんはへやからあめのそらをながめていました。


 ざあざあ、ざあざあ。まっすぐにおちる、つめたいみず。


「きょうはこっくさん、おやすみなのかな」


 マユちゃんはおさらをあらっているおかあさんにいいました。


「きっと、いまはおさらをあらったり、おそうじをしているのよ」


「そっか。いまはおりょうりのあとかたづけちゅうなんだね」


「そうよ。マユちゃんも、じぶんのおへや、おかたづけしないとね」


「うん、かたづけてくる!」


 ざあざあのおとに、たんたんとへやの、おかたづけ。


「こっくさん、まだおかたづけちゅう?」


 マユちゃんはざあざあのくもをゆびさします。


「おかたづけのあとは、おりょうりのじゅんびね」


 ざあざあのじゃぐちを、おかあさんはきゅっとしめます。


「あしたはおいしいおりょうり、つくってね」


「あしたはきっと、ごちそうができるわよ」


 ざあざあ、ざあざあ。まっくろなくもが、きゅっとしまる。



 にちようびのおでかけに、マユちゃんはくるまからふゆのそらをながめていました。


 しんしん、しんしん。ふわりとおちる、しろいかたまり。


「きょうもこっくさん、おしごとちゅう?」


 マユちゃんはじょしゅせきですわっているおかあさんにいいました。


「きょうもたくさん、おしごとしているわね」


「でもふゆにかきごおりは、さむいとおもうなあ」


「こたつでたべるアイスクリームはおいしいでしょ?」


「そっか。こたつでたべるかきごおりなんだ!」


 しんしんのゆきに、ぴかぴかのしんごうの、シロップ。


「あかにきいろにみどり。あれ、あおはないのかな」


 マユちゃんはしんしんのゆきをゆびさします。


「あおいシロップは、そらにおいてきちゃったのよ」


 しんしんのどうろに、くるまのあしあとがつきます。


「あしたはあおいの、わすれないでね」


「あしたはあおいの、あるといいね」


 しんしん、しんしん。はいいろのくもに、しろいデザート。



 ゆうしょくまえのテーブルで、マユちゃんはてれびのばんぐみをながめていました。


 ちかちか、ちかちか。どんどんかわる、がめんのひかり。


「あしたはこっくさん、なにつくってくれるのかな」


 マユちゃんはいっしょにテレビをみているおかあさんにいいました。


「そうね、ちょっとまってね」


「ぴっぴ、ぴっぴ。あ、おひさまのマーク!」


「あしたは、ホットケーキみたいね」


「あさっては、かきごおり?」


 ちかちかのテレビに、ましかくなすうじと、いろんなマーク。


「こっくさんは、ホットケーキがだいすきなの?」


 マユちゃんはおひさまのマークをゆびさします。


「ホットケーキのほかにも、すきなものがあるのよ」


 ちかちかのテレビは、こんだてひょうをうつします。


「あしたはホットケーキ、あさってはかきごおり」


「おさかなや、くだものも、きっといっぱいあるわよ」


 ちかちか、ちかちか。しかくいはこの、はいいろキッチン。



 ふわふわ、ほかほか、きらきら、ざあざあ、しんしん、ちかちか。


 あしたのそらのコックさんの、おりょうりなあに?

童話、ということで漢字を一切使わないというスタイル、そして、話ごとに形式をそろえようという謎の努力。


子供になりきって書いてみたものの、やはり歳を取ると子供の発想には追いつきませんでした。


やっぱり想像力って、子供のころに鍛えるものなんですよね。

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