【港区】岩の深水
日の出が上がり漁業の街が産声を上げる朝、私はフゥさんととあるクランに出向いていました。
今日はいつも照明にいる妖精さんたちを連れての外出です。
私の頭の上はさながら妖精園みたいな物になっています。イタタ、あんまり引っ張らないでください。
彼女たちも普段外に出ないので気晴らしにたまに連れて行っている。
街の人たちも滅多に見ない妖精を興味深そうに遠まわしに見てる分あまり気分はよくないのが本音だがそれは我慢している。
そんなこんなで私たちは長年お世話になっているクランのドアをノックする。
「おはようございます、私ですがマスターは居ますか?」
少し間を置いてドタドタと家が軋む音をしたと思ったら目の前のドアが開いた。
「お、おはようございます!お待たせして申し訳ございません!」
挨拶をしたと思ったらすぐに頭を低く下げ謝りだす青年。
「いやいや待っていませんよ、ところでマスターかリーダーいませんか?」
「はい、昨日から小隊で岩の深水を取りに出ていましてリーダーはいません。マスターは市場に行かれましてもう少しで帰ってくると思うのですが…」
「岩の深水!ということは感染病ですか?どこで発症したんですか?」
岩の深水というのはイドゥン湖の深部にある湧水のことで水質が非常に良く感染病の薬を作る際に必要な水なので滅多にこの水が必要なことはないので
すが…。
「いえまだ感染症は出ていないのですがそろそろ闇の月になりそうなので今年は領主様が直々に感染症の予防薬の製作を命じられたらしくギルドのほう
も各クランに協力書が配られているみたいで私たちも採りに行ってます」
「予防薬ですか。でしたら安心しました」
「ところでマスターにどのようなご用件でしょうか?」
「お店のほうで作りたいものがあるので採取の依頼をしようと思ったのですがいらっしゃらないならまた今度でいいですよ」
「もう少しお待ちいただけるのでしたら帰ってきますけど…お、噂をすれば」
青年が私の後ろを見ているのに気づき振り向くとお目当ての人たちが向こうのほうから歩いてくるのを見た。
「あらマスターこんにちわ」
「こんにちわ。御買い物ですか?」
「ええ、昨日から私を食べてましたからお腹が空いたんですよ」
私と奥さんの話を横で聞いていた男性は顔を真っ赤にして反論をした。
「朝っぱらからそんな話をするなよ!というか恥ずかしいだろうが!」
そんな言葉を聞いて顔を合わせた私たちはクスりと笑い挨拶をする。
「改めましてこんにちわ。本日は依頼に来たのですが宜しいですか?」
「ああ、中で話を聞くよ。さぁさぁみんな中にどうぞ」




