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港区の酒場  作者: ranpe
喫茶店
11/20

【喫茶店】不眠症

「いらっしゃいませ、カウンターになさいますか?」

「カウンターで」


お店に入ってきた男性の顔を一目見てカウンターを勧める。


「何になさいますか?」

「今日は甘い物が食べたいかな?」

「でしたらクランベリーのケーキはいかがですか?もう少しで焼きあがるので出来立てをご用意できますよ」

「クランベリーのケーキですか、ではそれで御願いします」

「畏まりました。焼きあがるまで少しお話をしましょうか」


「マスター相談に乗ってくれませんか?この頃寝具に入ってもなかなか寝れなくて…」

「不眠症ですか」

「そうなんですよマスタ-。何かいい方法はないですか?」

「そうですねぇ…。寝れていた時と寝れなくなった時の境界線があると思うのですがその時に何かショックはありましたか?」

「ショックですか…特にないですね。いつも通りの生活をしていました」

「最近何か体に傷を受けましたか?」

「いや外出は特にしなかったから傷を作る機会はなかったよ」

「精神的、肉体的ショックはなし、傷害からの物もなさそうですし…ふむ」


私は悩む。フゥさんの耳を触りつつ考える。嫌そうにヒョコヒョコを逃げる耳を触るのが心地良い。

嫌そうに此方を向いたので触るのをやめる。後で煮干しでも渡そうと思った。


「月並みですが部屋を暗くして目を閉じるだけでも少しは違いますよ。体を大切になさって下さい。睡眠導入剤が少しあるのでそれを御帰りの際渡しますね。あくまで一時的な物なのでこれに頼らないでくださいね。」

「マスターありがとう」

「いえいえ、そろそろケーキが焼きあがると思うので席を離れますね」


オーブンからケーキを取り出しフゥさんに妖精さんを呼んでもらう。

一切れ切ってお皿に盛りつけ彼女たちに差し出す。


「焼きたてだから熱いですけどどうぞ」


彼女たちはお皿のケーキにとことこと向かい少しずつ掬いながらみんなで食べ始める。

寝そべってるフゥさんには煮干しを差出し先ほどのことを忘却の旅へ行かせる。


もう一切れ切って彼の元へもっていく。

「お待たせしました、クランベリーのケーキです」

「頂くよマスター」


皆がケーキを食べているうちにショーケースに残りのケーキを置き、妖精たちに鱗粉を落としてもらうように御願いし小袋に集め調剤する。


「ごちそうさまマスター」

「ありがとうございました。此方寝る前に一粒だけ飲んで寝てください。必ず一粒だけですよ」

「分かったよ。ありがとう」

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