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港区の酒場  作者: ranpe
喫茶店
10/20

【喫茶店】自分のことが好きじゃない人

「いらっしゃいませ」「にゃー」(いらっしゃい)

「こんにちわ、マスター、フウちゃん」


テーブル席に座りメニューを見詰める女性。

「んー、今日はどうしようかなー?」


彼女の悩みに私は一言声をかけた。

「今日は木苺の良い物を手に入ったのでジャムにしてありますよ」


「おー、木苺のジャムかー。だったらトーストを焼いてもらって朝ご飯にしようかな?」

「畏まりました、少々お待ちください」

「はーい。マスターフウちゃん少し借りてもいい?」

「いいですよ」


私の返答を聞くと彼女はフウさんを抱っこし顔を埋め始めた。

「んー、やっぱりフウちゃんはいい毛並だわぁ。このモフモフ感が堪らないわ…」


モフモフしている間に焼き上がりテーブルまで運ぶ。

「お待たせしました、此方トーストと木苺のジャムです」

「お、ありがとマスター」

フウさんを預かり食べ始める。


テーブルの裏に戻り今日のスイーツをメニューを考える。


「マスター、ちょっといい?」

「どうかされましたか?」


メニューを頭の隅に追いやりテーブルまで行く。

「ちょっと相談したいんだけど今いいかな?」

店内を見渡し確認する。


「マスター、俺らはあっちにいるからここでいいよ」

他のお客さんがわざわざ聞こえないようにサイレントルームに移動していく。


「気を使っていただけたようなので此方で話をしましょうか、それでどういったご相談なのでしょうか?」

「特にそんな重たい話じゃないんだけどさ、自分のことが好きじゃなくてさ…。他人と比べちゃうのが悪いと思うんだけど私が私のことを好きって思わないんだよね…」


「なるほど…。ご自分のことが好きじゃない…ですか」

私はそっとフウさんを彼女に渡して抱かせる。


少し悩み私は彼女に伝えた。

「自分を好きになるのは難しいかもしれませんね。でも少なくても私は貴女の事好きですよ」


彼女は顔を下げ私の言葉を口で噛みながら言う。

少し経った時彼女は顔を上げ私の目を見て照れくさそうに言った。

「マスターが好きっていうならしょうがない。頑張ってみるよ」


彼女はそういって店を出た。

フウさんにサイレンスルームのお客様を店内に戻ってもらうように頼み食器を片づける。


照れながら言った言葉は年相応の笑顔だったことをここに記しておく。

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