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雷跡1 足音

中学や高校の社会科の授業でよく「戦前や戦時中では学校で間違った事を教えていました」と授業することがある。


しかし、「昔が間違っていて今が合っている」と言う前提が無いと、今と昔、どちらが正しいか解らない。


そもそも、「正しい」も「間違っている」も無数に存在するのだ。



何故、またもやあの様な戦争が起きてしまったのだろうか?


その事の発端は2011年12月まで遡る。


中国が人民銀行の金利を5%まで引き上げた。


これは過剰なまでに進んだ不動産バブルを抑制するためだった。


この不動産バブルは中央政府が心配していたより遥かに深刻で、ゴーストタウンが幾つも出来上がっていた。


酷いところでは、1つの町に5万戸のマンション等が立ち並び、全て完売なのにも関わらず実際に住んでいるのは2千世帯と言う有り様だ。


中国全体で1人につき1戸持てる程の家が並んでいたのだ。


更に、新たな鉱山発見の「噂」が飛び交う度に大量の労働者が来ると予想し、穴を掘る速さより遥かに早く家が立ち並び完売していくのだった。


勿論、単なる「噂」であるため鉱山は実在しない。


しかし、1度建ってしまえば我先にと家が立ち並んだのだ。


この危機は中央政府も薄々気付いていたのだが、経済成長率2桁を約束しており、もし、2桁を割り込んだ時の中央政府に対する反感を恐れて今まで隠していたのだ。


しかし、この急な金利引き上げは逆に「銀行が潰れるからではないか」と言う憶測が飛び交い、預金者は預金を全て下ろし、企業は潰れたら返済義務が無くなるので一気に借り、更に家を建てたり対外向け輸出商品へ投資した。


すると、否応なく銀行の資金は消え失せ破綻状況に陥った。


慌てた政府は金融規制を一気に強化し新規の不動産介入やハイリスクハイリターンの投資の禁止。


自社資本資金の10パーセントを超える設備投資の禁止を決議し、違反企業は厳しい罰則か最悪強制倒産が待っていた。


更に人民銀行の金利を7パーセントに切り上げた。


すると、銀行預金が1番儲かる事に気づいた国民や投資家は一斉に預金。


企業も他に手を出す事が出来ないと言う事もあり、一斉に預金し始めた。


政府も、落ち着いたら金利を下げる勢いだったが、それをする前に一気に不動産価格が暴落した。


これは本来なら予想出来たのだろうが、ゴーストタウンの割合を見誤っていたからだ。


政府の入居住宅の平均居住者数(要は1家族の人数)の値は北京や上海等の大都市を基準にしていたのだ。


勿論、都市部では一人っ子政策を重視している為に国全体の平均からして少ないのは分かっている。


そのため地方の平均も勘定に入れているが地方は地方で格差や独自の一人っ子政策(中央政府が各省に人口増加率を減らすように圧力をかけた為)を行っているため、地方都市も平均居住者数が少ない。


なのでそれ程ゴーストタウンが多いとは考えていなかったのだ。


しかし、山間部や農村部は一人っ子政策など及ばす、居住者数は変わらない。


しかも、戸籍もあるにはあるが地方は手書きでしかも曖昧なので正確な数が中央政府まで伝わって来なかったのだ。


この為、総人口を居住者数で割って出てくる世帯数は自然と多くなり、ゴーストタウンの数が現実より遥かに少なくなったのだ。


なので、政府は不動産価格の下落をそこまで重視しておらず、次々と原価割れで下落していった。


一気に金利1パーセントまで下げたがそれでも一旦下落した不動産価格は戻らず、二束三文でも売れなかった。


もし、人が住んでいたのならここまで下がらなかったのだが「家」では無く「物」として売られていた為、底なしで下落したのだ。


一気に資本を無くした企業や投資家は最後に輸出産業に投資する事で損を取り戻そうとした。


しかし、それにもインフレと言う悪魔が潜んでいた。


経済成長に伴うインフレの為、人件費が上がり輸出産業においての最大の売りである「安さ」が失われていたのだ。


表面的にはあまり影響は出ていなかったのだが、新規に中国に工場を作る海外企業はおらず、逆に中国にある工場をまだ物価の安いタイ、ベトナム、マレーシア等に移す計画が数多く上がっている時だった。


そんな時に輸出産業に一気に投資し、又は輸出品を大量に買い占めた。


勿論、物価は急激に上昇。


その他の海外の穀物や原油も買いあさっていった為、世界同時物価高に陥った。


しかし、物価高で高値のついた中国製品が売れる筈もない。


大手輸出企業の倒産を機に次々と企業が経営破綻をしていった。


銀行は多額の不良債権を抱え、銀行も倒産。


国民や中小企業が、金利の引き上げの時に預金した多額の資産は倒産を知らせる通知1枚となって帰ってきたのだ。


これにより、更に景気は悪化。


消費は落ち込みどの企業も赤字になった。


また海外の穀物を買った投資家も一時は難をのがれたかに見えたが、自国が1番の消費国で消費が落ち込んだ為に価格が下落したことを知り、自己破産していった。


中国マネーはどこへやら。


2012年2月の旧正月(中国ではこちらの方を正月として祝う)の頃には2桁の数値は経済成長率出なく失業率となっていた。


しかし、幸いだったのは日系企業を始めとする海外企業は崩壊前の投資に参加しなかった事である。


これは、リーマンショックの名残で中国マネーに対抗するだけの力が無かったからだと言われている。


つまり、不況の影響で中国バブル崩壊の煽りを受けずに済んだのだ。


そして、この不況の批判は中央政府に向かう。


各地では連日暴動が繰り返され、武装警察との衝突が繰り返された。


自分が投資に失敗したのにもかかわらず政府に八つ当たりする暴動の様子が世界中に流れ、中国の印象はよりいっそう悪化していった。


そんな中、政権運営すら危うくなった政府が取った措置は、反日活動に向ける事である。


中国はあろうことか日本に対し正式に沖縄返還を要求。


日本政府は当然これを拒否した。


すると、中国人民日報はこれを日本が明確なる侵略国家の証拠だとした。


また、このバブル崩壊を日本が行った経済テロだと報道。


すると、暴動の矛先は一斉に日系企業に向かった。


しかし、日系企業の工場は殆ど中国に残っておらず、被害を被ったのは店長以下全て中国人の日系チェーン店か、中国勝手に日本企業だと名乗りコピー商品を売っている店だった。


更に、一昨年に起きた尖閣諸島問題で自衛隊は西南諸島に部隊を集中させており、人民日報はこれを侵略行為だと報じた。


これにより反日感情は更に高まり、就職先も無い事から多くの国民が人民解放軍に入隊していった。


定員を大幅に超える入隊希望者がいたが、評判が下がる事と軍事力の低下を懸念する為に入隊を断る事も出来ず、軍の人件費は上がり中国政府は更なる軍事費拡大の口実が必要になった。


そこで、中国政府は尖閣諸島を始めとする東海シナ海にある領土問題を抱える島に軍を送った。


日本政府は、これを国連の国際司法裁判所に提出し、中国軍の撤退を求めた。


そして国際司法裁判所は中国は国際法違反だとし、中国政府に対し中国軍の撤退を命令した。


しかし中国軍は撤退せず、逆に近海を航行していた漁船数隻が何の警告も無く中国軍によって撃沈された。


日本政府はこれに対し抗議したが、「中国軍は謝罪の意を表すとして尖閣諸島からの撤退をする事を請願する」と何とも生ぬるい対応だった。


官房長官が左翼思想であった為ここまで日本が弱腰だったのだが、尖閣沖の漁船撃沈事件でその時乗っていた漁師が撮影した、無抵抗の白旗を掲げた漁師達に対し機関銃で殺戮される場面がメディアに流れ、世論は一気に反中運動に変わった。


支持率は戦後初の1桁台に陥り内閣は総辞職し、総選挙が行われた。


これにより、国会議員初当選の元知事が当選。


そのまま官房長官に就任。


戦後初めての改憲を掲げた内閣が結成した。


そして、組閣5日後に中国に対し7日以内に中国軍が撤退しない場合、正当防衛として自衛権を行使すると表明。


しかし、中国軍は撤退しなかった。


本音としては戦力差からして決して優勢では無く、戦力温存の為撤退したかったのだが、もし撤退したら中国軍が日本に屈したと国民に伝えてしまう為である。


その後、あきづき型護衛艦を筆頭とする護衛艦隊が到着。


最終警告の後ミサイルで要所を攻撃。


中国軍は反撃を試みようとしたがミサイル設備は破壊され反撃不能。


艦隊後方からキロ級潜水艦5隻が攻撃を試みたが付近を哨戒していたPー1によって撃沈された。


3日後、おおすみ型輸送艦に載せられた陸上自衛隊が上陸。


中国軍は降伏した。


その後中国兵は駐屯地に運ばれ、1ヵ月後に中国に返された。


中国はこれを無抵抗な兵士達を自衛隊が虐殺し、更に捕虜となった中国兵に対し度重なる暴行を行ったと表明し、わざわざ中国兵に痣を作ったりや骨折までさせて嘘の証言を報道させた。


しかし、戦闘の様子は全てアメリカの衛星によって終始撮影しており、攻撃力を削ぐ為の最低限の攻撃だと評価し、捕虜に関しても永世中立国であるスイスに監視を依頼しており、逆に税金の無駄遣いだと言われる程きちんとした食事を受け充分な広さの部屋で過ごす中国兵の姿のビデオ画像が公開され、1件落着した。


中国はスイスに監視されていない場所で暴行され、食事に毒を混ぜ込まされた等言ったが国際世論にはまるで相手にされず、賛同するのは北朝鮮とひも付き献金を送っているアフリカ諸国だった。


その後、防衛省は改訂版新防衛大網を発表。


その中には自衛隊の定員を陸、海、空それぞれ3000人づつ増やす事や多目的航空機搭載護衛艦の建設、新型ステルス戦闘機の早急配備が掲げられていた。


中国は日本がアジアの軍事バランスを崩し、戦争に突入させようとしていると表明し、レアアースの全面輸出禁止を決定した。


もはや中国マネーの力が無くなった中国の味方になろうとする先進国はおらず、勿論相手にする国はいなかった。


また、レアアースもモンゴルや東南アジアからの輸入ルートを確保していた為、3割程値段が上がるだけで済んだ。


これでしばらくは落ち着くであろうとした時、朝鮮半島で事件が起きた。


2011年キムジョンイルが死亡し、2012年にキムジョンウンが変わって総書記になったのだ。


そして2013年、黄海上の38度線を越え、北朝鮮海軍が韓国側の領海に侵入。


韓国側はこれを撃沈したが、北朝鮮はこれを自国の領海を航行中の艦艇を沈められたと発表。


更にこれを韓国の戦線布告だとし、アメリカと日本も黙認したことは戦線布告行為だとした。


そして表明した日に38度線を超えて侵入。


韓国側も反撃した。


一進一退の攻防戦かと思われたが、北朝鮮はスカッドやノドンを次々と発射。


北朝鮮の方が優勢だった。更に、開戦4日後にソウル、東京、ハワイに向けて核弾頭ミサイルを発射。


東京に着たテポドン2は航空自衛隊のPACー3と海上自衛隊のSMー3で迎撃。


長野上空30キロで核爆発を起こした。


ハワイはハワイ島南20キロの沖合に着弾し、核爆発は起きたが、爆風でヨット数隻が転覆する程度だった。


しかし、ソウルには着弾し爆発。


第4の被爆となった。


更に、中国は自称の国連軍として進出した。


纖20等の最新兵器を繰り出したがステルス性能はいま1つで、車両や航空機に搭載出来る程度の小さなレーダーには写らなかったが、イージス艦のフェアードアイレーダーや基地のレーダーサイトにははっきりと写っていた。


しかし、中国軍は数に物を言わせて朝鮮半島を南進。


在韓米軍と激しい戦闘が市街地で起きた。


更に中国軍は一斉に大量の潜水艦を出撃。


日本の領海内で横須賀から出航して来た米空母ジョージワシントンを撃沈せんと激しい攻防戦が起きた。


しかし、自衛隊がPー1哨戒機を5機もスクランブルさせた事により、フリケード艦や駆逐艦の対潜攻撃によって11隻もの潜水艦が沈んだ。


だが、日米側の被害も皆無では無く米フリゲード艦3隻と護衛艦2隻が沈没。


ジョージワシントンも無誘導魚雷が当たり、放射能漏れの心配はなかったが中国が日本以外で初めて米空母に損害を与えたという実績を残してしまった。


これらの事態に対し日本は北朝鮮のミサイル基地を叩く為に自衛隊を派遣。


丁度この頃に自衛隊法が改正され、自衛の為なら他国に進軍をして良い事になったのだ。


また、日本にもアメリカからBー1爆撃機を輸入。


遠距離攻撃能力を持った。


そして上陸後、米軍との合同作戦により数多くの北中軍を撃破した。


9月、北朝鮮内でクーデターが発生しクーデター軍が平壌近郊でキムジョンウンを殺害。


クーデター軍の指揮者ホ・ヨンファは日米韓に対し講和会議を開く事を要請し、中国軍にも撤退を請願した。


中国は良い顔をしなかったが国際世論はこれを高く評価し、休戦状態となった。


結局1950年から始まった朝鮮戦争は未だに終結されなかったのだが、独裁主義国家が崩壊し北部朝鮮共和国となり、今後永久に朝鮮戦争が再開する事が無いと思われた。


しかし、北朝鮮の情勢は一向に変わらなかった。


いや、むしろ悪化した。


国民総力向上法


ヨンファが作り上げた政策だ。


義務教育を受けさせ忠心愛国は勿論、中国以上に膨大な学習をさせ社会の底辺を一気に底上げした。


更に半資半社経済を生み出し、最低賃金は保証するが生産すればするほど全てでは無いが自分たちに帰って来て労働意欲が湧き、GDPはどんどん上がって来た。


また、中国から技術支援を受け自動車を主体とする重工業を中心に伸びて行った。


貿易は日本を参考にした加工貿易を実施し、世界に売り出した。


性能はあまり良くは無いが、中国製品と比べて不良品が遥かに少なく、価格も中国より安いとあって些か人気があった。


そして、2015年には国民の平均所得が2012年の8倍になるなど、目覚まし発展をした。


しかし、これは全てヨンファが企てた世界に対する復讐の始まりだった。


2014年、ヨンファは露中朝三国協力同盟を作り、ロシアと中国から軍事技術をどんどん取り入れた。


そして、自動車産業によって培われた生産技術にそれを継ぎ足し、次々と戦車を中心に量産して行った。


ここで1番注目すべきなのは自国内での大量生産が可能になった事である。


ヨンファは外国から輸入するのではなく、自国で生産したのだ。


そして、軍事力はみるみる上がり、2015年にはトップ10入する事になった。


こうして、第3次世界大戦の針が進んで行ったのである。


ここで、北朝鮮を抜けて世界の情勢を説明する。


2012年、朝鮮戦争中に日本で北朝鮮工作員によるアメリカ大使館占拠事件が発生した。


これは、自衛隊も出動する事になったが何とか民間人の死者0で解決した。


しかし、また2012年。


今度は、米国でオバマ大統領が工作員の自爆テロで暗殺された。


米国はこれらの事や朝鮮戦争の事態もふまえて、日米間で戦略的工作員部隊を作る事を決めた。


これは上級工作員やプロ傭兵等、通常の部隊で戦ったら例え勝てたとしても過大な犠牲を払う事になってしまう戦闘において、犠牲をあまり払わず、かつ大部隊を派遣せずに勝為の部隊である。


自衛隊や米軍にも特殊部隊はある。


しかし、それらは突入の時に先に潜入する等、要所においては活躍するがそれだけで戦闘全てはあまり行えないのである。


部隊の移動、作戦立案、偵察、警戒、突入、援護、工作活動、戦闘等、全てを一括して出来る部隊が欲しかったのだ。


これには日本も協力的で、交渉はスムーズに行ったのだった。


この部隊にはまたいつか触れるだろう。


とにもかくにも朝鮮戦争は終わった。


しかし、この2012年の悪事は他にもある。


それは、今までアフリカ各国に中国が送っていた紐付き献金が不動産バブル崩壊と共にパタリと止んだ事である。


これにより、アフリカ財政は悪化。


中国が送っていた献金は紐付きであった為、各国にはインフラ整備のノウハウが無く、またそれを維持出来なくなった。


そして、ついに次々と政府が財政破綻。


無政府状態になり、各地で紛争が多発した。


国連も、PKOやUNICEFを送ったりして支援をしようとしたが、救援物資の入ったトラックがあちこちで襲撃さる。


次々と略奪され、実際に行き渡ったのは1%と言う過酷な状況だった。


指導者がいるわけでは無く各部族同士で戦っているので、派遣した国連軍も歯が立たなかった。


更に、メキシコで麻薬マフィアと政府の戦いで政府が崩壊。


アメリカが軍を派遣するも時既に遅くメキシコシティーは無法地帯となっていた。


更に人為的災害だけでは無く、自然災害も多発した。


2012年8月、伊豆半島東30キロの沖合の地下100キロを震源とするマグニチュード8・5の第二次関東大震災が発生した。


軟弱な関東ローム層によってエネルギーを保ったまま襲った地震は、東京で震度6強を観測した。


しかし、幸いにも箱根地質学研究所はこれを予測。


五日前に地震警戒警報を発令し、早急から自衛隊を災害派遣。


東京証券取引所を大阪に臨時移転させ、東京一帯の企業の株の取引は一時中止。


関東地域にある工場の精密機械は移動出来るものは自衛隊の輸送ヘリで安全地帯に移動。


商業施設は全て閉鎖され、食料を配給制にする等の措置をとった。


おかげで、地震は発生しても経済損失は5兆円に済み、死者も34人と最小限で済んだ。


日本の地震予知技術の高さを世界にアピールしたのだ。


しかし、自然災害は地震だけではなかった。


オーストラリアでは、大干ばつ、大洪水、猛寒波、猛暑が1度に襲い200キロしか離れていない同じ標高の都市で気温差が30度という値をだした。


更にブラジル、アマゾンとシベリアのタイガで大規模な森林火災が発生。


地球の森林面積の1%が失われた。


また、フィリピン、台湾には中心気圧830ヘクトパスカルの猛烈な台風が上陸。


死者、行方不明者合わせて2万人に登った。


この災害は地球内では収まらず、太陽でも観測史上最大の太陽フレアを観測。


アメリカ東部とヨーロッパ一帯が停電になった。


異常な高電圧が流れた為、自家発電機を回した所で回路がショートしている為用を成さず、人工呼吸器等の電子医療器具を付けていた患者は一斉に死んだ。


更に、年の瀬にはアイルランド、ハワイ、フィンランド、日本(桜島、富士山)、イタリア南部で火山が爆発的噴火。


塵が世界中に蔓延し、地球の平均気温が5度も下がった。


これは、太陽フレアによる電子の働きで地球内部が若干暖められたからだと言われている。


この大寒波で貧困国の子ども達を中心に世界中で6000万人が日照不足による作物不順によった飢えと寒さによって死んだ。


世界中で非常事態宣言が出され、人々はただただ神に祈りを捧げ、週末を信じる者は、マヤ歴の終了の日には世界中で200万人の人々が自殺したと言われている。


こうして、自然災害だけで全世界で1億人以上の人々が死んだ2012年は終わった。


しかし、2013年になっても成層圏まで浮遊したチリは収まらず地球の気温は低かった。


農作物が育たず餓死者は相次ぎ、年間800万人が餓死するアフリカはデスワールドとまで呼ばれた。


更に中国やインド等でも子ども達を中心に餓死していった。


これは人口増加が止まる程だ。


だが、日本やアメリカ、ヨーロッパ諸国(特にフランス)では日米仏英独で共同開発した寒さに強い米、小麦、大麦、トウモロコシが作られ餓死は少なかった。


これにより南南問題、南北問題、北北問題は一気に加速していった。


そして2014年の秋頃までこの不作は続いた。


そして2013年2月、食料を巡って第5次中東戦争が発生。


パンがオイルに勝った時だった。


1ヶ月で収束したものの石油価格は沸騰。


石油を産出せず石油備蓄基地を備えていない国々は第2次産業を中心に打撃を食らっていった。


その後各国が石油危機を克服した後、ある変化が起きた。



2015年1月。


インドGDP第4位、ブラジルGDP第7位。


今まで発展途上国だった国々が一気に経済力をつけていった。


そしてそれは軍事力の発展にもつながった。



2015年8月、ブラジルとボリビアで国境を巡る戦争が勃発。


6ヶ月の戦闘の末、経済力のあるブラジルが勝った。



更にインド中国間では米ソ冷戦を思わせる様な代理戦争が起きた。



2015年9月にインドの支援を受けたバングラデシュと中国の支援を受けたミャンマーが戦争。


結果はチッタゴン以東がミャンマーとなった。



そしてその年の暮れ、ウイグル自治区のウルムチで大規模な暴動が発生。


2012年から14年までの不作の時政府が食料不足を理由に無理やり作物を取り上げ、天候が回復した現在でも未だにその臨時政策を行っているからだ。


その後数千人の市民達が人民解放軍によって殺戮された。


そして中国は更にかつての様な豊さと経済発展を実現するためにさらに軍事力を増した。



2016年3月、モンゴル事変。


ゴビ砂漠の地下の新たな油田の情報を聞きつけ無理やり自国の領土だとして占領した。



2016年10月、タイ、ミャンマー戦争。


これも代理戦争で、結果は引き分けに終わった。


2016年12月、インド、パキスタン戦争。


これにはロシアも背後で支援した。


結果はロシアの新鋭戦車Tー16を送る等したためパキスタンの優勢勝だった。


2017年1月、ネパール崩壊。


これはインドと中国で激しい睨み合いが続く中、国内世論が真っ二つに割れ、紛争で政府が実質的に崩壊したためである。


2017年3月。


無政府状態に陥ったネパールの主権を争う戦いがインドと中国間で起きた。


第5の核の使用も懸念されたが、幸いにも核は撃たれず、分割統治で合意した。


そして、その直後。


中国の息のかかったミャンマーがインドに対し宣戦布告。


北部に軍隊を回していた為、一気に攻められた。


しかし、インド軍はある兵器でこれを撃退した。


それは、Bー52である。


そう、アメリカがインドに除籍予定のBー52を大量に、しかも安価でインドに売ったのだ。


また、旧式になりかけているFー16等も売り払い、インド空軍がこれを護衛につけた為ミャンマー空軍の中国のお古であるMiGー29では質、数、共に劣勢だった。


予想外の攻撃で結局ミャンマーは領土が1分減り、ドル換算だと1億ドル相当の賠償金を払う事になった。


(ミャンマーの経済力にしては莫大な金額である。)


そして、遂に大国が動いた。


2017年7月上旬、ロシア軍がグルジア、アゼルバイジャンに進行。


両国は呆気なく敗れた。そして、イランと戦争になるかと思われた。


しかし、逆にイランはロシアと同盟を結びそのまま補給を得てパキスタンへ行き、パキスタン軍と合流した。


そして、朝鮮半島でも北朝鮮と中国軍が停戦ラインまで進軍。


何かを待つかの様に止まった。


そして2017年8月15日午前2時丁度。


ロシア連邦、中華人民共和国、北部朝鮮共和国、ベトナム、東ネパール民主主義人民共和国から成る「アジア解放連合」が「西欧諸国及び極東2国の侵略行為に対抗するため」に宣戦布告したのだ。


勿論侵略行為であり、1番の目的は食料である。


火山灰が蔓延した12~14年の間に中国等では無理矢理畑を開墾した為、どの畑も痩せ細っていた。


13億もの人口を支えるだけの食料が何処にも無くなったのだ。


日本や韓国を占領出来ないにしても有利に交渉をつけ、高度な農業技術と豊かな土壌を手に入れようと言う無謀な計画である。


しかし、中国は本気だった。


「上海」級原子力潜水艦6隻を送ったのである。


この時中国軍が発射した弾道ミサイルには三重水素爆弾が積まれていた。


この三重水素爆弾とは、核並みの威力を持ちつつ放射能を殆ど出さない爆弾である。


6発の内1発は迎撃されたが、5発はロシアの軍事衛星による精密な誘導もあった為、見事に命中してしまった。


家屋の絶対破壊半径は2キロ。


半壊率50%の半径は10キロに及んだ。


避難警報も発令したが、深夜で殆どの人々が寝ていたと言う事と、訓練や誤報だと勘違いする人が続出し、現在の世界情勢をよく考えている人だけが地下鉄等に避難した。


故に大勢の民間人が犠牲になった。


その数は100万人にも及ぶ。


勿論マスコミは政府に批判を浴びせようとした。


しかし、その首相は既に死亡してしまっているので批判のしようが無いのだ。


有事法に基づき臨時総理となった前原官房長官は「国民の安全を守る為、国家安全保証交戦特別行使法に基づき自衛隊を防衛出動させ、交戦権の所持を認める」と記者会見で発言した。


この国家安全保証交戦特別行使法とは改訂された憲法9条第2項の文末に新しく記述された「ただし、他国から宣戦布告及び軍事的行動を受けた場合のみ交戦権及び戦力の保持が臨時的に許される」と言う文に基づいて作られた法律だ。


勿論憲法改訂には多くの反論が出た。


しかし、「この憲法は前の9条の内容が全部書かれており、他国が攻撃しない限りは交戦権が無いので今までと何ら変わりが無い」と良い、論破した。


しかし、この憲法は一応悪用出来る様になっている。


それは「軍事的行動」について詳しく書かれていないのだ。


一応これに関しては「宣戦布告無しに武力行為を受けたり、爆弾を抱えた爆撃機が市街地の上を飛行しても現法では対処出来ない為」と説明したが、「軍事的行動」には軍が関与した行動全てが当てはまるのだ。


つまり、訓練飛行でも「軍事的行動」と解釈できる。


当初はこれに詳しい解釈を着けるべきだという意見が作成側から出たが、基本的に市民(左翼)グループは軍事知識に関しては素人である。


逆に軍事知識を手に入れ、現在の自衛隊の原状を知ったら「右翼は行き過ぎだが、市民(左翼)グルーブの言っている事はとんでもない楽天家だ。」と知ってしまうからである。


とにもかくにも、こうして第三次世界大戦が始まった。


開戦1時間後には北朝鮮でも弾道ミサイルを発射。


中性子爆弾の弾頭を持ったミサイル13発は韓国国内の工業地帯及び軍事施設に着弾。


殆ど施設は破損しなかったが多くの軍人やエンジニアを失った。


勿論、北朝鮮はこれらの施設を横取りするつもりで中性子爆弾を使用したのた。


また、アメリカでもレーダーにて無数の長距離弾道ミサイルを観測。


総力をもって迎撃したが、それでも防げる量でなかった。


そして次々と着弾。


しかし、弾頭に搭載されていたのは核で無かった。


着弾した殆どの弾道が真空爆弾であった。絶対致死半径700メートルを誇るこの爆弾は次々と軍事施設、工業地帯、そして中継アンテナ及びテレビ局を爆破した。


そして主要都市な上空で合計20にも及ぶEMPを爆破。


ペンタゴンですら全ての目を失い、衛星とのリンクが出来なくなった。


更に、ロシアはキラー衛星「ブイチェ」型5機で軍事衛生の撃墜、又はハッキングを行なった。


これは湾岸戦争でアメリカが行なった事を参考に行なった作戦である。


日本の税収を大幅に上まり中規模国家を買う事すら出来る莫大な軍事予算で成り立つアメリカ合衆国軍だ。


しかし、その強力な軍事力は情報で成り立っている。


情報の入らない軍は弱い。


唯一残っている、地下50メートルを通る有線ケーブルによってペンタゴンと核ミサイル基地を結ぶARS(自動報復装置)も核を撃たれたという情報が無いので意味が無かった。



こうして、第三次世界大戦が始まったのだ。


ロシア、中国、北朝鮮の3国は一気に韓国に進行。


韓国軍、在韓米軍は共に機能を喪失している為抵抗も出来なかった。


連合国側も被害を受けていない中では一番規模の大きな横須賀を中心に行軍を開始した。


戦闘軍事衛生l(キラー衛星を撃ち落とす衛星)「ブラックジュピター」に指示を送り、ロシア衛星を撃ち落とし始めた。


更に国際無人月基地から核ミサイルを発射。


勿論国際法違反であるが、そんなの関係無しにアメリカが配備させたものである。


日本も観測衛星「だいち」や気象庁観測衛星「ひまわり3号」を戦時特化運用。


これらは非常用に光学レンズを搭載しており、赤外線観測装置で偵察を開始した。


そして、自衛隊も防衛出動に伴い日本海に向けて移動を開始し、戦時体制に突入した。







「歴史は繰り返す」と、よく言われる。


その通りにまた戦争が始まってしまった。


何故、始まってしまったのだろうか?



太平洋戦争で戦争の悲惨さを知り、誰もが恒久平和を望もうとした。


その手段として、日本は武器を捨てた。


しかし、ただ武器を棄てて引きこもるのでは駄目だった。


時には銃を手に取り互いに見張り合う事が必要だった。


しかし、戦後の日本人にはそれが出来なかった。


「殴らなきゃ殴られない」そう考えていたのだ。


しかし、喧嘩はどちらかが殴る事によって始まる。


つまり、最初に殴らなくても殴られる事があるのだ。


しかし、その事実から目を反らしていた。


「皆が平和を望む国家だ

悪いのは日本だ」


そう言って自分を騙して来たのだ。


武器を持っている人を襲って金を奪うのと武器を持たない人を襲って金を手に入れるのはどちらが楽か?


それは勿論武器を持たない方だろう。


「しかし、非暴力不服従があるでなないか」と言う人がいる。


確かに非暴力不服従は有効な手段である。


精神的にも無抵抗な人々を殺すのには良くない。


これにイギリスは屈したのだ。


だが、今の日本は「不服従」か?


「弱腰外交」と揶揄される様に「服従」しているのではないのか?


「不服従」の上に「非暴力」があるから成り立つ理論なのに「非暴力有服従」では只の言いなりである。


腰抜けが勇気が無いと出来ない事をしようと見栄を張ってしまったから第三次世界大戦が始まったのだ。




イギリスやフランスでもアメリカ同様軍事施設を真空爆弾によって破壊されEUはこれをEUに対する宣戦布告だと受け止めた。


これを機に中東でも反米国家が一斉に戦線布告。


戦火は世界中に広まった。



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