プロローグにしてエピローグ ~Prologue besides Epilogue~
1000字ジャストです。
だからなんだって話ですが。
都心に程近い高級ホテルの一室。三十畳ほどあるその部屋にとある目的のために集合した十人のメンバーを僕は見渡す。
僕を入れれば十一人なんだけど、できることなら入れて欲しくないというか、この常軌を逸したメンバーの仲間入りをしたくないのが正直な所だ。他の人たちは、僕が一番変わりものだって言うんだけど、客観だろうが主観だろうが、僕が唯一の常識人であることを証明するのは、世界を破壊することや、この十人に連続で勝つことより遥かに易しいことだと思う。
部屋の中央には、一体いつの間にどうやって運んできたのか十三人は座れるであろう巨大な円卓が堂々と鎮座しており、現時点で十一席が埋まっている。
卓上には様々な料理がズラリと並び、テーブルを回転させ好きなものを自由にとって食べる形式にしている。
円卓を囲むように座る八人は、僕と南萌、そして先ほどより熱弁を揮っている仄火が集めてきた、世界屈指の人材といっても過言はない人たちだ。ただし様子を見るに、仄火の演説を熱心に聞くもの、目を瞑っているもの、こそこそ密談を交わしているもの、カードをシャッフルしているもの、眼前にある豪華な食事(自分で言うのもなんだが)を断りなく平らげていくものたち、また目を瞑って……違う! この人、眠ってるよ。振りとかじゃなくてマジで寝てますよ、誰か。とまあ色々だ。個性豊か過ぎると言うか集団行動もできないと言うか、そこ堂々とおかわり要求するな。
僕の隣で直立し、果たして本当に聴いているのか怪しい人たち(この場合僕も含むのか?)に弁論を続ける仄火に、同情しつつ話を聞くことにする。
「……のために私の招聘を受諾しこの場に集まってくれた同志の諸君にまず感謝の意を述べたい。さて、当初私一人で実現させようとしたこの計画だが、予期せぬ形で彼が加わり、南萌、花蘭、一、勇神、幸音、綺音、雲母、八雲、和が、それぞれ利害や信条はあるだろうが、これだけの人材が計画への参加を表明してくれたことで、私も大幅な計画の変更に取り掛かることが可能となった。目標は一年だ」
このときばかりはメンバー全員が仄火の宣言を一字一句聞き漏らすことはなかった。
「私は、私たちはこの世界を完膚なきまでに壊す。現在の腐敗した世界を無慈悲なまでに消滅させる」