B side 2 -2
短めになってます。
訳の分からないつくりをしていますが、全て読めば理解できるようには最低限していきます。
花蘭さんの部屋は片付いているというよりは物がほとんどなかった。ソファーはあるけど、テーブルはないし、棚一つない。
向かい合わせではなく、横並びに設置されたソファーに僕と花蘭さんは座っていた。互いに顔を見るわけではない。ただ暗くて何もない外を見ている。
分かっているからだ。
だからこの会話は前座でただの確認作業だ。
「……じゃあ、新しい本部に関してたこんな感じでいいですか?」
僕は南萌とも話し合った、新本部建設地について花蘭さんにも確認を取った。
「明夢さん、敬語」
「こんな感じでいい?」
花蘭さんとはアレ以来、会うたび敬語を止めるように言われている。花蘭さんのほうが年上なのだが、見た目はさほど変わらないので、違和感がないといえばないのかもしれない。
「はい、よく出来ました。それで反対意見はありませんよ。特に問題はないようですし」
「自分は敬語なんだね」
「ええ、もちろん。今のところは」
多少気になる発言だったものの、今はとりあえず脳内の隅っこに追い払っておこう。
「僕らの本部に関して何か視えたの?」
僕らの仲間に加わってすぐは、僕の影響のせいか、正確性を欠如したり、まったく視えなかったりしたけど、今はそんなことはないということか。
「はい。最近は調子がいいみたいで、ただ相変わらず明夢さんのは視えないんですけどね」
彼女は嬉しそうに言った。
「うん。それでいいと思う」
いや、そうでなければ困るのだ。
視えて未来が確定してしまったら、僕がこうしている意味がなくなってしまうかもしれない。
……とりあえず確認は終了。
ここからが本題だ。僕が訊くことを視ているのだろうか。黒坂明夢という不確定要素が加わるだけで見えなくなるならば、視えていないと思う。
でも結局のところだがどちらであっても問題ないし、どうだっていいと思い直した。
「轟さん、一つ訊いていいですか?」
あえて敬語で質問してみる。
「……花蘭」
顔を膨らませ不満顔で訴えてきた。
「花蘭さん、一つ質問します」
彼女は頷く代わりにこう返してきた。
「答えたら明夢さんも一つ答えてくださいね」
「……分かりました」
僕は思い出す。あの時の光景を、出来事を。
そして。
「それで、花蘭さん。あの時、××の時、本当は視えていたんじゃないですか?
僕たちに危険が迫っているって。分かっていながら、黙っていたんじゃないですか?」
声を荒げるわけでもなく、独り言のように淡々と。顔は動かさず、横目で窺う。
花蘭さんはその時を思い出すかのように、瞳をつむり、考え込んでいた。本人にも理解出来ないことでもあったのかもしれない。
花蘭さんは何かを決心したかのように、瞼を開け、言葉を紡ぎ始めた。
僕では知りえぬ、そして、僕だから知りうる説明を。