プロローグ ~Prologue~
内容がぶっ飛んでいますが気長にお付き合いください。
この手紙には如何なる意味があるのか。組織の代表者である彼女には全く理解不能の代物であった。
彼女は言う。あるいは言った。
あるいは。
「明夢。私にはこれが分からない。全く分からないのだよ。意味ではなく意図が。
これを私達が知ることで相手が得することがあるんだろうか。
確かに内部分裂を誘発させるということでは効果的かもしれない。しかしこの時機にこれを送りつけても効果は薄い。そもそも所在地が知られているのならば、直接ここに部隊を寄越せばいいだろう。大義名分などいくらでも立つだろう。ではなぜ通知のみなのかだろうか?
何らかの理由があるのか。部隊を送ることが出来ない事情が生じたのか。あくまでも内部から瓦解するのを待つ姿勢なのか。
意図は分からない、伝わらない。ないのかもしれないし、読み取れないだけかもしれない。だが人物像が見えなかったのは初めてだ」
僕は、大丈夫だろうかと心配した。顔に不安が出ていたためか、彼女は問題ないと断言し僕の肩を手で数回叩いた。
少しばかり痛かった。
「明夢、心配は要らない。正確にいえば、見えないというわけではないのだ。あらゆる可能性を疑っているから、絞り込むのに時間が掛かるという意味だ。
今持つ情報のみでは、判断し難いが幸いなことに私は策士だ。別に正解を出す必要はない。周りが納得するだけの正当性を付帯させておけばいい。とりあえず先にやるべきことは終わらせなければな」
彼女はそういって、こんな状況の中平然と笑って見せた。
今後の展開しだいでは時系列が少し分かりにくいかもしれません。