涙と鼻水の覚悟はよろしいか?
「それ見た事か!僕にはロロイしかいないんだ!」
マスターがドヤ顔で威張る。
「威張って言う事ですか!本当に情けない!英才教育で育ててきたお前がここまで非モテに育ってしまうなんて………うっぐっ!」
アンは息子の不甲斐なさに泣きながら怒る。
「非モテじゃない相性の問題だ!!」
とマスターが言い返す。
「言い訳もほどほどにおし!貴方には立派な紳士になってもらう為に一から修行をさせてもらうわ!ゴッドヴィーン!!」
アンが名前を呼ぶとヌッと何者かが姿を現した。
「何用ですかな奥方?」
現れたのは厳つい顔の大男。ある程度伸ばした白銀の髪を携え立派な軍服を身に纏った壮年の男だった。
「誰なんですかその人は!?」と見知らぬ男の威厳にただたじろぐマスター。
「この方はゴッドヴィーン!貴方の教官となる方です!さあゴッドヴィーン!この情けなくてモテない我が息子を立派な紳士にさせる為に稽古をつけてくださいまし!」
アンはマスターを名指し命ずる。
「良いだろう、新たな秩序を築くのだ!」
ゴッドヴィーンはマントを翻した。
「じょじょ…冗談じゃない僕は非モテじゃない!マスターだ!喫茶店も立派に経営しているんだぞ!」
ゴッドヴィーンが距離を詰め、影がマスターを覆う。
マスターは焦りながら声を荒げる。
「だから何だと言うのです!?貴方は5人の乙女達を雇っていると言うのに誰にも好かれた事が無いという事は貴方に魅力が無いと言う事よ!」
「そんな論理滅茶苦茶だ!」
「さあゴッドヴィーン!遠慮なくこの子を鍛え直して頂戴!」
マスターの話を突っぱねアンはゴッドヴィーンに強く命じた。
「涙と鼻水の覚悟はよろしいか?」
低い声で凄みを見せるゴッドヴィーン。
「あわあわあわ…」
マスターは涙と鼻水を流しながら焦った。
ーーー
チュドーーンチュドーーン!!
ゴッドヴィーンが無数の弾幕をマスターに浴びせる。
「ぶはあぁ!!」
マスターが煙を立てながら吹っ飛ぶ。
マスターの体がグシャリと地べたをつくもゴッドヴィーンは手加減なく一撃を加える。
「いよいよ持って死ぬが良い!」
「がはああぁっ!!」
マスターの断末魔が轟く。
「逞しく育ちなさいマスター。これも貴方の為なのよ…」
アンは紅茶を嗜みながらマスターの訓練風景を眺めていた。
ーーー
「さて行きますかな?」
ロロイが立ち上がる。
「「私達も行くわ!」」
魔法乙女達も名乗りを上げる。
「相手は魔女アン、強敵には違いありませぬぞ」
「でもでも、私達が魔力をマスターに送らないとマスターは力を発揮出来ない。それにそれに、心配なんだもの!」
ラナンが言う。
「ホロ、ご立派になられましたな。さて行きましょうぞ」
そしてロロイ、あと魔法乙女達はマスターの囚われている館へと向かった。




