マスターのズタボロ生活
マスターはいつものように真冬の天候の中自転車を漕ぎ帰宅していた。
「うう寒いな…自転車は走らないしうわっ!」
強風に煽られて転げそうになるマスター。
「ふう危ない危ない、見ると自転車もボロボロだなぁ…」
マスターはふと自分の自転車に目を向ける。
かごは殆ど破れ穴が開いている。ついでに鞄も既にボロボロだ。
ハサミの先が鞄から出てしまっている。
「うわこれは酷い!こいつは新調しないといけないかな。お金も寒いが背に腹は変えられないな…」
マスターは悩みながら結局鞄と自転車の新調を考える事にした。
何せ、途中で橋があってそこが特に風が強く下には川が流れているので下手したら貴重品が川にドボンなんて事もあり得る。
あと、それだけではない。
更には更には、今着ているジャンパーも全く防寒として機能していなかった。
「うう寒い!なんなんだよこのジャンパー、全然防寒として機能してないじゃないか!」
そうそのジャンパーは冬に備えて2ヶ月ちょっと前に買ってみたのだが着てみても普通の服と変わらない。風にほんの少し強いくらいの防寒度でしか無かった。
店員は「防寒着として優秀ですよ!」と推していたのでそれを買ってみたのだが見かけは厚くて暖かそうなものの防寒としては頼りなく、程度はウィンドブレーカーのそれらと大して変わらないパチ物だった。
「くっそーあの店員大嘘こきやがって!」
マスターはグチグチ言いながら必死に自転車を漕ぐ。
いずれも新調するとなるとかなり値は張ってしまう。
しかし早く新調しないと大変な事にもなるだろう。
マスターはそれを恐れ、土曜日にでも自転車屋に急ごうと決心した。
マスターは帰宅し549を開く。
ーーー喫茶店メルベイユ。
そこでは5人の少女達がせっせせっせと接客の対応をしている。
ロロイもそこに来ていて乙女達を手伝っていたが
、ふとマスターの沈んだ表情に目を落とす。
「おやどうしましたマスター。顔色が優れないようですが…」
「ロロイか、悩み事が増えてきてしまってね…」
マスターから掠れた声が漏れる。
そんなマスターの影を作った状況に真っ先に駆け寄るは風の少女スフレ。
働く5人の乙女達の中で最も最年少の、元気で可愛らしい少女だ。
「お兄ちゃんまた職場の人に怒られたの?許せないスーが文句言いにいってやる!」
スフレは正義感に燃えて地団駄を踏みだす。
「スフレ君は余計なことしなくて良いから!」
マスターとロロイはスフレを宥めた。
そんな時銀髪の気の強そうな少女がスフレを掴み叱り出す。
「アンタは接客の仕事しないといけないでしょ!何油売ってんの!」
「ああんお兄ちゃん助けてー!」
結局スフレは無理矢理追い返され代わりにロザリーが相手役になるのだった。
ちなみにロザリー、彼女もまた魔法乙女の1人である。
そんなロザリーはマスターの様子に違和感を感じる。
「あらマスターにロロイじゃない。それにマスターまた顔やつれたんじゃない?駄目じゃない栄養取らなきゃ」
とロザリーはマスターの痩せた頬を見てそう毒付く。
「無駄遣い出来ないからね。あと新しい自転車と鞄買わなきゃいけなくなったのさ」
とマスターの声はまた一段と沈む。
「どうせアンタの事だからまた課金したんでしょ?」
「してないしてない」
マスターは否定。
(いやスタンプの誘惑に負けてスタンプ買ってしまったな…はぁ今度こそ無駄遣いしないようにしよう…)
マスターはまた気を引き締めなければならない事情が出来た。




