真少年と堕少年
ジルハラードのとある喫茶店。
ジルハラードとは、地球とは違うが地球とはよく似た世界で5つの国がそれぞれの生活を営んでいる。
その喫茶店には救いの鍵の少年と5人の少女達が働いていた。
しかしその喫茶店では様子がいつもとは違っていた。
「あれれマスターは?」
「アイツってば全く…」
ラナンがそう聞くとロザリーは顰めっ面である方向を向ける。
ガシャンガシャン!
やや離れたところで大きな物音がした。
「気になる気になる!行ってみようよ!」
「野次馬はやめなさいみっともないわよ!」
スフレがはしゃぎ出す。
「事件かも知れないし行ってみましょう!」
「マスターがいないのにっ!」
ロザリー、プルメリアの制止を振り切り気になった乙女達は外に出る。
「ちょちょっと待ちなさいよ!」「しょうがないですわね」
ロザリーとプルメリアも気になりだしたのでついていく。
するとするとマスターがそこに立っていて、無数のガラクタの塊がマスターの前で山のように積み重ねられていた。
「ふう良い汗かいたー♪」
マスターは何やら達成感に満ちた顔で山のように積み重ねられたガラクタを見上げていた。
「何これ…」「すごーい…」
驚き戸惑うのと感嘆するそれぞれの反応をする5人の乙女。
「マスターこんなに集めてどうしようっての?」
ラナンが聞き出す。
「ギルドの開拓だよ。今の所僕のギルドはまだまだ小さいからね。大きくして立派なギルドにしたいんだ!」
誇らしい顔で語るマスター。
「何誇らしげに語ってるのよあまりハマり込むと貴方も堕少年になっちゃうわよ」
そんな時ロザリーがマスターに釘を刺してきた。
「何言ってんだい僕は真少年だよ」
「堕少年よ堕少年!!」
ロザリーは語気を強めて放った。
「堕少年て何?」
「私も初めて聞きました…」
ラナンとカトレアがこう聞く。
「何にも知らないのね貴女達…」
ロザリーは呆れながら話した。
「堕少年ってなんなんだ?」
肝心のマスターまで目を点にしていた。
「仕方ない教えてあげるわ。堕少年は祭り事や開拓にハマり込んで抜けられなくなった真少年《アンタ達》の成れの果てよ」
ロザリーは澄まし顔で説明してみせた。
「堕少年って怖いの?」
「怖いってものじゃないわよ。薬物中毒みたいなものだから」
それを聞いてスフレも怖がる。
「お兄ちゃんが堕少年になっちゃうのってやだよう」
「ならない僕はならないから!ロザリーも変な事言ってスーちゃんを怖がらせないで!」
「本当の事よ本当の事よ」
そしてそして「あのぅ…」と遠慮がちにプルメリアが聞いてきた。
「喫茶店のお留守番は…」
「忘れてた忘れてた!」
プルメリアの一言で慌てるマスターと乙女達。
何せマスターも、5人の乙女全員が店番も付けずに外に出てしまっていたからだ。
そして、喫茶店に戻るマスター達。
喫茶店では一人の長身の青年が立ち往生していた。
長い銀髪、色白の肌、白を基調にしたタキシードと赤いマントを羽織っていて貴公子のようだ。
「すみません用事で出ていました」
「可愛い美少女達に免じて許してあげるよ。僕はノフィン。スイーツ城の執事長だ」
貴公子ノフィンはこう答えた。
「かっこいい…」「マスターよりハンサムだわ…」
乙女達はぽおっとノフィンに見惚れてマスターはムッと表情を歪ませる。
「それよりチイチイ君がいないのだ。人に聞いてもわからないからここの喫茶店のマスターに聞けって言われてここに来たのだ」
ノフィンは言った。
「チイチイさんとはお知り合いですか?」
「チイチイ君は僕のアイドルでスイーツ城のママを勤めている。チイチイ君がいなければスイーツ城は立ち居かなくなる。僕も皆も困っているのだ」
「そのお気持ちわかりますわ。私もスー様がいなければ生きていけないもの!」
カトレアがこうドラマチックに涙しながら言った。
「ともあれ事情はわかりました。僕も救いの鍵としてチイチイさんを必ず見つけて見せます」
「「私達も行くわ!」」
名乗り上げる5人の乙女。
ノフィンは言った。
「ならばならば、僕も行こう。か弱い乙女達を守るのは僕の使命だからね」
「それは僕だけで「とにかく一緒に連れていきましょう。堕少年に捕えられていたとしたら事態は厄介よ」
マスターがやや剥れた様子で言うがロザリーがこう言い出す。
不服に思ったマスターだが折れてノフィンも同行させることにした。




