ラナンとまりりん
それはそれは、まだラナンが9歳の時の事だった。
「私の家が〜!手料理の本が〜!」
ラナは泣きながら手料理の本を取りに戻ろうとする。
「馬鹿危ないぞ!」
父親に手を引かれるラナン。
ゴオゴオと家は燃え、たくさんの野次馬がその火事と、そしてラナン達家族を見ている。
「あはは…燃える、燃える…みんな燃える…」
目の光を失い父と母は笑っていた。
ラナンはその家族の姿に戦慄していた。
いつもの朗らかな両親とは程遠い、正気を失った親の姿だった。
それから数年後ーーー
「あれから7年か…」
ラナンは思いに耽る。
「うっく……っ!」
精神的に苦しくなり薬を飲む。
「ぷはっはぁはぁ…頓服を飲まないと必ず動悸に悩まされる…」
ラナンもまたトラウマを抱えていた。
そしてそして気晴らしに外に出かける。
「今日は公園にでも行こうかなあれ?」
ラナンが歩いていると少し長身な少女が数人のガラの悪い女子に囲まれていた。
「でかいくせして暗いし鬱陶しいんだよ」
「ちょっとツラかせや」
長身な少女は俯向き女子達の為すがままにされている。
「弱い者いじめね許せないわ。貴女達やめなさい!」
「誰か来たようだ。逃げるぞ」
ラナンが止めるといじめっ子達は逃げ出した。
「大丈夫怪我はない?」
ラナンは自分よりいくらか背の高い少女を見上げて聞く。
「うん大丈夫…」
その少女も目に光が無かった。
(この子の目…あの時の両親みたいな…)とラナンは感じ取った。
「私はラナン、貴女は?」
「中山万里…」
少女万里はぼそりとした声でこう答えた。
そしてそして歩いていると焚き火が目に映った。
「そう言えば秋だよね」
とラナンが話すが万里はその炎を見てワナワナと震え出した。
「万里ちゃん?」とラナン。
万里は冷や汗をタラタラ垂らし尋常な様子では無かった。
まりりんは思い出した。自分がまだ小学生の時のことを。
まりりんの脳裏にサイレンの音や炎のゴオゴオと焼き尽くす様子。その煙をまりりんが吸い卒倒しそうになる光景を。
ーーー
「うわあああぁん!!」
まりりんは消防団員に助け出される。
手には人形が握られていた。
消防員達が消火活動を行う中まりりんやその家族は途方の暮れた様子でそれを見守っていた。
ーーー
まりりんは焚き火を見てフラッシュバックを起こす。
「ひ、ひ…火よ!浄化の舞!!」
まりりんはどこに持ち隠していたのか、扇子を持ち出しそこから水を噴出させる。
ジャー。
まりりんの浄化の舞で火が消されるが焚き火をしていた人もびしょ濡れにさせてしまう。
「何するんだ!」 「ごめんなさいっごめんなさいっ!」
ラナンとまりりんは必死に謝る。
ラナンは関係ないのだがたまたままりりんの隣にいたのと条件反射的に。
「またやっちゃった…」
しょぼくれるまりりん。
どうやら同じシチュエーションは一度や二度では無いようだ。




