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549物語  作者: チイチイノファン
549物語本編
10/67

VSゴッドヴィーン

「その程度か?」


グロッキーになり崩れているマスターをゴッドヴィーンは仁王立ちして見下ろす。


「ぐはっゼエゼエ…」

血反吐を吐きよろつくマスター。


「立ち上がったか、腹立たしいまでに優秀である」

ゴッドヴィーンはニヤリとする。


「とても愉快だ!こうでないとやり甲斐が無い!!」

ゴッドヴィーンは弾幕を撃ち続ける。


「がはっごほっ!!」

マスターは一方的に痛めつけられる。


そしてそしてついには死んだかのように動かなくなった。


「そこまでだ。館に帰って充分に休んでくれ、何も知らぬままに…な」


立ち去るゴッドヴィーン。


「くそっ会いたいよ…ロロイ…」

マスターは孤独の中すすり泣いた。


ーーー

「すまない加減を知らずに痛めつけてしまった…」

ゴッドヴィーンはアンに詫びた。


恭しく90°の敬礼を交わす。

鬼のような顔でも優しさはあるようだった。


「私の息子にはあれくらいで丁度良いのです。あまりにも甘やかし過ぎてあの通り、女々しい子に育ってしまいました」


寧ろアンの方が無慈悲だった。


「これからも息子をビシバシと鍛えてあげてください」

「了解した」


アンの闇に覆われた表情にゴッドヴィーンが少し恐れたくらいである。


「アン様!何者かが侵入してきました!」

「何ですって!?」

そんな時、家来がアンに知らせる。


そしてそして騒ぎが少し離れた場所で起こっていた。


「ここを通してもらう!」

ロロイが次々と兵士を斬り伏せていく。


「私の側を離れるでありませぬぞ!」

「ロロイ!」

乙女達を守るようにロロイが陣営を切る。


マスターは微かに感じた。

魔法乙女達の魔力を。


「ラナン達…まさかここに来てくれているのか?だが駄目だ…アンだけでなくゴッドヴィーンもいる…君達が敵う相手じゃない!」


マスターは乙女達を守らなければと言う意志に燃える。


それが功を奏してか、怪我の痛みを感じなく、乙女達の魔力なのか、ドーパミンが分泌されているのか、マスターは活力を取り戻す。


「魔力が戻ってくる…やっぱり僕は…」

マスターは飛翔とぶ、戦いの空へ。


ロロイの前にゴッドヴィーンが立ちはだかった。


「暴れ回っている蠅どもは貴様達か?」

ロロイ達に影が覆う。


「大きい…」

「強敵よ!気をつけて!」

とスフレとラナン。


「くっ!」

ロロイは剣を構え直し乙女達を守る。


「マスターを返してください!」と頼んでみたが「それは出来ん」と返された。


「やはりか……」

とロロイ。


「ゴッドヴィーン!その者達を追い出してしまいなさい!」


そこで馬に乗ったアンが命ずる。

「我があるじの命だ。立ち去らないなら手加減しないぞ?」

「臨むところ!」


剣と剣がぶつかり合った。


「「ロロイっ!負けないで!!」」

乙女達が声援を送る。


ロロイはいかにも必死だがゴッドヴィーンは余裕すら見せている。


「その程度か?」「ホロオオォ!!?」

ロロイがぶっ飛ばされる。


「「ロロイ!!」」と乙女達。


「いよいよもって死ぬがよい」

ゴッドヴィーンがトドメを刺そうとした。


シュタっ!ロロイとゴッドウィーンの間に入りマスターが勇ましく両手を広げロロイを庇った。


「やめろ!」と声高々にマスターが吼える。


「「マスター!!」」

乙女達は目を輝かせる。


「非モテの軟弱な息子が…」とアン。


ロロイは言う。

「マスターは非モテではありませぬし軟弱者ではありませぬぞ。とても強いお方だ!」

「「そうよそうよ!!」」


魔法乙女達も負けていない。


「ロロイと乙女達を傷つけるなら僕が許さない!」

マスターは宣言。


そのマスターの言葉がアンの胸に刺さった。


「マスター、我が息子よ。私は貴方を見誤ってたようです…」

「お母様…」


アンが馬から降り立ってマスターに言った。


「女装をしたり見合いをさせるもどの乙女とも上手くいかなかったりすっかり甘やかされて駄目になったものだと私は思っていました」


「じょそー?」

「聞かなかったことにして!」

乙女が聞くとマスターはやや動揺し誤魔化す。


ゴッドヴィーンは戦う必要は無いと感じ剣を鞘に納めた。


「救いの鍵…魔法乙女の魔力を借りて力を発揮する真少年がいると聞く。その真少年とは貴様の事だったのか」

ゴッドヴィーンが言う。


「そうです。マスターはその力で私達をいや、世界を守ってくれているのです!」

とラナン。


「はっはっは!果たしてここまで来たか!」

ゴッドヴィーンは笑いながら関心する。


「真少年からも魔法乙女からも瞳と魔力の輝きを感じる。私が戦って良い相手では無いようだ」

とゴッドヴィーンは手を引いた。


「ふう…」

張り詰めた緊張が解けてヘナヘナ〜と腰を抜かせたマスター。


「「マスター!」」魔法乙女達がマスターに駆け寄る。


「ありがとう僕は大丈夫だよ」

「お兄ちゃんかっこよかったよ!」

「流石はマスターです」


スフレとカトレアも労う。


そしてアンもさっきまでの鋭く怒りに満ちた表情が和らぎ優しき母の表情に戻っていた。


「マスター、これまで軟弱者と誤解して散々厳しく鍛え直そうとしてたのを詫びるわ」

とそして言った。


「お母様…」

マスターは母親を見据える。


「魔法乙女達、マスターの事をこれからもよろしくお願いします」

アンもまた馬に乗り、背を向けた。


遠くなっていく二人を暫く見守るマスター達。


「さあ行こう!」

マスターは導き夕日に照らされながら帰路についた。


ーーーそしてそして。


「アァーーーーン!」

「こらスー!また皿を割って!」

「プルプルプル〜タコさん苦手〜!」

「スー様可愛い♪」

「いやあぁんまた料理がぁー!」

と魔法乙女達。


マスターは「手を貸すよ」といつにもなく積極的に乙女達を手伝った。


「マスター前より男らしくなったと思わない?」

「ひょっとして惚れた?」


ラナンが言うと客の乙女が聞いてくる。


「そんなんじゃ無いんだってば!」

「赤くなった!もうわかりやすいんだから!」

「からかわないで〜!」

可愛らしく戯れ合うラナンとその友達。


「男らしくなったと言われてみればそんな風に見えなくはないわね。まあ60点と言ったところかしら?」

「百点だよ!ロザリーお姉ちゃん見る目ない!」

「マスターもかっこいいけどスー様が一番です」

「プルプル〜!」


上からロザリー、スフレ、カトレア、プルプルのプルメリア。


今日も喫茶店は賑やかだ。

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