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金色に瞳が染まる時、私の従者は世界を変える  作者: 727


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第21話 絆、金色と共に

猛る咆哮と共に、全身が眩い銀狼へと変貌したシルヴァは、教皇のいる宙空目掛けて跳躍した。

アリアは塞ぎ切らない傷を押さえながら、その壮絶な戦いをオベリスクの影から見守ることしかできない。


真獣と化したシルヴァと邪神イグニールの器と化した教皇の戦いは、もはや人間界の戦いではなかった。それは神話の世界の神々の戦のように、天地が割れるかのような激しさだった。


シルヴァが巨大な爪を振るえば、その圧倒的な風圧だけで、大神殿周辺の建物が鋭利に切断され、瓦礫へと変わっていく。

教皇が放つ黒い稲妻は、広場の石畳を破壊し地面を抉るが、気高き銀狼の獣皮を焼き焦がすことに留まった。


「グオオオオオオオオオオ!!」


シルヴァが咆哮を放つと、その音圧だけでイグニールは吹き飛ばされ、大神殿の尖塔に叩きつけられた。


『たかが犬風情にここまで……不快不快不快不快!!』


イグニールは怒りに任せ、黒い稲妻を放ち続けるが、シルヴァはそれに身を焦がしながらも真正面から受け、一歩も引かない。

黒い触手がシルヴァの肉体を何度も貫こうとするが、触手はシルヴァに触れることもできずに霧散する。


それならばと凝縮した魔力を乗せた黒線を放ってシルヴァを穿つ。

シルヴァは大量に出血しながらも、鋭利な牙を煌めかせ、イグニールに猛然と喰らいつかんとした。


それは憎悪と怒り、そして目の前の獲物だけは屠るという本能だけが支配する獣そのものだった。


そして、その時は訪れる。


『うぐあああああ!!! 我イグニールぞ!! ここまで苦戦を強いられるとは……この使えぬ器め!! 貴様が不甲斐ないばかりに、何も出来ぬまま終わることになるではないかあああ!!!』


シルヴァの力の前に、イグニールに限界が訪れる。

教皇の肉体は悲鳴を上げ、漆黒のオーラが霧散し始めた。

その顔には、憎しみと狂気が入り混じった表情が浮かび、怨嗟の言葉が響いた。


『不快不快不快!! ルミナスめ!! 眷属を産み落とすとはなんたる卑劣!! 良いだろう……貴様がその気ならば、我もこの世を暗黒へと堕としてや――』


イグニールの言葉は遮られる。

シルヴァが放った極大の、白く輝く稲妻によって。

イグニールは教皇の肉体と共に、黒い霧となって空中へと消滅した。


『忘れぬぞ……ルミナスの眷属よ……貴様らを必ずや――』


邪神イグニールが最後の言葉を放ち消え去った瞬間、空を覆っていた分厚い闇は嘘のように晴れ、曇り一つない青空が聖王国イルミナの上空に広がる。

広場に立つ巨大な銀狼は、天に向かって勝利の咆哮を奏でるのだった。


戦いは終わった。

しかし、シルヴァの真獣化は戻らなかった。


教皇を倒した後も、その巨大な金色の瞳には理性の光を宿さず、次の獲物を探して広場を徘徊し始めた。その目的はただ一つ。


目の前の生物を破壊すること。


そして、その瞳がオベリスクの影で身を潜める小さな人影を見つけた。

その牙の直撃を受ければ、アリアの肉体は一瞬で砕け散るだろう。


しかしアリアは、塞ぎ切らない傷から流れる血を気にすることなく、ゆっくりと、確かな一歩でシルヴァへと向かって歩を進めた。


「シルヴァ……」


アリアは銀狼の鼻先へと向かって両手を広げ、勇敢な戦士を迎えようとする。

銀狼と化したシルヴァは、獲物を見つけた猛獣の唸り声を上げ、その巨大な顎を開いて、アリアを喰らわんと猛然と駆けた。


シルヴァの凶悪な顎が、アリアの直前で止まる。

それは、理性を失った獣の本能ではなく、アリアへの絶対的な忠誠が、かろうじて銀狼シルヴァの行動を止めたのだ。


アリアは恐怖など微塵も感じさせない強い眼差しで、銀狼の大きな鼻先を両手で優しく抱き止めた。


「戻ってきなさい、シルヴァ」


アリアの透き通った声が響く。


「私の従者なんだから、主に牙を剥くなんて許さないわよ」


そして、アリアは銀狼の大きな鼻先に、そっと唇を押し当てた。

その瞬間、二人の身体は、温かく優しい光に包まれる。


銀狼の巨大な体は、光の中で急速に収縮していく。

光が消えた後、そこには元の姿に戻ったシルヴァが、意識なくアリアにもたれかかっていた。


真獣化の際に着ていたものは全て弾け飛んだため、彼の身体を覆うものは何もない。

全裸のシルヴァが、薄い軽装服を血で汚したアリアに抱き止められていた。


アリアは何が起こったのか分からず、シルヴァの全裸に戸惑いながらも、落ちていた竜鱗の外套でそそくさとシルヴァを覆う。


そしてシルヴァを取り戻したことに安堵すると、深く息を吐くのだった。



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