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美しい敗北

セレスティアとマルセロのルックスとか

セレスティア:プラチナブロンドのヴェールがかった長い髪にアメジストの瞳。感情を乗せないときは彫刻のような無表情だけど笑ったときの破壊力が尋常じゃない(多分めっちゃあとに出る)。

マルセロ:ゆるく波打つ漆黒の髪に金色がかった琥珀色の瞳。表向きは温厚なのに、時折“捕食者の光”を宿す。微笑むと紳士、黙ると冷淡。「裏の顔」のときに表情が一変するギャップ持ちです。

 セレスティアは聞いた。


「もし、あなたが封筒の中身を知ることができるなら、あなたはどうする?」


 その問いにマルセロは軽く息を吐き、笑みの形を崩した。そしてわずかに目を伏せ、次の瞬間にまた鋭くを見上げた。


「中身を“知ることができる”ですか。実にあなたらしい質問ですね。」

「もし私が中身を知れば、まず“確認”します。それが真実か、あるいは巧妙に仕組まれた偽装か。あなたみたいな策士なら、真実をただの飾りにしている可能性もありますから。」


 マルセロ封筒に伸ばしかけた手を戻し、声を落としながら言った。


「それを見極めたうえで、もし“真実”だと分かれば、私は、使わない。情報は刃物だ。抜けば血が流れる。だが抜かずに相手の視界に“見せておく”方が、より深く、より長く、恐怖を刻む。」

「あなたが持つその封筒も、同じことです。中身より、“持っているという事実”が一番の武器。」


 そしてセレスティアを見据えたまま、静かに問いを返した。


「...さて、セレスティア様。あなたはいつその“武器”を抜き、相手に恐怖を味わせますか。」


「あなたに何の関係あります?」


 セレスティアの答えにマルセロは静かに笑った。声は低く、抑えた熱を帯びていた。


「関係あるか、ですか。そうですね、強いて言うなら、あなたがいつその“武器”を抜く。そしてそれがどのように私の計画を左右する。ただ、“どう抜くか”、それはあなたの芸術です。そこに口を出す権利など、誰にもありません。」


 マルセロは穏やかに微笑んだ。


「...ただ、完璧なあなたにはその一手が“美”であることを、願っていますよ。」


「......あなたはそれで満足できるのですか?」


「満足、ですか。」


 ふっとマルセロは苦笑した。


「満足なんて、とうに忘れた感情ですよ。情報を集めても、勝利を得ても、権力を掴んでも......それはすぐに“過去形”になる。私の世界では、満足した者から腐ってしまいます。」


 アメジストの瞳を探り入れるように、


「けれど、セレスティア様とこうして駆け引きをしている時だけは、少しだけ、“生きている”気がします。満足ではなく、存在の証明、というやつです。」


「わたくしには満足なんて似合わないわ。ただ、一つだけわかったことがありますね。あなたにはこの美しい“武器”は似合わない。」


 感情を載せない冷たい返答に、マルセロは静かに笑った。だが、その笑みにはどこか苦みが滲んでいた。封筒に視線を落とすが、もう手は伸ばさなかった。


「そうですね、 私のような人間が触れれば、真実もすぐに汚れてしまいます。」

「あなたの言葉には、刃よりも深い断定がある。まるで、運命を軽やかに告げる裁定者のようです。その冷たさが、恐ろしくも、美しい。」


「だが、セレスティア様。もしその封筒が私の手に“ふさわしくない”というのなら、あなたはそれを誰の手に託すつもりなのでしょう。」


 マルセロはその冷たい彫刻(セレスティア)の、その表情をじっと観察した。


「あなた自身?それとも、まだ姿も見せない第三者?あるいは、あなたが誰にも渡さずこの夜ごと、焼き捨てるつもりか。」


「それはそれにふさわしい人が得て、ふさわしい行動をするにほかないわ。」


 セレスティアの答えに、マルセロは目を細め、深く息を吐いた。


「ふさわしい人が、ふさわしい行動をする。その言葉だけで、あなたがこのゲームの真の掌握者であることがわかります。」

「結局その封筒をどう扱うべきかも、あなた自身が決める、ということですね。」

「ふむ...確かにそうですね。この夜の全ての策略も、駆け引きも、権力も、結局はあなたの意志の反映に過ぎないのですな。」


 マルセロはセレスティアの表情を読み寄るように見つめた。


「ならば、セレスティア様。 この夜が明けるまで、私はただ、あなたの決断を“観察”するのみだ。」


 蝋燭の影が二人の横顔を切り取った。 


 セレスティアは何も言わず封筒を閉じたまま持ち去った。


 マルセロは一人、部屋の中で呟いた。


「やはり、そう来るのですね。一切の余韻を言葉にせず、行動だけで幕を引く。それが実にあなたらしい。」


 扉の向こうには静まり返った廊下と、夜の都市の灯が残っていた。


「その封筒の重みが、あなたを守ることを願っています。もっとも、それを武器に変えるのは、あなた次第だが。」


 マルセロは残されたカップに視線を落とし、微かに笑った。


「――やれやれ。やはり、“美しい敗北”だったな。」



 こうして夜の静寂の中、一つの駆け引きが静かに幕を下ろした。




なんかなかなか恋愛にたどり着きませんね...

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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