闇のち光
しいなここみさまの「朝起きたら企画」参加作品です。
筆を取り戻すために気ままに書いていたらこうなりました。
世界が、崩壊する音がした。
――ここまでか。
宇宙の端まで轟くような爆音。
僕はそれに、瞼をあける。
窓から外を眺める。
変わり映えしない闇。僕は孤独だ。
火山が噴火したのだろうか。いや、マグマが吹き出したなら真っ暗なはずがない。
地震だろうか。いや、揺れはない。
まぁ、どうでもいいことだ。
僕の住んでいるここは、よほど被害を受けることはない。大地が、崩れ落ちたりでもしない限り。
朝なのか、夜なのか。そんなこともわからない。
ふと、呼吸を止める。鍛えていない肺が悲鳴を上げた。
途端に訪れる静寂。僕は息を吸い込み、身体中に行き渡らせる。
どれだけこうしていただろうか。いつのまにか轟音は止んでいた。耳の中に微かに残る耳鳴り。それだけが僕の存在を証明しているように思えた。
――僕はずっと光の中で暮らしていた。
それを裏付けるものは僕の記憶しかないけれど。
今や残り少なくなった食料を片手に、僕はもう一度寝転がる。
この食料が無くなるのが先か、僕が死ぬのが先か。――まぁ、食料が無くなったら死ぬのだから、変わりはないのだけれど。
とはいえ、やり残したこともないし、あっても実行する術もない。
――次、目を開けたとき、いるのはこの世だろうか。
そんなことを考えながら、僕は再び目を閉じた。
懐かしい感覚に目を開ける。
見渡すと、窓から光が差し込んでいた。
僕は立ち上がり、窓の外に目を向ける。そこには、闇に包まれていたものが露わになっていた。
――あぁ、そうだったのか。
最後に見えたのは、崩れて落ちていく大地だった。