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こんなの酷過ぎるよ

 ……!?

 突然窓が開いた!?

 三人入ってきたけど足音も聞こえないし気配もしない。

 まさか……

 忍び?

 偽者のお母さんに何かを嗅がせると大きな袋に入れて、音もなく家から連れ去った……

 おじさんもお兄ちゃんも忍びだけど気配が全然違った。

『繋ぐ者』……

 なのかな?

 まるで、偽者のお母さんが最初からそこにいなかったみたいだ。 

 怖い……

 覚醒者はこうやって施設に連れ去られているの?

 叔父さんも真理ちゃんも全く慌てていない。

 二人が普通じゃない環境で暮らしていた事が伝わってきて……

 心が苦しい……


「……鈴木真理を見張る『繋ぐ者』は偽の母親だと気づいていた。狙いは明らかに鈴木真理だったから騙された振りをしていたんだ。家に仕掛けられた監視カメラにも気づいていたからずっと鈴木真理のそばにいた。今頃、偽鈴木母と共に来た外にいる男二人も連行されただろう。だがこれを偽鈴木夫妻には言うな。二人の動きが見たい」


 叔父さんが怖い表情で話しているけど……


「じゃあ真理ちゃんの本当のお母さんは?」


「大丈夫だ。繋ぐ者がしっかり保護している。今回の関係者は一人残らず『繋ぐ者』に消されるだろう」


「繋ぐ者に……」


 じゃあ、おばあさんとおじいさんも?


「真葵、鈴木真理。よく覚えておけ。この世界で一番恐ろしいのは『繋ぐ者』だ。音もなく現れ全てを消し去る。そしてこの世界には嘘つきしかいない……誰も信じるな。皆が嘘をついている……分かったな?」


 叔父さんの言葉に身体が震える……

 怖い……

 怖過ぎるよ……


「おじいさんとおばあさんと偽者のお母さんは口裏を合わせて真理ちゃんを拐おうとしていたの?」


「いや、別の団体だろうな。偽鈴木夫妻は本当の鈴木母だと思っていたようだが、偽鈴木母は夫妻が偽者で鈴木真理を監視している事を知っていたようだった」


「そんな……複数の団体が関わっていたの?」


「いいか? 偽鈴木母は病院に帰った事にするからな。話を合わせるんだぞ」


 こうして荷物をまとめた偽者のおじいさんとおばあさんは何も知らずにそれぞれの施設に帰って行った。

 一切気配を感じない『繋ぐ者』に尾行されているとも知らずに……


 おじいさんとおばあさんはどうなるのかな。

 叔父さんに訊けば教えてくれるんだろうけど……

 怖くて訊けない。

 だって……

 絶対に生きては、いられないから……


 あぁ……

 おじいさんとおばあさんがかわいがっていた猫のモモちゃんが、撫でて欲しそうに真理ちゃんに擦り寄っている。

 モモちゃんを優しく抱き上げる真理ちゃんの姿に胸が痛くなる。

 こんなの酷いよ。

 皆で真理ちゃんを騙して傷つけて……

 でも……

 一番の嘘つきは……

 私なんだ……

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