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今までの話が茶番ってどういう事?

「(とんだ茶番だな。嘘ばかりつきやがって……)」


 え……?

 叔父さん?

『嘘』って言った?

 隣にいる私にしか聞こえなかったみたいだ。

 うーん……

 おばあさんが真理ちゃんとお母さんに嘘をついてきた事じゃなくて、今の話自体が嘘っていう事?

 どの部分が嘘なの?

 そんな風には思えなかったけど……

 もし本当に今の話が嘘だとしたら一緒に暮らしていた真理ちゃんは、かなり危なかったんじゃない?

 だから繋ぐ者が離れずにずっと隣にいたの?


 ……これが、叔父さんがいつも言っている『誰も信じるな』っていう事?

 怖い……

 ここにいる皆が嘘をついているとしたら……

 それはどんな嘘なの?

 でも……

 一番の嘘つきは……

 はぁ……

 心がモヤモヤする。

 冷静にならないと……

 落ちつけ……

 私……




「鈴木真理……今日から親父の家で俺達と暮らせ」


 叔父さんが真理ちゃんに話しかけた。


「……え? 真葵の家で?」


「お前は元気過ぎるから、母親と病院で暮らすのは無理だろう。親父の家には使ってない部屋もあるし……『繋ぐ者』はどう思う?」


 これからは真理ちゃんと暮らせるの?

 すごく嬉しいけど……

 真理ちゃんとお母さんが一緒に暮らす邪魔をしてもいいのかな?


「……少し……部屋の隅で『駿河』と三人で話しても?」


 繋ぐ者が険しい表情で話している……

 私が知らない何かがあるみたいだ。


 叔父さんとおじさんと繋ぐ者が聞こえないくらいの小声で話し始めた。

 聞かれたくない話があるのかな?

 隣の部屋とかじゃなくて、この部屋の隅で話しているのは私と真理ちゃんを見守る為?

 でも真理ちゃんのお母さんと、偽のおじいさんとおばあさんしかいないよね?

 誰から守ろうとしているの?


「……おじいさんとおばあさんは……これからどうするんだ?」


 真理ちゃんが尋ねているけど……

 ずっと一緒にいる事はできないのかな?


「私達は一度、それぞれの施設長と話して……引退させてもらうわ」


「……引退……そうすれば、おじいさんとおばあさんは幸せになれるか?」


「ええ。余生を穏やかに過ごさせてもらうわ……真理ちゃん……今まで……ごめんなさい……嘘ばかりついて……でも……できればこれからもこの家に住んで欲しいわ」


「この家に?」


「真理ちゃんと真叶君との思い出が詰まった家に住み続けて欲しいの」


 おばあさんが真理ちゃんを悲しそうに見つめている。


「鈴木真理。必要な荷物をまとめろ。この家は引き払う」


 叔父さんが真理ちゃんに話しかけた。

 家を引き払うの?

 おばあさんは思い出が詰まったこの家に住み続けて欲しいみたいだけど……


「……そうか。分かった……繋ぐ者が決めたなら従わないとな。おじいさんおばあさん……これからは穏やかに幸せに暮らしてくれ」


「……え? あ……あぁ……そう……真理ちゃん……ありがとう……真理ちゃんと暮らした日々は……すごくすごく幸せだったわ」


 おばあさんとおじいさんと真理ちゃんが抱きしめ合うと、繋ぐ者が険しい表情になった?

 ……?

 あれ?

 気のせいだったのかな?

 すぐにいつもの穏やかな表情に戻った。


「……この家は引き払うのね。なんだか寂しいわ……え?」


 真理ちゃんのお母さんが部屋を見回した後、何かに驚いたような表情になった?


「どうかしたのか?」


 真理ちゃんもそれに気づいたみたいだ。


「えっと……なんでもないわ……真理……お母さんと一緒に病院で暮らさない?」


 お母さんと一緒に?

 確かに母子一緒に暮らした方がいいのかな? 

 でも真理ちゃんがいなくなったら寂しくなるよ……

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