真理ちゃんのおばあさんから語られた真実? (2)
「……あれは……今から二十三年前……真理ちゃんの本当のおじいさんとおばあさんは……亡くなったの」
真理ちゃんの偽者のおばあさんが悲しそうに話している。
「え……? 亡くなった……?」
真理ちゃんのお母さんが震えながら尋ねている。
「あなたの父親……真司さんが暴走したの」
「お父さんが……暴走?」
「母親の真琴さんは……真司さんに……」
「まさか……殺……お父さんがお母さんを……そんな……」
「なんとか真司さんの暴走をとめたわ……彼と共に……私と彼は真司さんと真琴さんを見守る者だったの」
「……え?」
「真司さんも真琴さんも父親が覚醒者だった……それで……私と彼はそれぞれ違う施設から見守る者として……」
「待って……じゃあ……お父さんは……あなた達が……」
「いいえ。私達は殺害していない……真司さんは突然我に返って……真琴さんの亡骸を見ると……自ら命を……」
「そんな……お父さん……」
「私達の役割は終わった……保護対象の真司さんと真琴さんは亡くなったから……でも……おばあさんが……一人残ってしまったの」
「おばあちゃんが……」
「認知症が……進行していて……」
「え? おばあちゃんが認知症?」
「……あのまま置き去りにするなんてできなかった」
「まさか……」
「おばあさんの為に……真司さんと真琴さんの振りをする事にしたの。すぐに、誰も知り合いがいないこの地に越してきた……もちろん私と彼の所属している施設長には許可を得たわ。おばあさんを見守っていた団体は、年齢的にもう覚醒しないだろうと手を引いていたからお世話をしてもらえないのは分かっていたし……」
「おばあちゃんを見守る団体……?」
「おばあさんの父親が覚醒者だったの……だからおばあさんは保護対象で……」
「待って……お父さんもおじいちゃんもひいおじいちゃんも……覚醒者?」
「……そうよ。そして……あなたの息子である真叶君も……覚醒者……」
「そんな……そんな……まるで……遺伝……でも……真叶も真理も無理矢理妙な薬を使われて覚醒して……どういう事……?」
「……私達には分からない……私達は上層部ではないの。ただの『見守る者』だから……ごめんなさい」
「じゃあ……おばあちゃんが急死したっていうのは?」
「あ……それは……」
「どうして急死なんて……亡くなる二日前……おばあちゃんから電話がかかってきて……でも……会いに行けなくて……」
「おばあさんは……認知症だったの……でもその日は朝から意識がはっきりしていて。そういう日は時々あって……それで……いつの間にかあなたに電話していて……」
「そんな……」
「おばあさんは……その日の夕方にはもうその事を忘れていた……だから会いに来られなかった事を悔やまなくても大丈夫よ……」
偽者のおばあさんは真理ちゃんのお母さんを心から心配しているみたいだ。