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真理ちゃんのお母さんはすごく優しそうだね

「ん? ……誰だ? 宅配じゃないのか?」


 真理ちゃんが玄関を開けたけど……

 宅配じゃなかったみたいだ。


「……真理……あぁ……よかった……」


 ……?

 玄関から女性の声が聞こえた?

 真理ちゃんの知り合いなのかな?

 覗きに行くとすごく綺麗な四十代くらいの女性がいる。

 でも、かなりやつれている……

 

「……鈴木真理。君の……母親だ」 


 真理ちゃんを見守る『繋ぐ者』が教えてくれたけど表情が険しい。

 綺麗だけど真理ちゃんとは似ていないかな?

 お母さんの奥に男性が二人いる。

 あの二人がお母さんを見守っているのかな?


「俺の母親? うーん……分からないな」

 

 今の真理ちゃんは『鈴木真理』の記憶がないから、お母さんの事が分からないんだね。


「そうよね……施設の方から聞いたわ。覚醒に失敗して新たな人格が現れたのよね……真理……生きていてくれてよかった……」


 お母さんが涙を流しながら真理ちゃんを抱きしめた。

『繋ぐ者』がピリピリしているように見えるのは気のせいかな?


「……この身体の女は……本当の鈴木真理は……俺じゃない……」


「それでも……生きていてくれて嬉しいのよ」


「……そうか。おじいさんとおばあさんも毎日そう言ってくれるんだ」


「お父さんとお母さん……真理のおじいちゃんとおばあちゃんは……今はいないの? 会うのは久し振りなの。おばあちゃん……真理の『ひいおばあちゃん』のお葬式にも出られなかったから……」


「お葬式?」


「真理の『お兄ちゃん』が熱を出してね」


「そうなのか」


「この家にも初めて来たの。結婚してからは、なかなか里帰りできなくて……おばあちゃん達がこの家に引っ越してからはお互い忙しくて、電話はしていたけど一度も会っていなかったのよ。真理は時々会いに来ていたけど……」


「俺は何も覚えていないんだ」


「そう……」


「おじいさんとおばあさんは二十三年前に越してきたって言っていた」


「そうね。ひいおばあちゃんと三人で越してきたのよ」


「そうか。ひいおばあさんか……仏壇に写真がある」


「……手を合わせたいわ」


「そうだな。お前が来たからおじいさんとおばあさんも喜ぶだろうな。早く帰って来ないかな」


「私の事は『お母さん』とか『ママ』って呼んでくれたら嬉しいわ」


 すごく優しそうな人だ。

 真理ちゃんを大切に想う気持ちが伝わってくる。

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