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真葵と一真と呪いの人形? (3)

「真葵は口を開けば『金金』言うだろ。呪われた日本人形に稼がせれば汗をかかずに楽に大金持ちだ」


 叔父さん……

 呪われた人形で稼ごうとするなんて……


「呪いの人形より叔父さんの方が怖いよ……」


「はは。一真、冗談はそれくらいにしなよ。ぴよたんが信じちゃっているよ」


 おじさんが笑いながら話している?

 こういう話が怖くないのかな?


「真葵は、からかうと面白いからな」


 え?

 からかわれていたの?

 じゃあ呪いの人形じゃなかったの?


「ぴよたん。あの店主は非公認の見張る者だったんだよ」


「非公認の見張る者?」


「この辺には覚醒者の家族が多く住んでいるから、店主として潜り込んでいたんだよ」 


「……私はショーウインドーから人形を見ていただけだったから店主に会った事はなかったけど……」


「どこからか、ぴよたんが葵様の娘だっていう情報を得たんだろうね。あの日本人形でぴよたんを拐おうとしたんだよ」


「え!? 全然知らなかった……」


「日本人形の店主以外にも何度か拐われそうになった事があったんだよ」


「……そんな。じゃあ、そのたびにおじさんが助けてくれたの?」


「それがおじさんの役割だからね。何があってもぴよたんを守るよ……って言いたいところだけど……」


「おじさん?」


「……うーん。怖がらせるみたいで話したくなかったんだけど……」


「え? 怖い話……?」


「……本当に日本人形がマッチを擦ったんだよ」


「……!? マッチを……」


 おじさんは嘘をついていないみたいだ……

 じゃあ……

 本当に……


「あの店主は怪しかったから出入りする人を確認する為に監視カメラを仕掛けてあったんだよ。そこに人形が動いている姿が映っていたんだ。他に怪しい人は映っていなかったし火元はショーウインドーの中だった……」


「じゃあやっぱり呪いの人形だったんだ……」


「……買わなくてよかったね」


「うん……叔父さんがケチでよかったよ」


「……ケチ? まったく……お気楽だな」


 叔父さんが呆れている?


「……? 叔父さん?」


「はぁ……真葵はバカだからここまで何も知らずに暮らせたんだな」


「あ! またバカって言った!」


「事実だろ。はぁ……これで見守る者になりたいなんて……あり得ない。これからも、こうやってバカみたいな事をしながら暮らしていくんだろうな……」


 おじさんもおじいちゃんもお兄ちゃんも呆れているみたいに見える……

 でも皆笑っている?


「ぴよたん……これからもぴよたんを守り続けるからね」


 おじさんが優しく微笑みながら話している?


「まったく……真葵は手がかかる」


 お兄ちゃんも笑っている?


「真葵ちゃん……これからはおじいちゃんもずっと近くにいるからね」


 おじいちゃんが優しく抱きしめてくれた?


 あぁ……

 私は、こうやってずっとずっと守られてきたんだ……

 

 ギュッと目を閉じる。

 

 こんな嘘つきの私を命がけで守ってくれているなんて……

 ごめんね……

 ごめん……

 本当の事を話せなくてごめんなさい……


「真葵ちゃん? 泣いているの?」


 おじいちゃんが心配そうに覗き込んでいるのが分かる。

 ……しっかりしないと。

 誰にどんな力があるか分からないんだ。

 おじいちゃんも駿河の末裔……

 心を聞く力があるかもしれない。

 落ち着け……

 私……

 皆を守る為にも絶対に心を聞かれるわけにはいかない。


 ゆっくり目を開けると涙がこぼれ落ちる。


「真葵ちゃん……」


 泣いている私に、おじいちゃんが慌てている……


「……えへへ。私……ずっと皆に守られていたんだね」


「……真葵ちゃん」


「ありがとう……本当にありがとう……」


 もう一度目を閉じると心を落ち着かせる。

 

 私が駿河の完全体だっていう事は絶対に隠し続けないと……

 この穏やかな時間を……

 大切な皆を守る為に…… 

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