真葵と一真と呪いの人形? (1)
「私は探偵事務所の仕事がなくなればモデルの仕事を増やしてもらうけど……叔父さんとママを養えるほどは稼げないだろうし……うーん。叔父さんが家事をして私が稼げる仕事を探して……」
「はぁ……そんな心配はしなくて大丈夫だ。かなり貯金もあるしな」
え?
叔父さん?
今……
なんて言ったの?
「……叔父さん? 今……なんて……」
「だから、心配は……」
「そうじゃなくて! かなり貯金がある!?」
「……これだから話したくなかったんだ」
「は!? 私には、いつもいつも『家は貧乏だから』って言うくせに!」
「……見守る者は、かなりの額を支給される。ツクツク駿河も普通の二十代じゃ稼げないくらい支給されてるはずだ」
「ええ!? そうなの!? 私も見守る者になりたいっ!」
「……真葵。お前は無理だ。強くないとなれないし……お前は保護対象者だろ? 本当にバカだな」
「またバカって言った!」
……あれ?
でも……
ダメダメ。
今はこれ以上考えたらダメだ。
どこに心を聞く力のある人がいるか分からないからね。
「実際バカだろ。どうやったら守られる側が守る側になれるんだ?」
「うぅ……確かに」
「だから真葵は小学生レベルだって言われるんだ」
「……私がかわいい人形を欲しいって言った時も本当はお金があったんだね」
「……は?」
「私が中学生の時欲しいって言った人形だよ! 今はもうないアンティーク雑貨のお店のショーウインドーにあったかわいい人形!」
「お前……本気か? あの日本人形……絶対呪われてたぞ……」
「呪われてないもん! すごくかわいかったもん!」
「……髪は変に伸びてガタガタで、口からは赤い液体が流れた跡が付いてたぞ」
「……え? そんな事……なかった……ような?」
「しかも爪に赤い色が……」
「もういい! 聞きたくない!」
「まったく……それから半年くらいしたら売れ残った日本人形の隣に入ってきたフランス人形が欲しいとか言い出したよな」
「え? そうだったっけ?」
「あれはあれで呪われてただろ……店の前を通った時、白目になってた事があったぞ」
「……え!? そんな怖い物を欲しがっていたの!?」
「それで仕方ないから藁人形を作ってやったんだ。それなのに箱にしまい込んですっかり忘れてるだろ」
「あの時の藁人形ね……もらった時は捨ててやろうかと思ったよ。っていうより藁人形の方が怖いでしょ!? 誰かを呪わせるつもりかと思ったよ!」
「引っ越しの時に捨ててないだろうな」
「ちゃんと持ってきたよ! 捨てたら呪われそうだし!」
「なんだ……捨ててないのか」
「なんでちょっと残念そうなの!? 叔父さんの事だから後になって持っているか確認するって分かっていたからね! まさかママにも藁人形をプレゼントした事があるんじゃ……」
「……するわけないだろ」
「は!? 何それ!?」
「子供は藁人形で遊んでればいいんだ」
「そんな子供がいるはずないでしょ!?」
叔父さんは本物のバカなの!?