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ママはどんな人なんだろう?

勇真ゆうまさんから聞いたんだ」


 お兄ちゃんが呆れながら話しているけど……


「おじいちゃんから!?」


 まさか、おじいちゃんから聞いたなんて……


「嬉しそうに話してたぞ? 葵様に話したら声を出して笑ったらしいし」


「え!? ママに話したの!?」


「俺じゃないぞ? おっさんが話したんだ」


「おじさんが!? もう! 恥ずかしい話をママにしないでよ!」


「ははは。あの時のぴよたんもかわいかったなぁ」


 おじさんがニコニコ嬉しそうに笑っている!?

 悪気はないみたいだね。

 でもママには知られたくなかった……


「うぅ……ママは私をどう思っているんだろう。きっと、バカでそそっかしくて変な子だと思われているよ……」


「そんな事あるわけないだろ?」


 お兄ちゃんが少し怒ったように話しているけど……


「……え? ママは私を変な子だって思っていないの?」


「会いたくて堪らない気持ちを我慢してるんだ」


「……お兄ちゃん」


「この前も久し振りに一真さんに会えたって喜んでたし」


 いつの間にか叔父さんの事を『一真さん』って呼んでいる……

 って、そうじゃなくて!


「叔父さんがママに会ったの!?」  


 いつの間に!?

 まさか、私が狩野さんの超高級独房にいた時!?

 

「……ツクツク駿河」


 あれ?

 叔父さんが怒っているような……

 私には聞かれたくなかったのかな?


「叔父さん……ママに会ってきたの? ママは……元気だった?」


「……あぁ……元気だった……」


「ママは幸せそうだった?」


「……あぁ。穏やかに暮らしていた。あの施設なら安心だ」


「そう……よかった」


「話さなくてすまなかった……」


「え? 叔父さんが謝るなんて珍しいね」


「真葵……」


「私はママに会えないのに叔父さんは会えたから怒ると思った?」


「……」


 すごく気まずそうだ……


「気にしなくていいよ……ママが元気ならそれでいいの。叔父さんはママが保護されている施設長からお給料をもらっているから、施設に行けるんだよね」


「……そう……だな……」


「私は覚醒していないから施設には行けないし……覚醒してもママと同じ施設には行けないんだよね」


「……真葵」


「大丈夫……ママだって我慢しているんだから……私も我慢するよ。ママが穏やかに暮らしているならそれでいいの」


「……いつか」


「……え?」


「いつか、このくだらない『駿河復活』なんて世界を……俺がぶち壊してやる」


「叔父さん……」


「そうなったら……俺と親父と葵と真葵の四人で暮らそう」


「……四人で?」


「そうだ。穏やかに暮らそう。誰からも見張られない世界で……」


「……そんな日が……来るのかな?」


「……真葵」


「それに……そうなったら叔父さんは何の仕事をするの?」


「……何の……仕事?」


「私を見守るお給料をもらえなくなるんだよね? 探偵事務所の浮気調査と猫捜しじゃ、ママを養えないよ? ママは施設で良い暮らしをしているんだよね? 叔父さんがしっかり稼がないとママに逃げられちゃうよ?」


「……真葵……急に現実的な話を……」


 叔父さんが呆れながら呟いた。

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