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お兄ちゃんには、見られたくないところばかり見られちゃうよ

「おっさん? どうかしたのか?」


 明らかに元気がないおじさんを見て、お兄ちゃんが心配している。


「……体重を量る事になったんだよ」


「え? 別にいいだろ?」


「現実から目を背けたいんだよ……」


「あれ? わざと太ってるって言ってなかったか?」


「……うーん。でもやっぱり動けないと困るから……」


「そうだな。真葵が危ない時に助けられなかったら困るよな。じゃあこれからは町内二周はおっさんが……」


「それは大丈夫!」


 お兄ちゃんの話を遮った!?

 心から嫌なんだね。


「……まったく。本当に痩せる気があるのか? じゃあ俺は施設に帰るぞ。葵様が待ってるからな」


「あぁ……この事を葵様が知ったら笑われるんだろうなぁ……」


 ママはよく笑う人なのかな?

 会った事がないから分からないけど……

 幸せに暮らしているみたいだね。

 やっぱり、叔父さんもママに会いたいのかな?


「笑われたくなければ少し痩せろよ。じゃあ真葵。変な事しておっさんを困らせるなよ」


 お兄ちゃんが呆れながら話しかけてきた?


「もう! 変な事なんてしないよ!」


「は? さっきの町内二周の時だって焼き鳥屋の匂いを嗅ぎながら腹を鳴らしてただろ」


「うわあぁ! 聞こえていたの!?」


 恥ずかしい……


「油断するなよ。日に日に変な奴らが増えてるからな」


「……狩野さんとは違う繋ぐ者なのかな?」


「うーん……非公認の奴らもいるみたいだな。真葵の事をどこまで調べたか分からないけど……葵様の娘だって知られたら拐われる可能性もあるからな」


「うん。気をつけるよ……」


「いいか? おっさんは巨大化したけど強いんだ。絶対に離れるなよ?」


「……うん」


「真葵の事だから巻き込んで申し訳ないとか考えてるんだろ」


「……それは」


 そんなに分かりやすいかな……


「真葵を守るのが俺達の役目だ。俺は……見守る対象が真葵でよかったと思ってる」


「……え?」


 これって……

 まさか……

 告白!?


「……お前……告白されたとか勘違いしてないよな?」


「え!?」


 違ったの!?

 うわあぁ!

 勘違いして恥ずかしいっ!


「やっぱりそうか。……いいか? お前はとにかく手がかかる。もし俺達の施設に葵様が保護されてなかったとしたら……お前を見守る者は……」


「私を見守る者は……?」


 話しにくい事なのかな?


「見捨てただろうな」


「え!? なんで!?」


「やってる事が小学生なんだよ……お前二十二歳だろ……」


「は!? 私のどこが!?」


「自分で分かってないところが怖いな……」


「え? 教えてよ! 気になるよ!」


「そうだな……まずは色気より食い気なところだな」


「……!? 色気より食い気!?」


 それは……

 その通りだよ……

 言い返せない……


「あとは……」


 お兄ちゃんが何かを考えながら話をやめた?


「あとは!? あとは何!?」


 途中で話をやめられた方が気になるよ!


「……うーん。お前……工事現場で被るようなヘルメットに木刀を持ってこの辺りを走ったんだって? しかも鬼の形相で……」


「え!? どうしてそれを……」


 まさか見られた!?

 でも、あの日はおじさんが見守っていた日だよね?

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