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おじさんは体重計には乗りたくないけどパイは食べたいんだね

「……毎日、町内二周走るのもツクツク駿河と行ってるだろ?」


 叔父さんが呆れながら話しているけど……


「それは叔父さんが走れないと思って……」


「俺は走れないんじゃなくて走らないんだ。汗をかくのは気持ち悪いだろ?」


「私とお兄ちゃんは強制的に走らせるのに……」


「ダイエットだから仕方ないだろ」


「うぅ……痩せたらもう走らないから……」


「ほら、さっさと靴を履け。仕方ないから一緒に行ってやる」


「え? いいの?」


「まったく……いつまで経っても子供だな」


 うぅ……

 叔父さんとずっと一緒にいたい気持ちがバレたみたいだ。

 でも……

 恥ずかしいけど、付いてきてくれるのは嬉しいかも。


「……えへへ。叔父さんと二人でお出かけなんて何年振りかな?」


「は? お出かけ? 近所に行くだけだろ」


「それでもお出かけはお出かけでしょ?」


「まったく……本当にいつまで経っても甘えん坊だな」


「叔父さんの気が変わる前に早く行こう!」


「やれやれ……それにしても鈴木に大事な話でもあるのか?」


「え? 違うよ。デジタルの体重計で体重を量ろうかと思って」


 あ……

 言っちゃった……


「お前……気づいたのか……」


「……え? 何を?」


「気づいてないのか」


「……? 何?」


「まぁいい。歩けば痩せるからな。行くぞ」


「え? 教えてよ」


「鈴木の家に行けば分かる。ちょうど鈴木夫妻の家を見てみたかったしな」


「体重を量ったらすぐに帰るけど……ジロジロ家の中を見ないでよ?」


「お前……俺をいくつだと思ってるんだ? まったく……」


「だって叔父さんならやりそうなんだもん」


「……俺を何だと思ってるんだ。まぁいい。ついでに駿河……」


「え? 俺?」


 今日はおじさんが見守ってくれる日か。

 今来たみたいだね。

 手に紙袋を持っている。

 あれは確か商店街のパイ屋さんの紙袋だ。

 かなり大量に入っているみたいだけど全部一人で食べるつもりなのかな?


「駿河も体重を量れ」


「ええ!? 嫌だよ!」


「ついでだ。お前……また太っただろ……」

 

「ええ!? 気のせいだよ!」


「一日おきに商店街で大量に買い食いしてる大男がいるって噂になってるぞ」


「だっておいしいんだよ……惣菜パンなんてコロッケも焼きそばもパンからはみ出て、カツ丼は蓋が閉まらないんだっ!」


「駿河が大食いだから商店街の物が巨大化していったんだ……」


「え? そうなの?」


「駿河が来る前は商店街に活気がなくてそのうちシャッター通りになるかと思ったが……大男が旨そうに飲み食いする姿に日に日に品物が大きくなって、今じゃ有名な大食いの街だ」


「それで俺が買い物に行くと皆おまけしてくれるのかな?」


「はぁ……いざって時に動けるようにしておけよ」


「分かったよ。じゃあ今日は体重は……」


「量るに決まってるだろ」


「ええ!? 嫌だよぉ。一真……今日は、やめよう? ね?」


「まったく……真葵と町内を二周走らされたくなければ痩せろよ? お前が走れないだろうからってツクツクの駿河が毎日付き合わされてるんだ」


 そうなんだよね。

 お兄ちゃんは毎日、おじさんとの交替の時に走らされているんだ。


「……うぅ。分かったよ……少しずつ痩せるよ……」


「あれ? おっさん来てたのか?」


 お兄ちゃんがお風呂から出てきた。

 町内を二周させられていた時に汗だくになっていたからね。

 毎日付き合わせちゃって申し訳ないよ。

 それにしても……

 あのツクツクの髪は濡れていてもツクツク立っているんだね。

 何かで固めているのかと思っていたけど、癖毛なのかな?

 

「交替の時間だからね。はぁ……」


 おじさんは体重を量るのが嫌みたいだね。

 今よりも体重が増えたら町内を二周走らされそうだからかな?

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