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絶対に痩せないといけないのに……

「痩せない……」


 撮影日まであと一週間……

 二キロは戻ったけど……

 あと二キロがどうしても痩せないっ!


 見た目は戻ったのにどうして痩せないの?

 ウエストも元通りなのに……

 前のアパートで使っていたデジタルの体重計が見当たらないからおじいちゃんのアナログの物を借りているんだけど……

 うーん……

 かなり古そうだし、合っているのかな?

 針がクルクル回るたびに少しずつ違う数字で止まるんだよね。


 そうだ!

 真理ちゃんの家ならデジタルの体重計があるかも。

 今はまだお昼前だから真理ちゃんも塾の仕事に行っていないよね。

 一応叔父さんに言ってから行かないと……

 でも体重を量りたいなんて言ったら笑われちゃう。

 叔父さんは居間かな?

 おじいちゃんの家に越してきてから毎日、居間のこたつでゴロゴロしているんだよね。

 前のアパートにいた時もリビングのクーラーの風が直接当たるソファーでゴロゴロしていたっけ……

 ……ずっとゴロゴロしているね。


 居間に行くと……

 あ、やっぱりいた。


「叔父さん。ちょっと真理ちゃんの家に遊びに行ってきたいんだけど」


「ん? 鈴木の家に?」


「うん。ちょっと話したら帰ってくるよ」


「……お前……お菓子を恵んでもらうつもりじゃないだろうな?」


「は!? そんな事あるわけないでしょ!? 撮影まであと一週間なんだよ!? 探偵の仕事は全然無いし唯一の収入源なの!」


「……必死だな」


「叔父さん……まさかおじいちゃんの畳屋の稼ぎを当てにしているんじゃ……」


「……そこまで落ちぶれてない。まったく……お前は俺をなんだと思ってるんだ」


「……探偵の仕事が無い今……叔父さんは私のヒモなんだよっ!」


「……ヒモ? お前……意味分かってないだろ」


「叔父さんも働いてよ! ずっと、こたつでゴロゴロしているだけでしょ?」


「お前を守ってるんだから探偵の仕事は無理だろ。それにしばらく探偵事務所は休みだ」


 守っているって……

 こたつでゴロゴロしているだけだよね。


「休み? それって……やっぱり無職……」


「問題無い。お前の護衛で施設から収入を得てるからな」


「……え?」


 施設から収入を得ている……?


「だから、施設から収入を……」


「……いくら?」


「は?」


「いくらもらっているの!? そんな話、知らないんだけど!?」


「まさか、浮気調査と猫捜しで大学まで行ったと思ってたのか?」


「やっぱり! おかしいと思っていたんだよ! いくら!? いくらもらっているの!?」


「金金言うな」


「それで毎日毎日お酒を……どこから出てきたお金かと思ったら……そんなお金があるなら一年に一回くらいは駅前の高級焼き肉に行けたんじゃ……」


「また食べ物か……鈴木の家に行くんだろ? さっさと行け」


「は!? 叔父さんは私の護衛でお金をもらっているんでしょ!?」


「大丈夫だ。問題ない」


「……ずっと守るって言ったのに」


「なんだ? ずっとぴったりくっついて離れないで欲しいのか?」


「そ……そんなんじゃないけど……」


 叔父さんに言われるまで気づかなかった……

 私……

 ずっと叔父さんに近くにいて欲しいんだ。

 でも笑われるから絶対口には出せないよ……

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