叔父さんと私は似ているのかな?
「叔父さんが私を守る為に痛い思いをするのは嫌なの!」
絶対に嫌なの!
「……真葵……いいか? 今はそんな事を言ってる場合じゃない」
叔父さんがいつも通り冷静に話している。
「……でも」
「誰も信じるな」
「……え?」
「ここにいる追加した二人も親父も……俺の事すら……信じたらダメだ」
「……叔父さん?」
「最後まで自分以外を信じるな」
「そんな……」
「この世界は嘘でできている……だから成り立つんだ」
「嘘で……成り立っている?」
「真葵……いいか? 誰の事も信じたらダメだ。そして……もし『駿河』に覚醒しそうになったら絶対にその狂気に負けるな。我を忘れて誰かを殺せば……真葵は暗殺部隊に消されるだろう。生きろ……最後の一人になっても生き延びろ」
「叔父さん……」
怖いくらい真剣だ……
私に生きていて欲しい気持ちが伝わってくる。
こんなに愛されているんだ……
それなのに……
私は……
大嘘つきだ……
「……真葵?」
目を伏せた私を叔父さんが覗き込んだ。
ギュッと目を閉じると涙を我慢する。
「……私は……バカだ……大バカだよ……」
「真葵?」
落ち着け……
落ち着け……
目が合ったら叔父さんに心を聞かれちゃうかもしれない。
叔父さんにはその力があるかもしれないんだ……
「……ううん。大丈夫。叔父さんが『最後の一人』なんて言うから心配になっちゃったの」
「……心配?」
「大丈夫。私はおばあちゃんになるまで生き続けるから」
「……そうか」
「だって叔父さんの面倒を見ないといけないでしょ?」
「……は?」
「私がおばあちゃんになったら、叔父さんは絶対にわがままなおじいちゃんになっているから私じゃないと世話ができないだろうし」
「……わがままな……じいさん?」
「だって叔父さんは長生きしそうだし、今でもわがままで自分じゃ掃除も洗濯もできないでしょ? 私がずっと世話をしないと。だから死ねないの」
「……真葵……俺をそんな風に思ってたのか……」
「アパートのお風呂にキノコを生やして汚部屋にしたし……叔父さんは大きい赤ちゃんみたいに手がかかるよ」
「赤ちゃん!? ……真葵……お前……そのキノコを俺に食わせようとしたよな」
「……! それは一瞬思っただけだよ!」
「俺がいないと真葵の妙な行動を誰も止められない……まだまだ死ねないな」
「はあ!? 叔父さんだっていつも変な事しかしないくせに!」
「ははは。似た者親子だ! あはは!」
おじいちゃんが嬉しそうに笑い始めた!?
「「全然似てない!」」
叔父さんの声と私の声が重なった!?
うぅ……
この、ぐうたら叔父さんと私が似ているの?
嫌だなぁ……
私は掃除も洗濯もできるのに。
でもゴロゴロだらけるのが好きなところはそっくりかも……