一番の脅威は……?
「はぁ……荷ほどきが終わった……」
昨日も一昨日もおじいちゃんの家に泊まってはいたけど……
古くからある家なんだろうな。
襖に欄間、砂壁に畳……
あぁ……
落ち着く……
さすが畳屋さんだよ。
新品なのかな?
畳から良い匂いがする。
さっきまで引っ越しの手伝いをしてくれていた真理ちゃんは塾の仕事があるからって帰ったけど……
軽トラの助手席に中年のおじさんが乗っていたよね。
あの人が真理ちゃんを見守っている『繋ぐ者』なのかな?
「真葵……入るぞ」
叔父さんが襖を開けて入ってきた。
前のアパートも壁が激薄だったけど、私の部屋と叔父さんの部屋の間は襖だからプライバシーなんて皆無だね。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃないだろ……やっぱり畳でゴロゴロしてたか」
「だって気持ちいいんだもん」
「荷ほどきは終わったか?」
「うん」
「じゃあ居間に来い。追加の見守る者を紹介する」
「追加の?」
居間に行くと見た事がない二十代くらいの男性が二人とおじいちゃんがいる。
「この二人が追加の見守る者だ。二人とも駿河の里の忍びだ」
「駿河の里の忍び?」
「若い世代の『駿河』……そう言えば分かるな?」
「……それを今話していいの?」
「この二人は『駿河』を崇拝していない。大丈夫だ」
「……そう」
「基本的に真葵を近くで見守るのは今までの二人だ」
「おじさんとお兄ちゃんだよね?」
「そうだ。追加された二人は少し離れた所から真葵を見守る事になった」
「少し離れた所から?」
「『繋ぐ者』対策だ。奴らは気配さえ感じないからな」
「え? それって?」
「非公認の団体が真葵に手出ししようとすれば狩野率いる暗殺部隊がその団体を消すだろう……正規の団体の場合は狩野以外の暗殺部隊が動く」
「……うん」
怖い話だね……
「分かるか?」
「……え?」
「真葵の一番の脅威は『繋ぐ者』って事だ」
「繋ぐ者……でも……私は覚醒者じゃ……」
「そうだ。真葵は覚醒者じゃない。だが……真葵は葵の娘だ。無理矢理覚醒させて『駿河』に……そう思う者が現れたら……もしそれが繋ぐ者だったら?」
「……無理矢理……覚醒させる?」
「狩野はバーで偽真葵を鈴木に会わせた……」
「……そう……だね」
「暗殺部隊を率いる繋ぐ者が真葵を手に入れようとすれば……見守る者だけでは守りきれないだろう」
「……そんな。嫌だよ。おじさんやお兄ちゃんが私を守る為に痛い思いをするなんて絶対に嫌……」
「……真葵。いいか? それが見守る者の役割だ」
「役割……? そんなの……ダメだよ」
「大丈夫だ。俺もずっと真葵を守る」
「叔父さん……?」
「俺も若い頃は見守る者だった。真葵一人くらい守れる」
「……それも嫌……それは……もっと嫌……」
叔父さんが私のせいで怪我をするなんて絶対に嫌だよ。