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毎日面白おかしく暮らしていたから太った? その通りだよ!

「そっか……狩野さんの仲間なら『繋ぐ者』……」


 真理ちゃんは誰からも恐れられている繋ぐ者に見守られているのか……


「暗殺部隊を率いない『繋ぐ者』だな。俺が妙な動きをしたらすぐ消せるように近くにいるんだろう」


 そんな……

 怖過ぎるよ。

 でも真理ちゃんは平気そうに見えるけど……


「……嫌じゃない?」


「うーん……真葵がいるから大丈夫だ!」


「……え?」


「真葵は俺の友だから!」


 真理ちゃんが嬉しそうに笑っている。

 どこまでも真っ直ぐで純粋で……

 覚醒に失敗した駿河として殺されるなんて絶対にダメだよ。

 

「そうだね。狩野さんの高級独房は楽しかったよね」


「うんうん! またお泊まりしたいな!」


「あはは! また朝まで色々話したいよね」


「うんうん! お菓子とアイスを食べながら話したいな」


 狩野さんが用意してくれたお菓子とアイスは全部おいしかったなぁ。

 我が家じゃ食べられない高級品だったよ……

 また食べたいなぁ……

 うぅ……

 お腹空いてきちゃった。


「……は?」


 しまった!

 叔父さんに聞かれちゃった!


「ん? 真葵? どうした?」


 真理ちゃんが明らかに慌てている私を見て純粋な瞳で尋ねてきた……


「いや……あの……叔父さん……今の話は毎日じゃなくて……」


 怒られる……

 絶対怒られるよ……


「お前……毎日夕飯にステーキ……夜中にお菓子とアイスを……」


「毎日じゃないってば……三日に一度くらい……夜中に……お菓子を……」


「……走れ」


「……え?」


「さっさと走って来いっ!」


「ええ!? 引っ越しは!?」


「あとは運ぶだけだからお前は町内を二周して来い!」

 

「町内を二周!?」


「駿河! お前も走れ!」


 え?

 お兄ちゃんも?

 あ……

 でも見守る者だからそうなるのか……

 おじさんじゃなくてよかった。

 町内を二周なんて絶対に走れないよ。


「え!? 俺も!?」


「忍びなのに虫が怖いのか!? さっさと走って来い!」


「ええ!? とばっちり……」


「うるさい! 二人とも走れ!」



 こうして私とお兄ちゃんは町内を走り始めた。

 もう十月か。

 この二か月……

 色々あったなぁ。


「まさか町内を二周も走らされるなんて……」


 お兄ちゃんがブツブツ言いながら走っている。


「巻き込んでごめん……」


「お前……毎日面白おかしく暮らしてたんだな」


「え!? そんな事は……」


 あるかも……


「走らされても仕方ないな……ずっとお前を心配してたんだぞ」


「……え? 叔父さんが?」


「だから腹が立ったんだろうな」


「……走り終わったら……謝る……」


「……それがいいな。それにしてもお前走るのが速いな」


「体力だけは自信があるんだよ……あれ?」


 真理ちゃんの家の塀の奥に誰かいる?

 あ……

 おじいさんとおばあさんだ。

 挨拶でもしようかな。

 あれ?

 青白い顔をしている?

 もう一人誰かいるけど……

 まさか何か揉めているんじゃ。

 向かいの曲がり角の塀に隠れて様子を見ようかな……

 うーん……

 あ!

 もう一人の姿が見えた。

 知らない中年の男性?

 ……誰?

 お兄ちゃんも走るのをやめて覗いている。

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