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おじさんから聞いたこの話は真実? (4)

「そうだね。一真……もう一人で背負い込んで突っ走らないでね」


 おじさんが心配そうな表情で叔父さんに話している。


「……? 駿河?」


 叔父さんは意味が分からなそうにしているけど……


「……俺はいつでも一真の一番の味方でいたいんだ」


「……一番の味方?」


「施設で一緒にいた頃から不器用で誤解されやすくて……でも本当は優しい……そんな一真を放っておけないよ」


 ……?

 本当におじさんは『駿河』に執着していないのかな?

 叔父さんにかなり執着しているように見える。

 でもお兄ちゃんはそうでもないよね?

 おじさんは四十歳って言っていたけど、若い世代側にギリギリ入っていないんじゃ……

 それとも、おじさんが優しいからそう見えるだけ?

 


 二日後___


「真葵。鈴木が来たぞ。新車の軽トラを借りてきたのか? ピカピカだな」


 開けっ放しの窓から外を見ながら叔父さんが話しかけてきた。

 ん!?

 缶コーヒーを飲んでいる!?


「ちょっと! ずるいよ! 私もジュースが飲みたいのに!」


 今日中に引っ越しを済ませたいから大急ぎで段ボールに荷物を詰めているのに、全然手伝わないんだから!

 

「お前はダイエット中だから水を飲め」


「うぅ……確かに痩せないと……じゃあ引っ越しの手伝いをしてよ!」


「オレの分は終わった。あとはお前の分だ」


「はあ!? キッチンとかリビングの物は叔父さんも使うでしょ!?」


「家具は処分だし、キッチン用品も少ないからな。鈴木の軽トラで二回運べば終わるだろ」


「……こうやって見ると……私と叔父さんって持ち物が少ないよね」


「そうだな。何かあってもすぐに逃げられるようにしてたからな」


「何かあっても? それって……」


「俺達は普通じゃないからな。いつ何があるか分からないだろ?」


「え……? あ……」


「……? なんだ?」


「……逃げる時があったとしたら……私も一緒に連れていってくれたのかな……なんて……」


「……俺がお前を置いていくはずないだろ」


「……叔父さん」


「俺はお前を置いていなくならない。俺は……絶対にお前を独りにしない」


 絶対に独りにしない……?


「……」


 なんて返事をしたらいいんだろう……


「安心したか?」


「……え?」


「お前はずっと奪われてきた。これ以上何も奪わせない」


「叔父さん……」


「それにこれからは親父もいるしな」


「叔父さんとおじいちゃんとの三人暮らしが始まるんだね」


「親父と暮らすようになれば、このまま俺と真葵が叔父と姪だと見せかけて暮らすのは無理だろう。今日、親子だったと気づいた事にするか」


「今日から? それは無理があるんじゃ……」


「大丈夫だ。お前も俺もバカだ。親子だと知らなかった事にすればいい」


 そんな……

 いくらバカでもそれは無理があるよ……

 叔父さんは今までずっとこんな風に生きてきたのかな?

 

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