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おじさんから聞いたこの話は真実? (3)

「今『繋ぐ者』で暗殺部隊を率いているのは皆駿河の里の出身なんだよ。重要な地位にいる人達はおじさんより年上でね。異常なほどに『駿河様』に執着している。そうなるような環境で育ったから……」


 おじさんが険しい表情で真理ちゃんに話している。


「異常な執着……?」


 真理ちゃんも真剣に話を聞いている。


「さっきおじさんが話した情報共有している仲間は若い世代なんだよ。皆、里の異常性に気づいているけど水面下で繋がる事しかできないんだ」


「……ここにいる繋ぐ者にそれを聞かせているっていう事は、この繋ぐ者も若い世代なのか?」


 真理ちゃんが言う『繋ぐ者』は狩野さんの事だよね。

 確か()()()()はママが保護されている施設長に若い時スカウトされたって聞いたけど……


「そうだね。今の話……狩野さんは知らなかったよね」


 おじさんが真面目な表情で狩野さんに話しかけた。


「里の年長者と若い世代で『駿河様』に対する執着の強さが違う……?」


 狩野さんにも分からない事があるんだね。

 おじさんが駿河を蘇らせる事に執着していないのはそのせい?

 でも……

 おじさんはパパやわたしに執着しているような……

 

「……狩野さんは……かなり若い時に里から引き抜かれたから知らなかったよね」


「……俺が誰だか分かっているんだね」


「里にいた頃からずっと憧れだったから……」


「憧れ……か」


 あれ?

 狩野さんもおじさんの言葉に違和感を……?

 

「里の年長者は狩野さんに酷く執着していた。でも俺の憧れの気持ちはそれとは違うよ。純粋に強い狩野さんに憧れているんだ」


 ……純粋な気持ち?

 憧れ……?


「……駿河の里が変わりつつあるんだね」


 狩野さんが言葉を選びながら話しているのが分かる。


「そうだね。このまま若い世代だけになれば今のような『駿河様を崇拝する里』は自然消滅するはずだよ。そうなれば、ぴよたんのような存在は誰が守るんだろう……」


「俺達の世代で終わりにすればいい」


 叔父さんが険しい表情で話し始めた。


「一真……」


「俺達の世代で終わりにして駿河『様』なんてバカらしい存在を忘れ去ればいいだけだ」


「でも……暴走してしまった覚醒に失敗した者を止める存在は必要だよ」


 おじさんの言う通りではあるね……

 駿河を崇拝しなくなった里の若い世代は、覚醒に失敗した人を命がけで止める事はしなくなるはずだよ。


「妙な薬で覚醒者を作り出すのをやめればいい」


 ……そうか。

 叔父さんは真実を知らないんだ……


「……駿河様の子孫もいるよね? 子孫の覚醒が失敗して暴走したら誰かが止めないと……」


「……はぁ。難しいな……」


「一真……これは簡単には答えがでない問題なんだ」


「そうみたいだな……覚醒者を作る治療をやめさせるだけじゃダメなのか……」


「これからは駿河の里の若い世代も『駿河様』の子孫をどう守るかを考えていくつもりだよ。年長者には内緒でね……」


「時代が変わる時が来たって事か」


 叔父さんの言う通りだ。

 時代が変わり始めているんだね。

 ……なんて簡単に考えていいのかな?

 確かに若い世代のお兄ちゃんは私と叔父さんに執着していないけど、おじさんは執着しているように見えるんだよね……

 うーん……

 おじさんを疑いたくはないけど……

 全てを信じない方がよさそうだ。

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