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鈴木さんは私を調べていたの?

「鈴木さん……ありがとう。鈴木さんも危ないのに色々話させてごめんなさい」


 私に色々話したけど危ない目に遭わないのかな?


「いえ。全てを話せなくてごめんなさい」


「そんな事ないよ……」


「あの……叔父様には話さないで欲しい事があります」


「……え?」


「叔父様が囚われた人を救出した事……これは絶対に本人には話さないでください。きっと傷つくはずですから」


「救出した人がまた囚われる事になって、自分も拐われたから……?」


「……救い出されたのは……小田さんの……お母様だったらしいです」


「ママ……?」


 叔父さんはママを救出していたの?

 でもママは自らの意思でまた囚われた。

 そして叔父さんは『奴ら』に捕まって酷い目に遭って……

 畳屋のおじいちゃんの話だと、一年くらいしたらあの町に帰ってきたんだよね?

 叔父さんの彼女さんは確か……

 一年くらい叔父さんの帰りを待っていたけど、実家に戻った?

 叔父さんは『連れ戻す資格がない』って言ったらしいけど、我慢できなくて聞いていた住所に迎えに行ったら商業施設だったんだっけ?


「あの……私の口から話すのは違うので……アレですが……」


「……? 鈴木さん?」


 話しにくそうにしている?

 さっきまでは殺人とかも普通に話していたのに……


「小田さんと叔父様はよく似ていますね」


「え? あ……そうかな? 私は父親に似ているってよく言われるけど」


「叔父様はお母様の弟さんでしたね」


 ……そんな事まで知っているの?

 どうやって調べたんだろう?


「……うん」


「……小田さん。お母様に弟さんはいないはずです」


「……え?」


「ごめんなさい……叔父様が過去に一人救出したと知り、色々調べたんです」


「……調べた? 何を……?」


「叔父様や小田さんの周辺を……」


「……!」


 鈴木さん一人でできる事なのかな?

 誰か協力者がいるんじゃ……

 でも鈴木さんはそれを口には出さない。

 ……冷静に考えるんだ。

 鈴木さんは前の時も話の中にヒントを……

 ……!

 そうか。

 鈴木さんのお母さんを保護している医師……

 その人もこちら側の人間……

 

「驚かせてしまいましたよね。私の事を気味が悪いと思いますよね」


「気味が悪い? それはないよ。お兄さんを助けたい妹……それが伝わってくるよ」


「小田さん……」


「私……パパとママが囚われている実感がないの。ママの記憶はないし、パパは……亡くなったって……思っていたから。もちろんパパの事は大好きだし生きていてくれたら嬉しい……けど。今起きている事が……本当に現実なのかなって……」


「……分かります。私も初めはそうでした。ですが……これは全て現実です。私が小田さんに会いに行かなければ……小田さんは今まで通り何も知らずに暮らせていたかもしれません」


「……鈴木さん」


「ですが……それではいけないと思ったんです」


「それでは……いけない?」


「私は兄が囚われて……切り札として自分と母が存在している事に絶望しました。しかも兄は囚われているのに私達の為に家まで用意して……」


「……私と叔父さんが生きているから……ママが囚われている……?」


 じゃあ私と叔父さんが死ねばママは『奴ら』から逃げられるの?


「小田さん……あなたは今まで出会ってきた『切り札』とは違うように思えるんです」


「……え?」


「今までもたくさんのこちら側の人間に会ってきました。そしてその方達が知る情報を入手して……いつか『彼ら』から兄を……」


「鈴木さん……」


「全てを知って……前に進んでください」


「前に……進む?」


「小田さん……私と共に……大切な家族を……(助けて……)」


 あれ?

 鈴木さんの表情が一瞬苦しそうになった?


「鈴木さん? 大丈夫?」


「それと……もうひとつヒントを……小田さんは……あの……純粋……というか、他人を疑う事をしないようなので……」


「……え?」


 言葉を選んでいるけど……

 鈍感って事だよね?


「小田さんがパパと呼ぶ男性はこちら側の協力者の人間ではありません」


「……え?」


 協力者の人間っておかしくないかな?

 パパは切り札だよね?


「その男性は小田さんのお母様を見張っていた『彼ら』の内の一人でした」


「……!? それって……」


「小田さんのお父様は別にいます」


「……パパが……父親じゃ……ない……?」


 身体が震える……

 パパが父親じゃないなんて……

 でも鈴木さんは他人を信じるなって……

 じゃあ今のこの話も嘘……?

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