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再会と複雑に絡み合う嘘(7)

「家族が一緒に暮らせない二つの理由?」


 なんだろう?


「覚醒する時は誰かを殺したくなるんだ。そうなれば末裔が何人も殺されてしまうだろう? もう一つは年の近い男女の覚醒者を同じ施設に入れて子を授けたいという思惑からなんだ」


 パパが悲しそうに話している。

 自分が覚醒した時の事を思い出しているのかな?


「頭の中に『殺せ』って聞こえたって叔父さんが言っていたけど……」


「そうだよ。あれは、きつかった……その声に負けて誰かを殺せば覚醒は失敗する。覚醒に失敗すると二か月以内に死んでしまうんだ。と言っても覚醒に失敗した時に暴走して暗殺部隊に殺されるから本当に二か月生きられるかは分からないんだけどね」


「じゃあどうして『二か月』って言われているの?」


「過去に一人だけ覚醒時の暴走する力が弱くて殺されなかった人がいてね。死亡理由は不明らしいけど、その人が二か月後に亡くなったらしい。それから二か月しか生きられないと言われるようになったんだ」


「じゃあ鈴木さんは二か月より先も生きられるんじゃ……」


「覚醒は曖昧なんだよ」


「曖昧?」


「覚醒したかを決めるのは施設長なんだ。施設長の誰か一人でも認めれば覚醒者として良い暮らしができる」


「そうなの?」


 良い暮らし……?


「覚醒していなくても施設長が覚醒したと言えば覚醒者に仕立てあげられてしまうんだ」


「そんな……でもそんな事をして何の意味があるの? 駿河の里の忍びは『駿河』を崇拝しているんだよね? 対象外を保護する理由は?」


「正規の団体が増えたんだよ。初めからある団体では数が足りなくなってね。その新しい団体は、駿河の里の忍びではない人が施設長をしているんだ。だから身内を『覚醒者』だと嘘をついて保護するんだよ。もちろん『繋ぐ者』がそんな団体を許すはずがないけどね。見つけ次第その団体は消滅する事になる。そうするとしばらくは他の団体も大人しくなるんだけど……数年するとまた同じような事をする奴らが出てくるんだ」


「その施設の人達は『駿河』を崇拝していないんだね……」


「そうなんだ。『駿河の覚醒の秘密』は初めからある五つの施設長だけが代々受け継いでいる。だからその新しい団体の施設長には『駿河』の秘密は知らせていない。初めからあった団体から覚醒者を預けられて保護するだけの団体のはずだったんだけどね……中には勝手に人体実験してしまう団体もあるんだ」


「そんな……」


「でも一応正規だからそれほど酷い事はされないんだ。問題は非公認の団体だよ。『駿河』を手に入れれば世界が自分の物になると勘違いしていてね。しかもバックに政治家がついているから好き放題なんだ」


「好き放題? ……鈴木さんを騙していたのもそういう団体なの?」


「そうだよ。だから消したんだ。他の団体を牽制する為にかなり派手にね……」


 かなり派手に?

 この感じだと本当にすごい事になったんだろうね……

 あれ?

 でも、パパと叔父さんは覚醒者なのに保護されていないよね?

 どうしてなんだろう?

 

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