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再会と複雑に絡み合う嘘(6)

「パパの母親は『駿河』の末裔ではあるけど覚醒はしていない。だから執着されなかったんだけど……パパが覚醒した日……あの時は酷かった」


 パパが昔を思い出しながら話しているけど……


「パパは覚醒者なの?」


「妙な治療をされたわけじゃないんだよ。だから隔世遺伝って言われたりもするんだけど……少し違うんだ」


「少し違う?」


「うーん……『駿河』の末裔は強さに違いはあるけど皆その力を受け継いでいる。でもその力を表に出すには治療が必要らしいんだ」


「治療……『駿河』の隔世遺伝した末裔の身体の一部を入れ込む……?」


「それは非公認の団体がやっている意味のない行為だよ。『駿河』の末裔を覚醒させる方法はいくつかあるらしいけど……一番使われているのは極限まで追い込む……かな?」


「それって……?」


「小田ちゃんだったら葵を連れ去られそうになった時。パパの時は父親代わりの施設長が大怪我をした時。心が酷く揺さぶられると覚醒するらしい」


「じゃあママも?」


「葵が覚醒したのは一歳になる前だったらしい。あの団体は消されたけど記録が残っていたんだ」


「一歳になる前? そんな赤ちゃんにどんな酷い治療をしたの?」


「もう少し大きくなってから治療する予定だったらしいんだけど……気づいたら覚醒していたみたいなんだ」


「……覚醒はかなり苦しいんだよね? そんな事があるの?」


「それが非公認の団体が赤ん坊に妙な治療をするきっかけになったんだ。もちろんその前からいろんな年代の人をピックアップして妙な治療をしていたんだけどね」


「鈴木さんのお兄さんが病院でやられていたみたいな?」


「そうだよ。鈴木真理の兄が通っていたのは普通の病院だった。でも、主治医が非公認の団員だったらしくて……赤ん坊に片っ端から妙な治療をしていたんだ」


「じゃあ鈴木さんのお兄さん以外の赤ちゃんにも治療を?」


「あれは意味がないんだよ。あんな事をしても誰も覚醒しない。鈴木真理の兄が覚醒したのはその治療のせいじゃなく元々『駿河』の末裔だったからなんだ」


「非公認の団体にそれを教える事はできないんだね……」


「そうだよ。もし『駿河』の末裔しか覚醒できないと知れば、奴らは末裔を一人残らず拐うだろう」


「正規の団体は違うの?」


「正規の団体は覚醒した末裔を保護しているだけなんだよ。だから鈴木真理の兄も葵も穏やかに暮らしている。もちろん血液検査とかはするけどね」


「でも、正規の施設でも場所によっては酷い実験をするって聞いたよ?」


「そうだね。元々正規の施設は五つだけだったんだ。でも、同じ施設に二親等以内の家族を入れてはいけない決まりがあってね」


「どうして? 家族皆で暮らせれば誰も苦しまなくて済むのに」


「理由は二つあるんだよ」


 家族が一緒に暮らせない理由が二つ?

 それって……?

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